the telephones – 来年10周年を迎えるthe telephonesがニュー・アルバム『SUPER HIGH TENSION!!!』をリリース。メンバー全員に話を聞いた。

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まさにテンションマックス! the telephonesのニュー・アルバム『SUPER HIGH TENSION!!!』は、このバンドの最大の武器である“踊れるロック”をさらに進化させた充実作となった。昨年秋の全国ツアーの中で「今まで築いてきたものを壊して、1から作り直そうと思った」(石毛 輝)という4人。バンドに対するモチベーションを見つめ直しながら制作されたという本作によって彼らは、あらたなフェーズに突入することになりそうだ。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之


コンプレックスもあったんですけど、逆に“あ、このままでいいんだな”って

──ニュー・アルバム『SUPER HIGH TENSION!!!』、めちゃくちゃカッコいいです!

石毛 輝 お、ありがとうございます!

──まずは前作『Laugh,Cry,Sing… And Dance!!!』以降の1年間について聞かせてください。去年の7月には初の野音ワンマンを開催するなど、ライブを中心に充実した1年だった思うのですが……。

石毛 そうですね。アルバムのツアーもすごく良かったし、僕的には海外でライブをやれたのがデカくて。

──去年9月、POLYSICSと一緒にフランス、ベルギー、イギリス、スイスを回ったツアーですね。

石毛 もちろん勝ちにいくライブをやったんですけど、心のどこかに“ウケないんだろうな”っていうマイナス要素もあったんです。でも、ホントに温かく受け入れてくれたし、ヨーロッパの人たちが「We are DISCO!」って一緒に叫ぶっていうよくわからない光景を作れて。“よっしゃ! 通用した!”っていう感じでした。
長島涼平 うん。
石毛 なんて言うか、自信をもらった気がしたんですよ。ずっと海外の音楽が好きで、影響を受けながら自分たちの音楽を作ってきたんだけど、現地の人に「おまえらはオリジナルだ」って言われて。日本的な音階と海外っぽいアレンジメントのミクスチャー感が面白いみたいなんですよね。(海外の音楽に対する)コンプレックスもあったんですけど、逆に“あ、このままでいいんだな”っていう。胸を張って「日本のテレフォンズで〜す!」って言えるなって——なぜかチャラい言い方になっちゃったけど(笑)。
長島 ハハハハハ! でも、チャラさはあったかもね、あのときも。修学旅行のテンションに近いというか(笑)。

──(笑)長島さんはどうですか? この1年のテレフォンズについて。

長島 野音とかフジロックとか、初めて経験したことは全部プラスになってると思います。ただ、そういう経験を経たあとは、“今のままじゃ良くない”というか、迷走してた部分もあって。その葛藤もありつつ、大事な1年だったなという気がしますね。
石毛 うん、秋のツアーのときはすごく考えさせられたな。
長島 シングル(「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」)のツアーだったんですけど、それぞれ思うところがあったというか……。

──あらたなサウンドを求めていた?

長島 うーん、何ですかね。
石毛 正解がわからなくなってたと思うんですよ。“良いライブってなんじゃろか?”っていう。やっぱりマンネリって良くないですからね、人間関係もそうだけど。リフレッシュというか、今まで作ってきたものを壊して、1から作り直すっていう気持ちはあったかもしれないですね。

──なるほど。そういえば今回のアルバムって、“DISCO!!”って言ってないですよね。

石毛 そうなんですよね。
岡本伸明 僕らも出来上がってから気付いたんですよ。
石毛 俺は制作してるときから気付いてたけどね(笑)。
長島 (笑)でも、作ってるときは気にしてなかったよね。
石毛 うん。必要だったら入れようと思ってたんだけど、必要なかったというか。その言葉を入れることで、逆に曲の良さが消えちゃうかなと思ったこともあったし。

テレフォンズはこんなもんじゃない

──アルバムの制作の入口って、どんなところだったんですか?

石毛 “毎年12月のワンマンでは新曲をやる”っていうルールがあるんですけど、そこに向けて曲を作り始めたときですかね。最初は先行シングルの雰囲気に近づけようと思ってたんだけど、その路線は何か違うというか、4人のグルーヴが上手く合わなかったんです。で、“昔みたいな作り方でやってみよう”ってことになって、4人でスタジオに入って。そこからですね、このアルバムは。最初に出来たのは「Ex−-Boyfriend」なんですけど、そのあとも“4人で作る”ということを続けて。

──4人で音を出しながら曲を作り、アレンジを進めていく、と。

長島 そうですね。さっき石毛さんも言いましたけど、自分たちのやり方を1回壊したい周期だったと思うんですよ。今までとは違うやり方というか。
石毛 スタジオに入って4人で作るっていうこと自体が、ひとつのコンセプトになるわけだから。基本的にはできるだけ同期(打ち込みの音)を入れずにやるってことですよね。ライブでも4人だけで演奏できるっていう。最近は普通のロック・バンドも同期を使ってるから、そこに対するカウンターにもなるかな、と。逆にアルバムの7曲目(「Space Communication」)、8曲目(「Starship Romance」)は完全に同期を使ってるんだけど、“ここまで作り込めないでしょ?”っていう感じもあって。

──なるほど。その時期のスタジオの雰囲気って、どんな感じだったんですか?

