HAPPY SINGLE「Wake Up / Lucy」ディスクレビュー

Wake Up Lucy

SINGLE

HAPPY

Wake Up / Lucy

HAPPY RECORDS

2014.06.09 release

<CD>
※タワーレコード限定、数量限定生産


気負いなき、絵はがき的ポップ・アートなロック・センス!

 京都出身、平均年齢20歳の幼なじみによって結成された英語詞による5人組バンドHAPPY。’70年代のロックの香りと、テン年代以降海外インディー・ロックな掛け合わせが、今の時代にとても新鮮なロック・バンドだ。時と場所を越えて自然と鳴り渡る世界標準なサウンドは、オースティンで行われた世界最大の音楽見本市“SXSW“”を含めたUSツアーでも、各地で大盛況を収めたという。

 両A面で収録された、どちらも3分以内のポップ・ソング「Wake Up」「Lucy」、そしてドラムのBobが良い意味でつたないボーカルを担当した、まるで宝探しのような選曲といえるThe Modern Loversのカバー「Government Center」など、自然体で放り込まれるシンセサイザーによる隠し味風なサウンド・センスが絶妙だ。一歩間違えばノスタルジーに陥りかねないナンバーを、シンセ・ポップちょい足しな味付けが、今の時代とリンクさせることに成功させている。メンバーそれぞれ、複数のパートを扱えることも気になるポイントだ。

 ‘90年代以降、ポップミュージックの世界は、常に過剰な添加物のような劇薬を“キーワード”として取り入れることでニュースを生み出してきた。しかし、音楽ファンがコミュニティとして繋がれる、インターネットによるインタレストグラフがSNSの普及によって拡散された昨今、過剰な宣伝こそが偏見を増長し、世代間断絶を生むきっかけとなり、アーティストの寿命を縮める要素となっていることは否めない。逆を言えば、自分たちがやりたい音楽やビジョンが明確であれば、回り道や無理をする必要がないのかもしれない。大事なのは本質を貫いているかいないかだ。

 ロック・メディアや音楽ファンの信頼を勝ち取ったHAPPYをみていると思う。ロック・バンドによる音楽があるべき姿に還ろうとしていることを。定期的な楽曲リリースとライブ活動、それに勝るバンド・アピールはないということを。メンバーと同世代、そしてロック親父世代にも受け入れられる自然体のロックンロール。そんなHAPPYの次なる展開が気になってしょうがない。ちなみに、HAPPYを聴くときにおすすめしたいのは前作「SUN」収録の「Lift This Weight」だ。今こそ順番や入り口って大事だと思うのだ。

(ふくりゅう(音楽コンシェルジュ))

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