MAMALAID RAG ALBUM「So Nice」ディスクレビュー

So Nice

ALBUM

MAMALAID RAG

So Nice

Aldente Enterprise

2014.05.14 release

<CD>


本当の豊かさを実感できるオーガニック・ミュージック

 現代社会において“何を選ぶか”ということはとても大きな意味を持っている、と思う。例えば毎日の食事。人によっては“今日はめんどうだからコンビニでいいか”ということもあれば、“少しでも身体に良いものを摂りたい”ということもあるだろうが、その結果は確実に体調に反映される。その他、生活におけるすべての事柄——住環境、身に着けるもの、移動手段、仕事のスタンスなど——のなかで我々はいつでも選択を迫られていて、そこで選んだもの(購入したもの)によって人生が形作られてるのだ。そして、一つひとつの判断は個人の生き方に直結するだけはなく、社会全体にも大きな影響を与える可能性を持っている。いや、大げさはなく。

 MAMALAID RAGの田中拡邦は、社会や世間の風潮に流されることなく、自分自身の頭で考え、相応しいものを選び、それを実践することで、まさにオーセンティック(authentic=信ずべき、確実な、根拠のある、真正の、本物の)と呼ぶにふさわしいポップ・ミュージックを作り続けている。ソング・ライティング、アレンジ、演奏、録音をすべてひとりで行い、基本的には伝統的な方法に根ざしながら、新鮮で普遍的な音楽を志す。6thアルバム『So Nice』にも当然、その姿勢がしっかりと貫かれている。オーソドックスなロックンロール・ナンバー「Lazy Girl」、スタンダードとしての風格を持ったミディアム・バラード「愛の知らせ」、開放的なメロディが印象的なポップ・チューン「虹の彼方へ」。フランク・シナトラ、ポール・マッカートニー、アストラッド・ジルベルト、大瀧詠一といった先人たちの影響を正統に受け継つつ、2014年に相応しい豊かさを持った音楽へと結びつける——そのスタイルは今も進化を続けているのだ。

 田中は東洋医学、マクロビオティックにも詳しく、徹底してオーガニックにこだわっている(何事においても、自分にとって正しいことを選べる人なのだ)。もちろん僕はそこまでストイックになれないし、多くの場合、長いモノに巻かれてしまう。しかし、僕はこうして、いつでも好きなときにMAMALAID RAGの音楽を聴くことができる。そして、そのたびに僕は“本当の豊かさ”を感じることができるのだった。

(森 朋之)

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