松本誠治 まず、まだ作りきれてない曲をみんなで形にしていくっていう、その行為自体がめちゃくちゃ久しぶりだったんですよ。
石毛 子供を育てるような感じだよね。
松本 曲をみんなで育てるっていうのは、ホントに久しぶりだったんです。バンドを始めたとき以来じゃない?
石毛 そうだね。
松本 今までの曲にも全員でアレンジした部分があったんですけど、今回はもっと根幹に近いところから始めたというか。いろんな作り方を経験したうえで“4人でやる”というところに戻ると、昔とは違う感覚もあったし。
長島 まあ、俺は単に“飽きちゃった”っていうだけなんだけどね、同じことをやるのに。曲の根幹に近いとか、そんなことすら考えてなかったから。
石毛 うん。
長島 あとは“停滞したくない”ってことかな。なんて言うか、待ってる状態でいるのがイヤだったんですよね。石毛さんが曲を持ってくるのを待って、それに沿ってベース・ラインを考えて——それがイヤだったわけではなくて、単純に飽きてたっていう。そういう話をしたら、わりとみんなも同じような感じだったんですよ。
石毛 音楽を作るうえで“飽きる”ってホントに良くないからね。
長島 流れ作業みたいになっちゃうとね。
岡本 毎年の活動にもルーティン感があったし。
石毛 リリースがあって、フェスがあって、秋からツアーっていう。

──新しい刺激を欲してたんですね、やっぱり。

長島 あと、“やっとここまで来れた”と思うか“まだここか”と思うか、その違いも大きいんじゃないかなって。バンドを始めたときの夢よりも、今の夢のほうが小さくなってた気がするんですよ。いろいろ経験したことで、現実的な数字を見るようになってたというか。それも取っ払いたかったんですよね、ここで。“東京ドームでやる!”みたいなことを考えてもよくね? っていう。
岡本 オリコン1位とかね。
長島 そうそう。“テレフォンズはこんなもんじゃない”って未だに思ってるんですよ、俺は。
石毛 大事だね、それは。
長島 そういう気持ちはずっとあったんだけど、それがこのタイミングで爆発したんだと思うんですよ。みんなもちょうど“もうひとつ上のフェーズに行きたい”と思ってたというか。
石毛 そう考えるとさ、慣れって怖いよね。
松本 そうだね。
石毛 “ライブをやれば、いつもお客さんがいる”っていうことも当たり前じゃないからね。そう思ってたとしたら、純粋さを失ってると思うし。

──アルバムの制作のなかで、2度目の初期衝動が生まれたのかも。先行シングルの「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」とスタジオのセッションで最初に出来た「Ex-Boyfriend」ではかなり手触りが違うし。

石毛 確かに。シングルの時点で、ひとつ完結してたのかもしれないですね。「Ex-Boyfriend」はイントロとサビが“陰と陽”みたいな感じになってるんですよ。
岡本 季節感もあるよね。
石毛 夏だよね。あと、去年の4月に“HACIENDA”(「“HACIENDA OISO FESTIVAL 2013”」というフェスに出たときの経験も影響してるんですよ。お客さんがEDMで盛り上がってる場面をイメージしたというか……。音をそっちに寄せるんじゃなくて、水着のおねえちゃんが踊ってるところを思い描いてたりするんですけど(笑)。結果的に面白い曲になったんじゃないかなって。

──サウンド的には80’sのニューウェーブ感が軸になっていて。

石毛 うん、その辺りの音楽は好きですからね。実際、あの時代のアナログシンセを使ってるんですよ。同じ音符であっても、音色によって年代感は違ってくると思うし。音楽に詳しくない人でもセンスを感じてもらえるんじゃないかなって。あと、今の若い子たちはここまでやらないと思うんですよ。機材の値段が下がって、手軽に宅録で作れる時代だからこそ、本物の楽器を使うことが大事だと思うので。……かなり重いですけどね、アナログシンセ。
岡本 重いですよー(笑)。

──理想の音像を作るために、きちんと手間をかけると。

石毛 手間をかける価値はあると思いますね、絶対。ソフトシンセでも似た音は作れるけど、本物の音とはやっぱり違うので。

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