吉澤嘉代子 MINI ALBUM「変身少女」ディスクレビュー

変身少女

MINI ALBUM

吉澤嘉代子

変身少女

e-stretch RECORDS

2014.05.14 release

<CD>


女子の妄想から生まれたロマンチック・ポップス

 シンガー・ソングライター、吉澤嘉代子のメジャー・デビュー・ミニ・アルバム。昨年、1stミニ・アルバム『魔女図鑑』をリリース。音楽番組「musicるTV」の“もし売れコーナー”で3度紹介され、MCのヒャダイン、綾小路翔(氣志團)に絶賛されるなどすでに大きな注目を集めている彼女だが、本作によってその才能はさらに大きく開花しているようだ。サウンド・プロデュースを石崎光子(cafelon)が手がけ、バンド・メンバーに田淵ひさ子(g/bloodthirsty butchers)、福岡晃子(b/チャットモンチー)、あらきゆうこ(ds)、せんせい(key/東京カランコロン)らを招いて制作されたリード・トラック「美少女」がとにかく素敵。かわいさ、可憐さ、そして性的なにおいをミックスさせた“美少女ボイス”としか言いようのない声質、’60〜’70年代あたりの古き良きポップスを想起させるようなドラマチックなメロディ、そして、“恋がしたい 恋がしたい/美少女になれたなら”という女子の欲望の本質をまっすぐに照らし出すようなリリック——もしかしたらこれ、とんでもなく新しいポップ・ミュージックなのかもしれない。

 音楽的な背景はおそらく、’50年代のオールディーズ、’60年代のモータウン・サウンド、’70年代の日本の歌謡曲あたり。’90年生まれの彼女がどこまで過去の音楽を掘っているからはわからないが、ここまでしっかりルーツを感じさせてくれるポップスは本当に久しぶりだ。歌詞の内容は6曲とも恋愛ソング。リアルな生々しさはほとんどなく、“ふたりで隠れた傘の中 ほっぺにキスをした”(「ラブラブ」)とか“涙のイヤリング 戻らなくていいから/あなたに会えるようにと 短冊に願ったよ”(「涙のイヤリング」)など、少女の妄想的なフレーズが込められていて、最近のアイドル・ソングとは一味違う、独特のロマンティシズムをたっぷり感じることができる。正統派のシンガー・ソングライターとしての実力、天然系のアイドル・シンガーとしての魅力を併せ持ったニューカマーだと思う。

(森 朋之)

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