KEYTALK – 彼らバンドの今の勢いをもパッキングしたといえる、パワフルなアルバムが到着した。改めて自分たちらしさを追求したと語る『OVERTONE』に迫る。

2014.05.20

KEYTALK

愉快、痛快、爽快を極めた伸びやかなサウンドが、心を軽く、明るく、柔らかくしてくれる。しなやかに飛び跳ねるメロディ、両極の個性を競うツイン・ボーカル、歌うように弾きまくるギター、4つ打ちを中心とした快楽的ビート。メジャー・デビュー後の2枚のシングル「コースター」「パラレル」をはじめ、ロックとダンス・ミュージックの融合というゼロ年代ロック・バンドのデフォルトから、さらに先をめざす気迫と冒険心溢れる全13曲。通算2作目、メジャー・レーベル初となるフル・アルバム『OVERTONE』で、KEYTALKは溢れ出す才能の大きさをついにあらわにした。本命は、彼らだ。

INTERVIEW & TEXT BY 宮本英夫

 

“バンドにとってすごく大きなきっかけになる一枚じゃないか?”って

──めちゃめちゃ良いアルバム。ニコニコしながら聴いてます。KEYTALKの王道をいく曲もあれば、珍しくスローな曲もあり、未来を予感させる新しい要素も入って、いろんな面が見られてうれしかったです。フル・アルバムは、いろいろできていいですね。

首藤義勝 そうですね、本当に。

──どんなアルバムをめざして作り始めたんですか? 最初のきっかけは。

首藤 前作の『ONE SHOT WONDER』を出して以降、バリエーションをいろんな方向に振った曲作りをしていたんですよ。それでいろんなタイプの曲がストックとしてたまっていったんですけど、その中で次のアルバムを作ることになったときに、プロデューサーの田上(修太郎)さんを交えてミーティングをして。そこで「いろんな方向に振ろうとしすぎてるんじゃないか」という話が出て。

──はい。なるほど。

首藤 自分たちでは、気づいていなかったんですけど。そこで一回意識が変わって、もう一回、“KEYTALKサウンドとはなんぞや?”というものをメンバーそれぞれが意識し直して、そのあと、ハイスピードでもう一回曲をためていって。結果、この『OVERTONE』の中には、ミーティング以前に自然に作っていた曲と、ミーティング以降に“KEYTALKらしさ”を考え直して作った曲と、半々ぐらいの割合で入ってます。

──ということは、“KEYTALKらしさ”を考えた曲のほうが、あとに出来たと。普通は逆のような気がするけれど。

首藤 そうですね。「どういうアルバムにしたかったか?」と聞かれて、唯一あるとすれば、そこですね。“KEYTALKの魅力とは?”ということを考え直したこと。“こういうアルバムを作りたい”というものが明確になったタイミングは、そこだった気がします。

──それはきっと、田上さんも、これがメジャー1発目のフル・アルバムだから、誰が聴いてもKEYTALKの決定版を作りたいと思ったんじゃないですかね。いろんな曲調に手を広げるのもありだけど、まずはそこをドン! と出したいなと思ったんじゃないか。

首藤 うん、そうですね。本当にそのとおりだと思っていて。僕たちとしては、2枚目のフル・アルバムなので……。

──もっと変化させてみたかった。

首藤 そうですね。ただ、周りの環境を考えてみても、これがデビューしてから初のフル・アルバムだし、これを出したらおそらく大きい規模のツアーも回るだろうし……実際、回るんですけど。“バンドにとってすごく大きなきっかけになる一枚じゃないか?”って、おそらく田上さんもそう考えて、“KEYTALKらしさ”というワードを言ってくださったのかもしれないです。

──そんな気がすごくする。結果的に、大正解だと思いますよ。ちなみに、最終的なストック曲はどのくらいに?

首藤 候補は33曲ぐらい。もれた曲ももちろん良かったんですけど、その中でもさらに群を抜いていいものが集まったんじゃないかと思います。

──アルバムに入っている時点で、かなりの競争を勝ち抜いてきた。

首藤 うん、そういう意味では、自信を持って届けられるラインナップだと思います。

──どうですか、巨匠(寺中)は?

寺中友将 33曲というのは、ひとつの作品のために作った楽曲としては今まででいちばん多かったので。その甲斐あって、一曲ごとのレベルはかなり高いと思います。このアルバムの曲だけでひとつのライブを作り上げられちゃうぐらいの、曲たちの集まりじゃないかと。

今こうやって(4つ打ちの)ブームが起きてるのは、面白いなと

──ドラマー的には、どうですかね。今回のアルバム制作を通じて、何を思ったか。

八木優樹 曲がすごく良かったので、レコーディングが楽しかったです。フレーズのアイデアもいろいろ出てきて、試せて、良かったです。

──KEYTALKといえば4つ打ちというイメージも強いけれども。そうじゃないビートの曲も結構あるし、そんなにこだわりもなくなってきたのかな? と。

八木 そうですね、4つ打ちはもちろん好きですし、KEYTALKらしさの一部でもあるなと思うんですけど。こだわりは、そこまでないです。僕は。

──あくまで、曲に合ったビートやフレーズを考えるという。

八木 そうですね。

──それは、曲作りの段階から、そんなにこだわっているわけでもないのかな。4つ打ちというのは。

首藤 そうですね。作る人によって違うかもしれないですけど。もちろん、最初に4つ打ちのビートを貼り付けてからメロディを考えることもあれば……いちばん多いのは、メロディとコード進行優先ですけど。聴き心地のいいメロディを作ろうとすると、自然と……音楽的な話になっちゃうんですけど、オモテの拍にメロディを置くと、日本語が映えやすくなるなって、個人的には思っていて。タン、タン、タン、タンって。

