空想委員会 ALBUM「種の起源」ディスクレビュー

種の起源

ALBUM

空想委員会

種の起源

キングレコード

2014.06.04 release

通常盤 <CD+DVD>
お試し価格盤/写真 <CD>


品良く清潔感あるロック・サウンドが奏でる、美しき空想物語

 “究極の低恋愛偏差値”を誇る、草食系文学ギター・ロック・バンド、空想委員会のメジャー・デビュー・アルバム。『2010年、現メンバーで活動を開始。『回顧録』『懺悔録』の2枚の自主盤がネットで噂となり、“共感したら負け組!?”とキャッチの付いた、2011年リリースのインディーズ・デビュー盤『恋愛下手の作り方』が大ヒット!』なんてプロフィールを見て、ちょっぴり色眼鏡越しに聴き始めた今作だったが。そんなの抜きにしてもすごく良いバンドだなぁというのが第一印象。タイトなリズム隊と空間を活かしたギターのサウンドやアンサンブルが心地よい演奏に、三浦(隆一)委員長の温かく耳馴染み良い歌声やメロディ。人柄が滲み出ているのか、彼らのサウンドにはどこか品の良さや清潔感を感じる。

 清潔感あるロック・サウンド? なんだそりゃ!? って話だけど、彼らの楽曲にはそれがすごく効果的で、空想委員会と名乗るだけあって、彼らの歌う“君”や“あなた”は基本的に空想。時に“何言ってんだ、この人は!?”とツッコミたくなるような気持ち悪ぃことも歌ってるけど、品良く清潔感あるサウンドがそれもちゃんと“美しい空想物語”へと浄化してくれているのだ。リード曲となってる「八方塞がり美人」も、振り向いてさえくれない“君”へのいらぬお世話をうたった歌だが、清潔感あるロック・サウンドに浄化され、聴き終えたあとはなぜかホロリとしてしまう曲に仕上がっているから驚かされる。

 アルバムを楽しく聴き進める中、僕がドキッとした曲はラストとなる、10曲目に収録された「空想進化論」。彼らが歌う意味や空想する理由、未来への夢や希望を高らかに歌ったこの曲に、僕は女の子とまともに話すこともできなかった、高1の自分を重ね合わせた。あの子を振り向かせるために、パンク・バンドを結成したあの頃(結果、逆効果)。そうだ、俺は何を偉そうに上から目線で語っているのだ!? あの頃、俺だって空想委員会だったじゃあないか! 僕は恋愛に勝ち負けなんてないと本気で思うので、“恋愛敗者”なんていないと思っているが。童貞、おっと恋愛下手だからこその思いやりや優しさ、豊かな想像力に溢れた空想委員会の楽曲たちを聴いていたら、“3人にはこのまましばらく恋愛下手でいてもらって、さらなる空想を続けてほしいなぁ”と、失礼なことを思ってしまった。

(フジジュン)

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