THE★米騒動 ALBUM「輝かしい未来へ」ディスクレビュー

輝かしい未来へ

ALBUM

THE★米騒動

輝かしい未来へ

WhiteRiot/UK.PROJECT

2014.05.14 release

<CD>


絶望と希望が混在する活動休止前のラスト・アルバム

’10年に十代限定フェス“閃光ライオット”でグランプリを獲得、新世代ロック・バンドの旗手として注目された3ピース・バンド、THE★米騒動の無期限活動休止前のラスト・アルバム。1stアルバムが『どうでもいい芸術』、2ndアルバムが『十九歳でぜんぶ終わる』だったことを考えると活動休止にも妙に納得がいくし、彼らはおそらく“こんなこといつまでも長くは続かない”(「雨上がりの夜空に/RCサクセション」)という思いを抱えながらバンドをやっていたのだと思う。と言うか、ロック・バンドというのは本来“そういうもの”だった。既存の価値観を否定し、“そのとき、その瞬間”の衝動をそのまま打ち鳴らすのがロックだとしたら、そんなものが長く続くはずはない。ましてやバンドで生活しようとか、成功しようなんて、そんなことは考えるほうがおかしいのだ。その文脈で言うとTHE★米騒動はきわめて真っ当なロック・バンドだ。

“ビールのにおいか 反吐のにおいか/パンピーのPOPは積み重なる”(「てじめ」)、“正しく生きることに意味はない”(「真直ぐ」)、“表現者になんてなりたくない!/歯車になって死んだ方がなんぼか楽でしょう?”(「セルアウト」)など、あまりにも鋭いが故に当然反発も起こるであろうフレーズを躊躇なく叫びまくり、世間とリスナーとメンバー自身のなかにある偽善と欺瞞(ぎまん)を白日の下に晒す——このアルバムを聴いていると、いかに自分がダメな人間かを思い知らされて、ダークな感情が増幅してしまうのだった。
 
 さらにすごいのが、驚異的な進化を遂げたバンド・アンサンブル。シャープに研ぎ澄まされたビート、ずっしりとした重さを感じさせながらも、どこまで突き抜けていくようなスピード感を失うことがないギター・サウンドは、4つ打ちビートでピョンピョン踊るばかりの現在のシーンにおいて、異質かつ異彩な存在感を発揮しているのだ。イギリスのロック・バンド、マニック・ストリート・プリーチャーズはデビュー時に「1stアルバムを世界中でナンバーワンにして解散する」と宣言した。その宣言は情けなくも失敗に終わったわけだが、その後マニックスは鋭い思想性と深い音楽性を両立させながら、イギリスを代表するロック・バンドになった。“輝かしい未来へ”とタイトルされた本作を聴いていると、“THE★米騒動がここで終わるわけがない”という思いがどうしても止められなくなってしまう。

(森 朋之)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人