ふぇのたす MINI ALBUM「胸キュン’14」ディスクレビュー

胸キュン’14

MINI ALBUM

ふぇのたす

胸キュン’14

COCONOE RECORDS

2014.05.14 release

<CD>


ポップで胸キュンな、極上サウンド・キューティクル!

 聴く者のポップ・センスを丸裸にしてくれる作品。それがふぇのたすの2ndアルバム『胸キュン’14』だ。CDが売れないとか、ガラパゴス化だなんて、マイナスな減点方式で考えなければ、今のジャパニーズ音楽シーンはとても面白い。

 それこそ、新しい音楽との出会いも、音楽制作における新ルールの定義作りに成功したボーカロイド文化の普及、差別化競争でエクストリームに進化したアイドル文化、クオリティ高い作品が集まっているアニソン文化、祭感覚で騒げるフェス文化、ネット文化と溶け合うネットレーベル的なダンスミュージックによって国境を軽く越えていく感覚などなど、様々なトピックに溢れているのが2014年の“今”ということなのだろう。

 そんななか、上記音楽ムーブメントのすべてを飲み込むマルチタスクな処理能力を持ったハイブリッドな3人組ポップ・グループ、ふぇのたすが面白すぎる。いわゆる、テン年代の日本的ミックス・カルチャーなカオス感を、キラキラしたポップ・ミュージックに変換できてしまう素晴らしさ。デジタル時代の走りであった’80年代ポップ感溢れるプラスチックなエレクトリック・ドラムなビートや、シンセ・ポップなサウンド・キューティクルが、各種メタファーとなるいいにおいを醸しだしつつ、脱臼系キュートなミコの歌声電波が、頬をクスッとゆるませてくれるのだ。

 1曲目「すしですし」での、寿司愛を表現した言葉遊び感覚な快楽ポイントの高さ。2曲目「たびたびアバンチュール」における、ディフォルメされたビート・ロック感。3曲目「有名少女」は、アニソン風なポジティビティある3分間ポップ・センス。4曲目「おばけになっても」での、恋愛物語を“おばけ”をテーマに表現する上級ラブソング。5曲目「もどかしぃテレパシィ」でのシャッフル・ビートに乗せて歌われる乙女心の葛藤。6曲目「チーズケーキコンプリーション」では、心に染み渡る王道ラブ・ソングを聴かせてくれる邦画センスなリアル感。7曲目「ありがたす」では、テクノポップなすちゃらかビートに乗って、サビではじけるサイダーのような爽快感あるナンバーで締める、安定の起承転結っぷり。

 以上、ふぇのたす2ndアルバム『胸キュン’14』を駆け足で解説してみた。なお、本作では共同プロデューサーに吉田仁(SALON MUSIC)が参加していることは、渋谷系パーフリスト(←わからない人はググるべし)として見逃せない。もしかしたら旧来のポップ・ミュージック・カルチャーへのパンキッシュな視点での批評センスがぐるりとひねられて、激キュートなふぇのたすサウンドは構築されているのかもしれない。

(ふくりゅう(音楽コンシェルジュ))

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