爆弾ジョニー SINGLE「唯一人」ディスクレビュー

唯一人

SINGLE

爆弾ジョニー

唯一人

キューンミュージック

2014.06.04 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤/写真 <CD>


青春のすべてを音像化させる天才

 「ピンポン」は今から18年前、1996年より1997年まで連載された松本大洋の漫画だ。私を含め、当時青春時代を過ごした現在20代後半〜30代後半の一部の人間に、多大な影響を与えた作品である。連載が終了した6年後の2002年には窪塚洋介主演で映画化され、“「ピンポン」といえばスーパーカー”といえるくらい、音楽の面でもこれまた優れた、そして強烈な印象を残した。今回、そんな作品がテレビ・アニメ化されることとなり、オープニング・テーマを爆弾ジョニーが手がけるとのニュースを聞いて、思わず気持ちが沸き立った。果たして、我々世代のピンポン・ファンのイメージをどう払拭するのか? そして、その時代を知らない現代の若者にどう「ピンポン」の音楽を印象づけるのか?

 結論から先に述べると、彼らは真っ向から飛び蹴りを食らわす、実に彼ららしい形で、我々世代とニュージェネレーション、どちらをも満足させてくれたと感じている。むしろ、原作の持つプリミティブなエネルギーや、青春らしい不毛な感情の起伏と情景を音像化するという意味では、誰よりも成功したのではないか。というのも、「唯一人」の原型となっている音源が、作品の主人公と同じく、りょーめー(vo、g)が高校1年生のときに作られているというのだから、当然といえばそうかもしれない。それだけ、原作者である松本大洋とりょーめーが、青春の酸っぱさと、あっという間のスピード感、がむしゃらなテンションを具現化するクリエイターとして優れているという証拠だろう。ただただ、アッパレとしかいえない組み合わせだ。

 そして、そんな作品の相方として「P.P.P(Power to the Party People)」のような曲を収録するあたりがまた彼ららしい。1stフル・アルバム『はじめての爆弾ジョニー』収録の「キミハキミドリ」を彷彿とさせる、熱帯夜にお似合いなエレクトロ・ダンス・サウンド。ここまで180度色合いの異なる楽曲を同じ盤に共存させられ、それぞれでオーディエンスを踊らせる才覚は恐ろしいとしか言えない。それでいて、音楽の垣根を無視した向こう側、筆舌に尽くしがたい“爆弾ジョニー感”がどちらにも息づいているのだ。さすが、21世紀に生きる無敵のロック・ヒーロー。

 6月後半からは今作を引き連れた全国ツアー“「はじめての唯一人ツアー」~ワンマンだよ~”を開催する彼ら。この勢いを保持して、2014年の下半期も駆け抜けていってほしい。

(小島双葉)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人