The Birthday – 最高のロックを聴かせる、約2年ぶりのアルバム『COME TOGETHER』について、チバユウスケとクハラカズユキに話を聞く──。

The Birthday

胸がいっぱいになり、体内にエネルギーが充満していった。拳を振り上げたいような、叫びたいような、泣きたいような、笑いたいような感じ。The Birthdayの7枚目のアルバム『COME TOGETHER』は彼らの最高傑作だろう。1曲目の「くそったれの世界」は「とんでもない歌が鳴り響く予感がする」というフレーズで始まっていくのだが、その予感はすぐに確信へと変わっていく。ラストのタイトル曲「COME TOGETHER」はその極みだ。ロックやパンクの標語であるノー・フューチャーな感覚、瞬間瞬間に完全燃焼していく姿勢を持ったまま、輝かしいフューチャーへの予感を抱いて進んでいくパワーを与えてくれる。こんなにも愛と希望に満ちたロックンロールがあっただろうか? この作品はいかにして生まれたのか? ボーカル&ギターのチバユウスケとドラムのクハラカズユキに聞いていく。

INTERVIEW & TEXT BY 長谷川誠

 

プリプロのときの仮タイトルも慎重に付けないと、いけないなと

──音が鳴った瞬間にエネルギーがダイレクトに届いてくる作品だなと思いました。作るうえで考えていたことはありますか?

チバユウスケ そういうふうになってしまったとしか言いようがないんだけど。音質に関しては、聴いたときに音が上にある感じにしようということは考えてた。グライコ(グラフィック・イコライザー)の図のイメージで言うと、真ん中の音が上のほうにある感じ。FMっぽい感じ。いや、違うか、カーステレオっぽい感じかな。
クハラカズユキ でも最近のカーステレオの重低音は具合が悪くなるくらい、すごいよ。自分のカーステの音の設定も低音はマイナス5くらいにして、ちょうどいいから。
チバ じゃあ、カーステも違うわ(笑)。もちろんLOWもあるんだけど、カリッとした音にしたいというのは思っていた。

──音に関してはクハラさんは?

クハラ 僕は音の細かいことはあまり考えてないんですけど。メロディだったり、言葉だったりによるところも大きい気がしますね。個人的には、演奏に関しては目新しいことをしたというところはないんですよ。毎回思うのは、叩いている感じがわかる音になればいいなあということ。

──演奏のフレッシュな空気が伝わってきますよね。それと、歌詞も希望を示唆するものが目立っているし、メロディも明るい要素が目立っているのが特徴的だなと感じました。例えば、「PIERROT」にしてもAメロはかなりダークなのに、サビでは一転してメジャーの明るいメロディになっている。こういう展開って、これまでにはなかったのでは?

クハラ 「PIERROT」は、あそこ、あのサビに行く感じがすごく気持ちいいですよね。

──あの流れ、グッときました。

クハラ 行かずに済まそうと思ったら、済ませられたのかもしれないけれど、あそこにあのサビに行くのが、「PIERROT」のいいところなんじゃないかと自分で演奏していても思った。

──「PIERROT」の歌詞も象徴的で、「化粧も仮面も取った ピエロは無敵さ」っていう言葉って、今回の歌詞の傾向に通じるところもあるのかなと思ったのですが。もちろんこれまでも化粧も仮面もしていたわけではないですが、よりすっぴんでもあるのでは?

チバ うーん……そうなのかな。

まさかオレが桜を題材にして歌詞を書く日がくるとは

──歌詞に関して、これまでだったら書いてないだろうなと思うフレーズが目立っていますが、チバさんはそういう自覚は?

チバ 「SAKURA」なんかはちょっと思ったかな。まさかオレが桜を題材にして歌詞を書く日がくるとは思わなかった(笑)。
クハラ それはオレも思った(笑)。「桜吹雪が舞い踊る」っていう言葉が出てくるんだって驚いた。
チバ お前のせいだろ(笑)。

──クハラさんのせいというのは?

クハラ プリプロ音源を持って帰るときに、自分の中で春っぽい曲だなと言ったら、チバが仮タイトルで“SAKURA”って付けたんですよ。それが本チャンにまで、影響してしまうとは思わなかった。プリプロのときの仮タイトルも慎重に付けないと、いけないなと思いました(笑)。

──直観的に付けたタイトルって、メロディの中にある曲の本質が呼び寄せたものなのではないですか?

チバ オレはあまり春っぽいと思わなかったんだけどね。でもキューに「春っぽい」って言われたから、そうなのかなって(笑)。

──「100年後のこの世界で」というフレーズも新鮮でした。これまで未来のことをこんな形で表現したことはない気がするんですが、どうしてこういう言葉が出てきたんでしょうか? 個人的には震災以降、先の世代に繋がっていくものをより強く意識するようになったんですけど……。

チバ うーん。自分でもわからないけれど、そう思ったということなんだろうなとしか言いようがない。なんで100年後なんだろうね。言いやすかったからかな。
クハラ 100年って、そのとき自分はいないんだろうけれど、近い未来だなって感じがするというのはちょっと思いましたね。1000年とか言われると、想像できないけど。まあ、10年前に10年先のことも想像できなかったんだけど、100年って、案外、すぐにくるんだろうなって。

──「くそったれの世界」での「愛し合う姿はキレイ」といったフレーズとか、チバさんがこういう歌詞を書くんだというのが驚きでもあったんですが、クハラさんはどう感じてますか?

