BUZZ THE BEARS MINI ALBUM「L」ディスクレビュー

L

MINI ALBUM

BUZZ THE BEARS

L

Getting Better/ビクターエンタテインメント

2014.06.11 release

初回生産限定盤 <CD+オリジナルマフラータオル>
通常盤 <CD>


信じた音で突き抜ける。これがライブ・バンドの現場感覚

 時代というヨコ軸に沿っていうならば、’90年代のメロコアにルーツを持つ彼らのようなバンドは今、少数派かもしれない。日本ならハイスタ(Hi-STANDARD)、洋楽ならグリーン・デイ、オフスプリング、SUM41、BLINK182あたりの、ソリッドでヘビーなギター・サウンドを軸としつつ、あくまでポップで楽しいライブ・バンド。そこに彼らの場合、ラルク(L’Arc〜en〜Ciel)やGLAYなどヒット・チャートの常連たちにも感化され、さらにMONGOL800など日本語のメッセージを重視するバンドの影響を受けたということもあり、英語、日本語、洋楽のセンス、歌謡曲のメロディ、パンクのイメージなどがゴチャマゼになって、バンドの世界観が成り立っている。ある意味、王道。ある意味、時代はずれ。BUZZ THE BEARSを聴くときに胸に湧き上がる“ポップな親しみやすさ”と、“いそうでいない孤高ぶり”の魅力的な両立は、通算6作目のミニ・アルバムとなる本作でも変わらない。

 リスナーのLIFEに根ざし、LIGHTな気分で会場に足を運び、LIVEを楽しんでもらいたいという意味を持つ『L』というタイトルどおり、すべてがアップ・テンポで、明るい曲調を中心にまとめられた全8曲。理屈抜きで体が動くキックの4つ打ちを、ハイハットやギターのカッティングで加速させ、サビでは2ビートで痛快に疾走する1曲目「タイムマシーン」がその典型で、明るい広がりを持つサビのコーラスの向こう側に、モッシュ&ダイブを繰り返す熱狂的オーディエンスの姿が浮かぶ。さらに陽気なサマー・ポップ・チューンに特化した「シェアタイム」や、コーラスの“イエイイエイイエイ!”が耳について離れない「恋をした夜」、そしてインディーズ時代の代表曲「全てを」の再演など、どの曲にもライブ・バンドならではの現場感覚が染みついてる。そこにあるのは、時代の流行に色目を使う前に、自分たちの感覚を信じて真っ向勝負するすがすがしさだ。欲を言えば、「駄目な俺だけど」というフレーズが共感を呼んだ捨て身のラブ・ソング「ダーリン」のような、リスナーがぐっと感情移入できる歌詞が今回もあればもっと良かったか。独特の憂いを帯びた越智健太の歌声を光らせる、生々しい言葉がもっと聴きたい。サウンドも言葉もこぢんまりとまとまったバンドが多い時代を突き抜ける、彼らにはその器があると思う。

(宮本英夫)

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