Charisma.com ALBUM「DIStopping」ディスクレビュー

DIStopping

ALBUM

Charisma.com

DIStopping

LASTRUM

2014.06.04 release

<CD>


“あなたのうた”から“みんなのうた”へ

 昨年リリースのミニ・アルバム『アイ アイ シンドローム』で注目を集め、その後もフェス出演やライブ活動を着実に積み重ねてきた、MCいつかとDJゴンチによるヒップホップ・ユニットCharisma.com(カリスマドットコム)。本作『DIStopping』は待望の1stフル・アルバムとなるわけだが、ふたりの本業であるOLからの視点が際立っていた『アイ アイ シンドローム』と比べると、本作はより多角的な作品になっている。働く女性はもちろん、日々懸命に家庭を支えるお父さんがテーマの「Mr.BEER」、そして恋愛に悩む人へ向けた応援歌である「チャンコイ」など、より多くの人が共感できる内容に仕上げている。もっと具体的に言うと、生活をするうえで不本意ながらも本音が言えずにストレスを溜めてしまうような、いわば真面目すぎてなかなか心に余裕を持てない人たち。

 そんな人たちに寄り添いながらも、速射砲のように言葉を矢継ぎ早に紡ぐいつかのラップは、自身の気に入らないものに対する攻撃を試みる。言ってみれば本作は、主に女性をターゲットにした『アイ アイ シンドローム』から発展し、老若男女が楽しめる“みんなのうた”の境地にCharisma.comは居ることを示してくれる。こうした変化は、もともとMr.Childrenや嵐を愛聴しているだけあって、極めて自然なものだと言える。

 また、歌詞に込められた膨大な情報量も興味深い。情報で溢れる現在を表象するかのように、1曲に登場する単語やフレーズの数は尋常ではなく、それらがいつかのラップに乗ることでさらに過剰さを増していく。この点については、言葉を詰め込みすぎていると思う者もいるだろう。ネット文化に親しんでいれば、ニコニコ動画などでよく見られるコメントの嵐、いわゆる“弾幕”を連想するかもしれない。

 だが、そうした内容になったことで、本作が“今”と共振する強烈なメッセージ性を持つことに繋がったと考えれば、ただ世の不平不満を斬りまくるだけではない、“時代を象徴するCharisma.com”という面白い解釈もできるのではないか? そんな想像をさせるだけのポテンシャルが本作にはある。考えすぎ? いやいや、優れたポップ・ミュージックというのは時代と不可分なのです。

(近藤真弥)

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