星野 源 – 待ちに待った7thシングル「Crazy Crazy/桜の森」がリリース。療養から武道館公演での完全復活、そして今作──そこに、星野源の素直な気持ちがのぞく。

2014.06.12

星野 源

病気療養からカムバックし、2月の日本武道館公演、3月からの全国ツアーも大成功させ、完全復活ぶりをアピールした星野源。前作「地獄でなぜ悪い」から8ヵ月ぶりとなる、初の両A面シングル「Crazy Crazy/桜の森」がついにリリースだ。「Crazy Crazy」は、ピアノ・トリオの勢い全開のサウンドをバックに、明るく突き抜けるような力強いメロディを歌うナンバー。クレージーキャッツをリスペクトしたという歌詞からは、彼の前向きな想いが伝わってくる。そして「桜の森」は、ストリングスとビートのループが印象的な、爽快さと歌詞のエロさがブレンドされた、彼ならではの楽曲と言っていい。では、ここからさらに前進していく、星野源の現在をたっぷりと語ってもらおう。

INTERVIEW & TEXT BY 土屋恵介 PHOTOGRAPHY BY 笹原清明


前までは仕事だけが楽しいって感じだったんですけど、今はもう……

──2月6日に初の日本武道館ライブ“STRANGER IN BUDOKAN”で完全復活を果たした星野さんですが、改めて武道館の感想を聞かせてください。

ずっと武道館に立ちたいと思っていて。『ばかのうた』の頃は冗談で言っていたくらいだったんですけど、2012年の終わり頃に武道館ライブが決まり、でも、その直後に倒れちゃって。2013年の7月にやる予定がもう一回入院しちゃって延期になって。だから憧れの武道館は、ほんとはとっくの昔にやり終えていることだったんですよね。実際に武道館をやり終えたときは、憧れ的なものよりも、素直にいい箱だなって思えました。人がいっぱいいるのにお客さんが近くて、すごくやりやすかったし楽しかったし。またやりたいなという想いのほうが強かったです。

──“やっとできた”って気持ちはありましたか?

それもないんです(笑)。それよりも、“あそこは、こうしておけばよかったな”“次はもっとこうしたい”って気持ちのほうが強くて。“やってやったぜ、武道館”ってよりは、“次!”って感じでしたね。予想はしてましたけど。

──“予想してた”というのは?

どんなことでもそうだと思うけど、例えば、“こういうとこに行きたいな”とか思って、実際そこに行くと次が見えることってあるじゃないですか。もちろん久しぶりのライブで、しかも武道館で、緊張したし必死だったし。でも、最後は楽しかったので。それはお客さんと楽しめた感じがあったから、幸せな武道館だったなと思ってます。

──では、3月からの全国ツアー“星野 源の復活アアアアア!”を完走してどんな手ごたえがありますか?

武道館はもともと7月にやる予定だったときから、なるべくCDと同じようにやるって決めてたんです。でも休んでる間に考えも変わって、ツアーからメンバーをちょっと替えて、自分が今やりたい音を出すって目標でやったんですよね。最後のNHKホールが終わったときは感慨がありました。やっと今のモードに追いついたなって。

──武道館では当初のやりたかったことをやり切り、ツアーで現在の星野源のライブを見せられたと。振り返りになりますが、2012年末に倒れてから復活までにいろいろありました。気持ち的に変化したことは?

性格が前より明るくなったと思います(笑)。去年はずっとしょんぼりしてたんで、楽しまないと損だなと思ったんですよ。安易な言葉かもしれないけど、身に染みたというか。そういうことが武道館でのふざけたことにも繋がったと思います(笑)。

──ナースの格好の女性と登場したりニセ明をやったりですね(笑)。

そうです(笑)。私生活でもそういう気持ちがありますね。

──パーティ・ライフを楽しむとか?(笑)

いいですね、パーティ・ライフ(笑)。やったことないけど(笑)。ほんと前までは仕事だけが楽しいって感じだったんですけど、今はもう休みたくてしょうがないですねぇ(笑)。

──前とだいぶ変わりましたね(笑)。“楽しまなきゃ損”っていうのは、音楽を作る面にも繋がったんじゃないですか?

