カラスは真っ白 MINI ALBUM「おんそくメリーゴーランド」ディスクレビュー

おんそくメリーゴーランド

MINI ALBUM

カラスは真っ白

おんそくメリーゴーランド

SPACE SHOWER MUSIC

2014.06.04 release

<CD>


カラスは真っ白が提示する2014年のポップ

 濃密な情報量を備えたサウンド・メイク、色彩豊かなメロディ・ライン、全編に貫かれたエンターテインメント感覚。これはもう“バンド”という枠では捉えきれないレベルにまで達しているのではないだろうか。

 ’10年に札幌で結成された“カラスは真っ白”。’12年に1stミニ・アルバム『すぺくたるごっこ』、’13年に1stフル・アルバム『かいじゅうばくはつごっこ』を発表。ファンク、ギターポップ、ネオアコ、ヒップホップなどを自在に取り入れたサウンド、そして、ボーカリスト・ヤギヌマカナの少女性たっぷりのウィスパー・ボイスによって、徐々に注目を集めているなかでリリースされる本作『おんそくメリーゴーランド』(2ndミニ・アルバム)は、彼らの音楽的ポテンシャルが多角的に表現された作品となった。

 1曲目の「サーカスミラー」を聴いただけで、このバンドの音楽がとんでもないスピードで進化していることが伝わってくる。パーカッシブなドラム、鋭利な手触りを持ったギター・フレーズ、バウンシーに飛び跳ねるスラップ・ベース、気持ちよくアップダウンを繰り返しながら、サビのパートで一気に解放されるメロディ・ライン。ロック・フェスでも確実に盛り上がり、ボカロ系〜アニソン〜アイドルのファンまでを惹きつけ、普通のJ-POPユーザーにもアピールできるこのナンバーはそのまま、カラスは真っ白の機能性の高さに直結していると思う。

 気鋭のアニメクリエイター・植草航がMVを手がけたリード曲「fake!fake!」も鮮烈。高速のファンク・ビートのなかでフェミニンなボーカルが気持ちよく広がり、“どくりんごのあじ みぎてとおなじ”という謎めいたフレーズを挟みながら、エンディングに向かって昇天していくような感覚に包まれる——この曲を聴いていると、2014年のポップとはつまりコレのことではないか? みたいなことまで考えてしまう。

 メンバーの卓越した演奏テクニックもこのバンドも魅力のひとつ。シーンとかジャンルを軽々と飛び越え、新しいポップの概念を生み出す可能性を十分に感じさせてくれる充実作だ。
  

(森 朋之)

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