Droog SINGLE「In A Ghost World」ディスクレビュー

In A Ghost World

SINGLE

Droog

In A Ghost World

STARDUST RECORDS

2014.05.14 release


今の自分たちを存分に詰め込んだ3曲。骨太感増量中!

 「こんなオバケ屋敷みたいな世界で、俺がどれだけリアルに叫べるのだろうか」そんな想いから生まれたとカタヤマヒロユキ(vo)が言うリード・トラック「In A Ghost World」。“君がいなけりゃ俺はゴースト(意訳)”と歌うこの曲には、若々しい希望と不安、すなわち出会いと別れに揺れる想いがギュッと詰め込まれている。居心地の悪い世の中で心の拠り所を求める22歳のカタヤマのリアルな叫びが、ストレートに胸に刺さる。そんな歌を転がすのは、ウィルコ・ジョンソンばりにドライブするギターにダイナミックなビートが絡まる骨太なサウンド。ロック名盤を聴き漁り学習した成果か、これまでの2作より一段と逞しくなったことを実感すると同時に、生まれ育った大分県で小学生の頃からツルんでバンドをやってきた4人の、今も変わらぬ呼吸が伝わってくるようだ。彼らに限らず黒猫チェルシーやOKAMOTO’S、爆弾ジョニーなどケツの青い頃からバンドに取り憑かれてきた子供たちが続々デビューしていることに、驚くと同時に頼もしく思う。

 さてそんな息の合ったところを生かしたナンバーが「BORN TO DANCE」だ。リフ一発、グルーブ勝負で突っ走るタイトルどおりダンサブルなこの曲は、ヒップホップ的な節回しがちょっとある一方、彼らが知るはずもない’70年代のディスコのような怪しいサイケデリアを感じさせるのが面白い。ロックやパンクだけではなく、モータウン・ナンバーなども聴き齧っているのかもしれない。本能的な衝動と勘で曲から曲へと渡り歩き、気付けばルーツを辿ってる、なんて日々を想像したくなる曲だ。さらに侮れないのは3曲目の「BAND ON THE ROAD」。ポール・マッカートニー&ウィングスの代表曲「BAND ON THE RUN」とJ.ケルアックの詩集「ON THE ROAD」がタイトルの由来だが、大きく歌い上げる切ないメロディは、バンドを中心に巡っている今の彼らの息吹そのもの。「胸を張って 言える事は 汚い手は 使ってないぜ」と歌う一節に思わず拍手だ。CDが売れないだのバンドはダメだのと大人はすぐに言うけれど、バンドをやっている本人たちにとってはそれより大切なことがある。いい曲を書いて全国をツアーする。そこからすべてが始まるのだ。心から頑張れ! と彼らに言おう。

(今井智子)

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