星野 源 SINGLE「Crazy Crazy/桜の森」ディスクレビュー

Crazy Crazy/桜の森

SINGLE

星野 源

Crazy Crazy/桜の森

ビクターエンタテインメント

2014.06.11 release

初回限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


“優れた狂気”を感じさせる星野源の姿勢

 ポップ・ミュージックにおいて“狂ってる”というフレーズは完全にホメ言葉である。マイケル・ジャクソン、大瀧詠一、ブライアン・ウィルソン、ポール・マッカートニーなど、革新的なポップスを生み出したミュージシャンは皆どこかおかしい。“うわ、この人、おかしいだろ、絶対”という部分がないポップ・ミュージシャンには惹かれないのだ、逆に言うと。そして星野源はまちがいなく“優れた狂気”を感じさせるアーティストのひとりであり、通算7枚目のシングル「Crazy Crazy/桜の森」には“メイン・ストリームのど真ん中で狂ったことをやりたい”という彼の志向が強く表れている。

 タイトルからすでに狂っている「Crazy Crazy」は多幸感に溢れたサウンド・メイクが印象的なポップ・チューン。ハマ・オカモト(b/OKAMOTO’S)、ピエール中野(Dr/凛として時雨)という強烈なリズム・セクションの上でピアノのフレーズが踊りまくり、その中で驚くほどキャッチーなメロディが広がっていく。そしてサビの歌詞は「Crazy Crazy 可笑しい頭揺らせ」。常識とか普通を飛び越えて、“どうかしてる”と言われるようなことをやり続ける。その姿勢こそが星野源であると、この楽曲ははっきりと示していると思う。

 洗練されたストリングス、心地よいファンクネスを湛えたサウンドを軸にした「桜の森」では、桜という言葉が持つ独特の暗さ、憂いが歌われている。“桜の樹の下には屍体が埋ってゐる!”みたいな気分と“それをただ見つめている”という僕の姿が、極上のポップ・メロデイとともに描かれるこの曲もまた、星野のブッ飛んだ感覚が映し出されているのだ。

 さらに生々しいバンド・セッションが楽しめるミディアム・チューン「Night Troop」(途中で笑い声が入ってたりします)、シングル恒例の自宅録音楽曲「海を掬う(House ver.)」を収録。また、初回限定盤にはこれも恒例となっている大ボリュームの映像を収録したDVD付き(「緊急特別番組・星野源 人気ソング TOP10」、「ばらばら」「フィルム」のライブ映像、レコーディング・ドキュメントなど)。言うまでもなく、“そこまでやる? うれしいけど”という過剰さもまた、星野源の魅力である。

(森朋之)

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