THE★米騒動 – THE★米騒動が活動休止前最後の作品となる『輝かしい未来へ』をリリースした。タイトルどおり、3人にはきっと輝かしい未来が待っている。

THE★米騒動

3月に無期限活動休止を発表したTHE★米騒動の3rdアルバム『輝かしい未来へ』がすごくいい。3人は、最後の最後に本当の意味で自由な音楽を手に入れた。そこで鳴る、すごい音と、すごい歌が全8曲。活動休止に至った経緯と本作に込めた思いを、石田愛実と坂本タイキが胸襟を開いて語ってくれた。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一

 

漠然と続いていくんだろうなって思ってました

──無期限活動休止についてはどのインタビューでも聞かれてると思うんですけど、解散にしなかったのは未来の可能性も残したいという思いからですか?

石田愛実 そうですね。このバンドを始めたのが高校1年生のときなのでもう7年もやっていて。結局、札幌にいながらバンド活動するなかで大学に行けなかったり、バンドを優先することで犠牲にして、やれなかったことが結構多くあって。バンドも若いうちにしかできないことだと思ってたんですけど、今はそれ以外にやり残してることがあるなと思ったんですよね。じゃあ今、バンドを一旦休止して自分がやり残したことをやってみようと。自分の人生を長い目で見たときにそれも今やらなきゃいけないことだと思ったから。ちなみにベースの沖田(笙子)さんは今、看護学校に入るために予備校に通ってます。

──看護学校なんだ。石田さんは?

石田 私も就職しようと思っていて。でも、就職難だから志望する会社に入れるかはわからないんですけど。美術系の専門学校に行ってたので、そっち系に進めたらなと思ってるんですけどね。なかなか中途採用だと厳しいですよね。あはははは。

──ストレートに聞きますけど、なんで就職したいと思ったんですか?

石田 自分でお金を稼いで、自分の力で生活しないといけないなと思って。いずれは将来、結婚して子どもを産んでって考えたときに、そういう部分でも若さを売りにできるのは今しかないなと思って(笑)。

──女性としての幸せを考えたと。石田さんからみんなに活動休止を告げたんですよね?

石田 そうですね。

──音楽とはどういう距離感で付き合っていこうと思ってるんですか?

石田 仕事が落ち着いてきたら、うまく時間を作って音楽もバリバリやりたいと思っています。

──じゃあ別のバンドを組むという意志もあるんだ。

石田 そうですね。札幌でベースレスのヘタレ・ハードコア・バンドをやりたいなと思っていて(笑)。メンバーもほぼ決まってはいるんですよ。やっぱり私は音楽をやるなら札幌でやりたいので。あくまで札幌で、札幌の大先輩たちの流れを受け継ぐような音楽をやりたいなって。

──米騒動で札幌に根ざした活動をするという選択肢はなかったんですか?

石田 米騒動も活動休止はせずに、東京のレーベルとも離れて札幌在住で札幌のバンドとしてやるという話も最初はあったんですけど。でも、それだと坂本の気持ちに的にはバランスがよくないということで。それで話し合った結果、無期限で活動休止してメンバーそれぞれでやりたいことをやろうってなったんです。坂本は、上京します。

──なるほど。坂本くんは石田さんから活動休止の話を聞いたときに率直にどう思ったんですか?

坂本タイキ “マジかー!”って。実際に「マジかー!」って言いました。
石田 (笑)。
坂本 さらに沖田も「私も辞めたいって言おうと思っていた」って言い出したので、(バンドを続けたいのが)俺だけかよって。そういう意味でも“マジか!”っていうのはデカかったです。それが去年の11月ですね。

──坂本くんは米騒動を続けるつもりだったし。

坂本 漠然と続いていくんだろうなって思ってましたね。でも、ふたりに“そういう感じじゃないんだよね”みたいなノリでこられたから、1回このバンドにめっちゃ萎えて、すぐに解散だなって思いました。

──すぐ終わりたいと。

坂本 はい。すぐ終わったほうが絶対にいいなって。

自分らの音楽に感動しちゃって。これ、絶対またやりたくなるときがくるなと思った

──そこからこの『輝かしい未来へ』というラスト・アルバムを1枚制作するところまで気持ちをもっていけた要因はなんだったんですか?

坂本 バンド仲間とかに相談したんですよね。“こんな話になってめっちゃ気持ちが萎えてるんだよね”って。そしたら石田がその話を聞きつけて、スタジオで「そういう感じなんだ?」って言われて。俺も素直にそこで萎えたって話をして。でも、とりあえず次の日にライブがあったから3人で練習したんですよ。そしたら、いつも練習するときに自分らの音楽がどれくらいカッコいいかなんて意識してないんだけど、そのときに“このバンド、めっちゃカッコいいじゃん!”って思って。

──気持ちが萎えて客観的になったら改めてそう思えた。

坂本 はい。自分らの音楽に感動しちゃって。これ、絶対またやりたくなるときがくるなと思ったんですよ。じゃあ止まるとしても解散じゃなくて休止のほうがいいなって。それに解散ってなんか寂しいじゃないですか。

──素直だね(笑)。でも、すごくグッとくる話だな。

石田 私もすごく不思議な感覚がありました。どういう形であれ、このバンドは止まるんだって思ってからスタジオに入って練習したり曲を作ったりするのも不思議な感覚で。

──ある意味ではすごく特別なことですよね。近い将来に別れると決めた恋人同士が何かを残そうとするみたいなことで。

石田 うん。解散が決まったバンドとかって、ライブが急によくなったりするじゃないですか? その感覚がめっちゃわかるなと思って。

──ちゃんと燃え尽きようとするからなんでしょうね。

石田 なんだろうな、あの感じ。自然とそうなるんですよね。
坂本 無意識にね。終わるんだって思ったら全然違うよね。

──坂本くんは上京して新しいバンドを組むんですか?

坂本 そうですね。年内には上京したいなって。一応、札幌で一緒に別のバンドをやってる仲間とこっちに来るんですけど、東京で面白い人と出会いたいなって。バンドをいくつか掛け持ちするかもわからないし、とりあえず面白い人を見つけて面白い音楽を作りたいですね。

──もう1つのバンドってどういう感じなんですか?

坂本 まだ組んでから全然時間が経ってなくて、ライブも3回くらいしかしてないんですけど。メンバーは同い年の3人で。それも女ボーカルなんですけど。

──今回、「ボーイミーツガール〜feat.MC死後硬直〜」ではラップを披露してるけど、これからラップもやるんですか?

坂本 ああ、ラップもやっていきたいですね。
石田 (笑)。

──やったほうがいいと思う。トラックも自分で作ってさ。

坂本 でも、まだパソコンももってないんですよ(笑)。金がなくて買えないんですよね。

──誰かくれないかね(笑)。ついでにMPCとかも。

坂本 誰かください!(笑)。トラックも作ってみたいってずっと思ってるんで。OKAMOTO’Sのレイジくんとかトラックを作ってるんで、いろいろ教えてもらいたいですね。

──レイジもMPCで作ってるって言ってた。バンドにはもっていけないやつしかできないけど、って(笑)。

坂本 そうそう。レイジくんのトラックを聴かせてもらったことあるんですよ。“これにラップしてよ”って言ってくれて。なんか一緒にやりたいなあ。

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