クリープハイプ – 移籍後初のシングルとなる「寝癖」をリリース。今のクリープハイプのど真ん中をいく珠玉の名曲についてのインタビューを。4月に行われたライブのレポートも掲載。

クリープハイプ

クリープハイプがニュー・シングル「寝癖」をリリースした。作品としては、アルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』以来、約10ヵ月ぶりのリリース。ずいぶんと間が空いたが、その理由はここで改めて語る必要はないだろう。それほど、最近の日本のロック・シーンで大きな話題となった出来事を彼らは体験し、体験させられた(もし“なんのこと?”という人がいたら、ネットで調べてみてください)。「体験し、体験させられた」と書いたのは、彼らが自分たちの意志で選んだ結果として起きたこともあれば、自分たちの意に反して起きたこともあったからだ。でも、そのすべてに彼らはまっすぐ向き合った。とはいっても、“どんとこい!”的な悠然とした態度で向き合ったわけではない。“なんでこんな腹立つことになるんだろう”と憤ったり、“俺たちの言いたいことはちゃんと伝わってないんじゃないか”と不安になったりという負の感情もたっぷりと味わいながら、そのことに向き合わざるを得なかった、というほうが正しいかもしれない。
彼らのすごいところは、そんな負の感情すらも、とても魅力的な作品にしてしまうことだ。ニュー・シングル「寝癖」が、彼らのどんな気持ちから生まれてきたのかは、この後のインタビューを読んでもらうとして、もうひとつ、今回の一連の流れから生まれた作品がある。正確にいえば作品ではないけど、そう言ってしまいたくなるほど、彼らキャリアにとっても大きなポイントになったであろうこと。4月16日・17日に行われた日本武道館公演だ。インタビューを読んでもらう前に、この日本武道館のライブを観れなかった人のためにライブをまずは振り返ってみたいと思う。

INTERVIEW & TEXT BY 河口義一 PHOTO BY 関 信之(go relax E more)[PORTRAIT]

 

≫シングル「寝癖」のインタビューはこちらから

LIVE REPORT 4月16日(水) 日本武道館
“平日の武道館 バイト編〜ねぇ、シフト代わってくれない?〜”

creep_live1

彼らにとって初の日本武道館。初日は“平日の武道館 バイト編〜ねぇ、シフト代わってくれない?〜”、2日目は“連日の武道館 正社員編〜有給休暇の使い道、これが私の生きる道〜”というタイトルが付けられ、それぞれインディーズでリリースした曲、メジャーに行ってからの曲を中心にしたセット・リストを組むという趣向だ。
会場内に流れているザ・スミスの曲が突然止まり(ちなみにザ・スミスがBGMだったのは、このライブ用に尾崎が作ってもらったステージ衣装に、ザ・スミスの歌詞が書いてあったかららしい)、場内が暗転するとメンバーが登場。ステージ後方のスクリーンに、この日のタイトルに合わせて、コンビニで働くバイトくんが主役のストーリーの映像が映し出される。彼が仕事をさぼって観ているのは、2月21日の深夜に、Ustreamで配信されたクリープハイプのライブだ。その1曲目に演奏された「イノチミジカシコイセヨオトメ」に「なんで1曲目、それなんだよ。お前ら、なんで始まったと思ってんだよ」と文句をつけるバイトくん。すると、映像が途切れ、尾崎が語る。「クリープハイプは、この曲で始まったと思っています」。尾崎のギター・カッティングと共に始まったのは「左耳」。まさに彼らが多くの人に愛されるきっかけになった曲だ。いつもは、彼らの定番曲として会場を盛り上げるこの曲も、この日はちょっと違う意味で心に響いてきた。ライティングのストイックさも手伝って、メンバーのこの曲に対する特別な想いがこちらまで伝わってくる。「SHE IS FINE」、「蜂蜜と風呂場」、「あの嫌いのうた」とインディーズ時代のナンバーが続く。尾崎世界観がバンドを作って12年。このメンバーになって5年。そんな年月の意味というものが、この日の曲たちには寄り添っていたと思う。ただ、この日の、いやこの日だけでなく、この2日間のライブの価値は、彼らのキャリアをみんなで振り返るようなノスタルジックなところにあるわけではない。今を進むバンドとして、圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、すべての曲を今の自分たちとして表現した、なんの前情報がなくても楽しめる、ただただシンプルに素晴らしいライブだった。でも、その中から滲むように伝わってくる、曲が生まれた当時からの彼らの想いが、よりこの日のライブを奥深いものにしていたのも間違いないだろう。この日の中盤での「バンドの友達が来てくれていて。そんな友達のバンドのぶんとか、頑張ろうとちょっとは思っています」というMCや、初日の最後の曲「ねがいり」を歌う前で語った「お客さんが5人くらいしかいないときから、事務所の社長が武道館、できるからって……何言ってんだろうと思ってたんですけど。でもできたなって。うまく言えないけとバンドやってて良かったなって思っています」というMCからも、そんな彼らの想いが伝わってきた初日だった。

SETLIST
2014.4.16
“平日の武道館 バイト編〜ねぇ、シフト代わってくれない?〜”

M01. 左耳
M02. SHE IS FINE
M03. 蜂蜜と風呂場
M04. あの嫌いのうた
M05. マルコ
M06. チロルとポルノ
M07. ラブホテル
M08. グルグル
M09. グレーマンのせいにする
M10. 傷つける
M11. 風にふかれて
M12. ごめんなさい
M13. 火まつり
M14. バイト バイト バイト
M15. HE IS MINE
M16. 身も蓋もない水槽
M17. ウワノソラ
M18. 社会の窓
M19. 憂、燦々
M20. オレンジ
ENCORE-1
EN01. イノチミジカシコイセヨオトメ
EN02. 手と手
ENCORE-2
EN03. 寝癖
EN04. ねがいり

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