そうですね。今回のシングルは特にいっぱい遊んでます。メッセージを届けるってことよりも、音楽とか歌詞で遊ぶってことが自然になりました。

モダンジャズ・トリオ的なニュアンスにプラス、ヘビメタ

──では、新曲「Crazy Crazy」の話題に行きましょう。ピアノがサウンドのメインの、明るく突き抜けたナンバーですね。

もともとは、ジャズ・ピアニストの小林(創)さんと、ドラムがピーちゃん(ピエール中野)、ベースはハマくん(ハマ・オカモト)で曲をやりたいなと思っていて。で、モダンジャズ・トリオ的なニュアンスにプラス、ヘビメタみたいなことがやりたいなと思ったんです(笑)。それとは別に、昨年の夏、手術の直前くらい、いちばんつらいときにすごく悲しい曲が出来たんですよ。そのメロディをメモとして残しておいたんですけど、曲作りを久しぶりにするときに聴き直したら、この曲を明るくしたいなと思って、編曲して今の形になりましたね。

──メロディは変わってない?

変わってないですね。もとはもっと悲しくて泥のような歌だったんです。でも、年末頃には悲しいことに飽きてて、楽しいことがしたかったので。

──アレンジでガラっと雰囲気が変わったと。歌詞は書き換えたんですか?

歌詞はもともとなかったので、最近書きました。この曲は、そんなに深い意味はないんですよね。コンビニでサビが流れて“ポップだな”って思ったけど、フルで聴くと“頭おかしいな”と思えるような曲にならないかなって(笑)。あと、音楽に詳しければ詳しいほど“何これ?”って感じになるといいなっていう曲ですね。だから、人によって聴こえ方が違う曲になるだろうなって思います。

──歌詞は、無常の世界でやりたいことを見つけていく内容にも見えますが。

でもほんと、あんま意味ないんです(笑)。最初にサビの“Crazy Crazy”だけ決まって、じゃあ、クレージーキャッツかなと思って、まずはクレージーキャッツのメンバーの名前をこっそり入れるってことだけを考えて。でも、3人しか入れられなかったですね。

──(植木)等と、谷(啓)、(ハナ)肇と。

全員入れてみたんですけど、ちょっと違うなと。ただ、名前を入れ込むだけの曲になっちゃうのは面白くないなって。

──クレージーキャッツ好きの星野さんが、自然と原点回帰した感じですね。

そんな感じですね(笑)。再スタートみたいな。とはいえ、パッと聴き、そうは聴こえないと思うし、それはそれでいいなと思うので。

今度の復帰はちゃんと身体を健康な状態にしたいなと思ってた

──たしかに。あと、さっき話してた“人生楽しんでいかないと”っていう星野さんのマインドとも繋がるかなと。

あー、たしかに。今のモードがなんとなく出てるかもしれない。あと、夏に出るということで、お酒とか飲んでどんちゃん騒ぎをしている人たちをなんとなく思い浮かべながら書きました。夜、ビーチで水着の女性がDJに合わせて踊ってるみたいな。それもまったく感じないと思うんですけど(笑)。

──まったく感じないです(笑)。歌はすごく溌剌とした感じが出てますね。

今、身体を鍛えてて、そしたら、歌がちょっと歌いやすくなったというか、声が前に出るようになったんです。だから、ツアーもやりやすかったんですよ。前は歌うのつらかったけど(苦笑)。ボイトレとかはまったくしてないんですけどね、腹筋とかつくと声も少し変わるんだなって改めて思いました。それで溌剌となったのかも。

──夏に向けてマッチョボディをめざしてる?(笑)

いやいや(笑)。持久力をつけるためにくらいで。夏に舞台もあるし、あと、今度の復帰はちゃんと身体を健康な状態にしたいなと思ってたので。

──頼もしい言葉です。音の話に戻りますが、ピアノ・トリオ、プラス歌って編成がとにかく新鮮ですね。

最後までトリオで通したほうがかっこいいなと思って。今のJ-POPでそれをやる人っていないし。“えー、ここで楽器足しちゃうの!? このまま行けばかっこいいのに”ってことあるじゃないですか? いわゆるポップスではそれでいいと思うけど……バンド・サウンドでも“あー、ストリングス足しちゃった”“シンセ足しちゃった”っていうのが。それは、みんな不安なんだと思うんです。

──不安感が音を重ねてしまうこともあると。

そうですね。でも今回はメンバーの力があるので、最後までこれでやろうと思って。あと、僕の曲の中で、初めての2バスが入ってるんです。

──なんと、2バスのドラム入りだったとは(笑)。

面白かったですね。リハーサルしてるとき、ピーちゃんに“2バスやって”って言うと、“えー、源ちゃんホントにいいの?”みたいな感じで(笑)。

──それは盛り上がりますね。あと、星野さんの曲ってハンドクラップが多いですよね。

あー、そうですね。「くだらないの中に」と「知らない」以外は、シングル曲にはほぼ入ってるんじゃないかな。クラップ好きなんですよ。あと、誰でもできるじゃないですか。ライブで一緒に歌うのって、お客さんもやりにくいかもしれないけど、クラップだったらやりやすいし。140611_hoshino-gen_03

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