──ああ、はい、オモテの拍にメロディを乗せる。

首藤 そういうことも、関係してるのかもしれない。結果、ハットがウラ打ちになって、メロディを活かすためにキックが4つ打ちになってるのかなとか思ったり。その分析が正しいかどうか、わかんないですけど。“なんで自分の曲は4つ打ちが多いのかな?”って考えると、そういうことも関係あるのかなと。
小野武正 たしかに。

──いや、今の発言は、すごく納得しました。4つ打ちの理由は、メロディを心地よく響かせるためというのは、よくわかります。

首藤 実際歌ってても、4つ打ちに乗せたメロディは歌いやすいし、ステージからお客さんを見ていても、飛び跳ねてくれてるし、歌ってくれてるから、ダンス・ロックでは収まらない次の音楽というか……新しいものではないと思うんですけど、今こうやって(4つ打ちの)ブームが起きてるのは、面白いなと思います。なんか若い子たちの、ロック・ファンの心をくすぐる理由があるんじゃないか? って、考えたりもします。

──それを意図的に、狙って作る場合もある。

首藤 そうですね、曲によっては。

自分の中で幅を広げて、試してみた感じはあります

──ギターの話をしましょうか。小野くんが、今回意識したことは?

小野 そんなに意識したということはなくて、自然の流れで。今までも、ライブでやるたびにちょっとフレーズが変わっていったりしたんですけど、それと同じで、デモを聴いた段階から、自然に取り入れられたかなと思いますね、フレーズに関しては。ただギター・ソロは、今回は今まで以上に多かった。義勝が作った曲は最初からギター・ソロが入っているのでそのまま弾いたり、自分でソロを作って入れたり。僕が作ったものだけじゃないので、13曲のバリエーションがあったりします。

──しかも、作曲者としても貢献してますね。小野武正 作曲は、「BEAM」「始まりの扉」「シンドローム」の3曲ですか。

小野 作り方は、いつもとちょっと変えてみたりして。繰り返しのメロディが大好きなので、それが多いといえば多いんですけど。ちょっと変えてみたり、今までどおりのところがあったり、自分の中で幅を広げて、試してみた感じはありますね。それが結構、いい感じになったかなと思います。

──小野くんの曲は、首藤くん、巨匠の曲とはかなり違うから。それだけで、バリエーションを広げる役割を果たしてると思います。しかも今回は、八木くんも1曲提供してますからね。どうですか、自作の「YGB」について、聴きどころは。

八木 えーっと……聴きどころは……。
小野 2番のAメロじゃないの?
八木 そうですね。2番Aメロの……。
寺中 言わされてる(笑)。
八木 「1 and 2 and 3 and 4 and」の“エンッ(and)”がポイントっす!!

──細かいな(笑)。

八木 最初は入れる予定がなかったんですけど。巨匠が歌詞を付けてきたときに、「and」を入れたいなって、そのときに思いました。あとは……普通の曲っす!

──(笑)。この曲、前の「シンドローム」と繋がってるでしょう、メドレーみたいに。この、畳み掛けるスピード感がすごく良かった。

八木 そうですね。ライブ感があっていいですよね。
小野 その前のバラードからの、“後半戦始まるぜ”という2曲ですね。でも本当に聴きどころは「and」でいいの? もっと言ってくれよ(笑)。
八木 いや、本当に……あの……あれって、みんなで録ったんだっけ?
小野 そう。“エンッ”“エンッ”って。田上さんも。そう、で、そこの音量を上げてたらなんだかRIP SLYMEに似ちゃったから、音量を下げたんですけど(笑)。そこのバランスもこだわりポイントですかね。
寺中 あと、この曲だけじゃない? 2ビートがあるの。
八木 あ、そうだ! 無理矢理ねじこんだ2ビートが、こだわりです。ギター・ソロの後半なんですけど。楽しかったです。
小野 このギター・ソロも、かなり渾身の出来ですね。

──この曲のテンションの上がり方は、アルバム後半の最高到達点じゃないですか。あと、前半の「お祭りセンセーション」から「パラレル」にいくあたりと。あ、それで思い出した、「お祭りセンセーション」の、最後に“オイヤッ!”とかなんとか叫んでる、あれは誰?

寺中 あれは俺です。
小野 ソイヤッ! って。
寺中 いや、セイヤッ! って言ってます(笑)。最初はイントロに入れてたんですけど、“ここは違うな”ということになって、いろんなところに貼りまくってみたんですけど。結局いちばん最後に落ち着きましたね。

──「お祭りセンセーション」は、明るくてパワフルで、すごくKEYTALKらしい一曲。これはあれですか、インディーズから続いている“お祭り”シリーズの最新作ですか?

寺中 そうです。「祭りやろう」「祭り小僧」に続いて、3作目です。ほかに血液型の曲もあったりして。

──ああ、「A型」「B型」ですね。シリーズものがあるんですよね、KEYTALKの曲って。

寺中 そういう曲を作ろうとすると、いつになく早く曲が仕上がるんですよ。今まで作った祭りシリーズのニュアンスをちょっと入れるだけで。でも、最終的には結構違う曲になるんですけど、どんどん新しいお祭りソングが出来たりするので。やりやすいです。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人