クハラ 同じようなことは感じますよ。でもそれも自然な流れなのかなと思いますね。特別、違和感もなく、すっと入ってきた。20代の頃だったら、こんな歌詞は書いてないだろうし、今だから出てきたんだろうし、こっちも今だからすんなり入ってきたんだろうし。

正直に言うと、この曲、7月12日に作ったのね

──今だからこそということは、「KNIFE」の曲、歌詞だけじゃなく、4人の演奏にも当てはまりそうですね。人間味溢れるニュアンス豊かな演奏、音色が染みてきました。

クハラ そういうものになったらいいなということは思って、演奏していました。

──スネアやタムもすごくいい音です。

チバ うん、いいね。

──「KNIFE」はどんなときに出来たんですか?

チバ 普通にセッションしてて、キューのちょっとファンキーなビートが入ってきて、“おっ、そうくるか、いいね”と思って、やることにしたんじゃなかったかな。

──この歌詞はチバさんの少年期の実話が基になっているんですか?

チバ そういうとこもあるんだけど、正直に言うと、この曲、7月12日に作ったのね。“712”でナイフ。それでこれも仮タイトルで“KNIFE”って付けちゃって、そこからまた離れられなくなっちゃって、こうなったという。

──そういう偶然も創作のひとつの要素になっていくということなんでしょうね。

クハラ 出会いはどこに落ちているか、わからないですからね。

──7月13日に作ってたら、こうはなっていない?

チバ 全然違った歌詞になっていたな、きっと。
クハラ “ないさ”っていう曲になっていたかもしれない(笑)。“ナイフがないさ”って(笑)。
チバ うまくないぞ(笑)。

──でも「KNIFE」って、シンボリックですよね。聴いた人それぞれのナイフがありそうだし、バンドにとっては、そのサウンド自体が音を切り裂いていくナイフかもしれないし

チバ そうだね。そうやって、それぞれで好きにとってくれたら、いいんじゃないかな。

──「アイノメイロアイノネイロ」「星の首飾り」「KIMAGURE KING」など、瞬間のエネルギーが詰まった曲も目立っていますが、それはそういうモードだったということですか?

チバ そうだね。そういうモードだった。
クハラ プリプロで練って練って作っていくものもあるんだけど、「KIMAGURE KING」とか、「くそったれの世界」のカップリングの「ピストル」とか、曲が出来て、すぐにガッとやって、録っていくのが面白いわけですよ。「ピストル」なんか、本当に偶然だらけの曲だったりするし。「KIMAGURE KING」も何回も練習して録る曲でもないし。こういう曲をパッとやる感じがいいなあってことは思ってました。“鉄は熱いうちに打て”っていうか。まあ、曲によるんでしょうけれど。

──そういう曲が多くなったのはどうしてなんでしょうか?

チバ いや、なんとなく。自然にこういうものが多くなった。ほかにも手を付けようとしていた曲はたくさんあったんだけど、その中から、「これをやろう」「これは置いておこう」って、メンバーで判断して選んでいったら、こうなったんだよね。

──何か基準はあったのでしょうか?

チバ いや、基準は特に設けてない(笑)。

──「LOVE GOD HAND」はめまぐるしく展開していく曲ですが、一気に疾走していく曲でもあります。

クハラ これは大変だった。展開が色々あるから。ただ、面白いのは、曲を作っているときに、“レコーディング大変だな”と思う曲にかぎってあっさり終わったり、“すぐに終わるんじゃないかな”っていう曲が難航したり、自分の思うところと全然違うところに行くのが面白かったりしますね。でも、面白いと思うのは完成してからで、やってる最中はゲッゲッと思うんですけど(笑)。

──通算では7枚目ですが、フジイ(ケンジ)さんが入ってからは3枚目ということになって、バンド感みたいなものも増している気がします。「星に願いを」のフジイさんのギターも素晴らしいですね。ちょっとニール・ヤング的でもあり。

チバ そうだね。

──歌詞もいいですね。2サビの「俺には何も 見えてないんだ」からのくだりがグッときました

チバ この曲は、歌自体はあって、歌詞もほとんど出来ていて、あとはバンドのアレンジ待ちという感じだったんだよね。で、あのギターが入ってきて、こういう形になっていった。

──この曲のブルージーな空気もいいですよね。クハラさんはこの曲の演奏はどうでしたか?

クハラ この曲にかぎらずなんですが、自分なりにこんな感じかなってイメージしながら、叩いていくという。この曲もすごく好きですね。

鳴らしたい音のイメージって、そんなに変わらないから

──「情熱のブルーズ」の中には「ガサガサの音」と「ビショビチョの音」という歌詞があって、さらに「トゲトゲの音」と言ってる部分もあります。

チバ よく気がついたね(笑)。

──普通に聴いていると、気がつきますよ(笑)。

チバ いや、歌詞に書いてないからさ。

──ガサガサの音、ビショビチョの音、トゲトゲの音って、自分がイメージする理想の音みたいな感じですか?

チバ うん。そんな感じ。

──それは普遍的なものということですか? それとも時とともに変わってきているものなんですか?

チバ 普遍的なものでもあるし、そのときそのときで感じている音ってことでもあるけれど、鳴らしたい音のイメージって、そんなに変わらないから。

──そういう音になってきているという感じなんですか?

チバ 徐々にそうなってきているっていう感じかな。ただ、メンバーそれぞれに考えていることは違うだろうけれど。

──レコーディングの時点では歌詞が付いてないことも多いと思うのですが、クハラさんは例えば、“ガサガサの音”“ビショビチョの音”“トゲトゲの音”という言葉があったうえで、演奏する場合はどんな意識で臨むんですか?

クハラ チバが何かを思っているからそういう言葉が出てくるんだろうから、想像したりはしますよね。で、自分なりのイメージで演奏していくという。ただ、歌詞がどうっていう話はメンバー間ではしないんですよ。各々が思うものがありつつも、あえて話し合う必要もないし、自分なりに汲み取ればいいのかなって。

──そういう幅がバンドの個性を作っているとも言えそうですね。

チバ そういうところもあると思う。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人