D.W.ニコルズ MINI ALBUM「スマイル」ディスクレビュー

スマイル

MINI ALBUM

D.W.ニコルズ

スマイル

EMI RECORDS

2014.06.04 release

<CD>


「相変わらず」のしあわせ。

“うーむ、相変わらずブレてないな。ニコルズ”。今作を聴き終えて、まず思ったことはその感嘆。すぐあとに、自分の感嘆に違和感を感じた。“うーん? ブレる?”

 D.W.ニコルズの新譜を聴くとき、もちろん新しい音楽に触れるワクワクやドキドキがある。けれど、聴き終えたときの気持ちはいつも同じで、和むというか、ホッとする。衝撃的な音に興奮したり、心を抉るような歌詞に落ちたりするアーティストはたくさんいるけれど、こんなに安心感のあるバンドは彼らだけかもしれない。

 そうだ、いつだってD.W.ニコルズは当たり前のことしか歌っていない。ごはんをおいしいと思ううれしさ、ふとんの気持ちよさ、ありがとうのくすぐったさ、大切な人を好きだと思う温かさ。ブレるとかブレないとか、そもそもそういうものを歌っていないんだ。だから、こうやってホッとしたり、“そうだったよなー”と噛み締めたりするんだな。それって、ちょっとすごいこと。

 そう考えると、今作のタイトルが『スマイル』というのも、なんだか妙に合点がいく。彼ららしく、当たり前で、大切で、シンプルだ。テレビ東京「ゴッドタン」のエンディング・テーマとなっている表題曲「スマイル」は、子供でもすぐに歌えるキャッチーなメロディでありながら、くたびれたサラリーマンが聞いてもグッとくる歌詞で、ニコルズの魅力がバランス良く配合された楽曲であるし、「ボクは三日月」はそれこそちょっとカッコ悪い男の賛歌としても素敵な1曲だ。「フランスパンのうた」は、前作に引き続きちょいちょい“J.B.ニコルズ”が入り込む茶目っ気溢れる前向きソング。友人の結婚式のために作られたという「世界中の花をあつめて」と「夢のような毎日」は、優しくてジンワリとくる、問答無用の名曲だ。

 全6曲、風景は違えど、いろんなスマイルが見えてくるようなミニ・アルバムに仕上がっている。音楽の役割は人それぞれたくさんあるけれど、D.W.ニコルズの音色は間違いなく誰かを笑顔にするために鳴らされていると思う。そして6月からは、今作を連れて“ワンマンツアー2014「スマイル大作戦!」”に出かける彼ら。前作のレビューでも述べたが、ニコルズのライブは確実に笑顔になれる、というか笑える。ぜひ、各地でいろんなスマイルを残してほしい。“スマイル”の最強さをいちばん知っているのは、恐らく彼らだろうしね。

(小島双葉)

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