それでも世界が続くなら – バンド初となる今回のシングルにつけられたタイトルは「僕らのミュージック」。篠塚のまっすぐな思いを聞いた。

それでも世界が続くなら

昨年9月にアルバム1st『僕は君に武器を渡したい』でメジャー・デビュー。今年1月にリリースしたミニ・アルバム『明日は君に会いに行くから』がタワーレコード全店チャートで4位を記録するなど、確実に注目度を高めている“それでも世界が続くなら”からニュー・シングル「僕らのミュージック」が届けられた。高揚感に満ちたメロディ、エモーショナルなギター・サウンド、“どんな昨日より 君が生きている今日が/僕には意味があるんだよ”“過去を壊せ/僕らのミュージック”というリリック。音楽に対する根本的な信頼、そして、音楽のパワーによって鬱屈した日常を乗り越えようとする意思を歌ったこの曲は、それでも世界が続くならの存在意義に直結している、と思う。

今回もバンドの中心である篠塚将行(vo、g)にインタビュー。音楽と人生にどこまでも誠実に向き合おうとする篠塚の言葉をじっくりと噛みしめてほしい。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之

 

こうやって話していることがそのまま曲になった

──1stシングル「僕らのミュージック」、素晴らしいです。バンドの魅力がさらに広く伝わるナンバーだと思いますが、この曲をシングルにしたのはどうしてですか?

僕は“どの曲でもいい”という感じだったですけどね。マネージャーは(シングルの2曲目に収録されている)「エスと自覚症状」がいいって言ってたし、いろいろ協議して……ただ、自分的にはコレ(「僕らのミュージック」)はないだろうなと思ってたんですよ。それはどうしてかと言うと、この曲がものすごく自分っぽいというか“めっちゃ、いつもと一緒”って思ったからなんですけど。でも、メンバーが「これ、すげえ良くない?」って言ってくれたですよね。「一歩進んだって思った」とか。

──“篠くんらしい曲=バンドにふさわしい曲”ということじゃないですか、それは。

たぶんですけど、僕にとっての当たり前が、人から見ると当たり前じゃないんですよね。ほら、普段“私は男性です”とか“僕には髪の毛が生えてます”なんて言わないじゃないですか、当たり前のことだから。この曲で歌ってることも自分にとっては普通なんですけど、もしかしたら今まで歌う機会がなかったのかもしれないですね。

──以前のインタビューでも話してましたからね。“音楽を信じたい”とか“俺らが好きなロックって、こんな感じでしたっけ?”とか。

そうですよね(笑)。こうやって話していることがそのまま曲になったっていう……。僕、もともとインタビューが得意じゃないんですよ。メンバーに質問されても、うまく答えられないくらいだから。でも、インタビューを受けているうちに自分のなかで気付くこともあって。そういうことも関係してるのかもしれないですね、この曲が出来たのは。でも、うれしいですよ。いっしょに話したことがある人に「この歌詞は、あのとき話したことですよね」みたいに言ってもらえるのは。何かを意識して作ったわけじゃなくて、思ってることをそのまま曲にしてるので……だから、これはメッセージ・ソングではないんですよね。

──あくまでも自分の思いを曲にしてるだけだ、と。

よく「メッセージ・ソングだね」って言われるんだけど——ある側面から見ると、そうなのかもしれないけど——“届ける”ということを意図して作ることはないですからね、俺は。今、喫茶店にいますけど(取材場所は渋谷のカフェ)、こういうところに置いてあるメニューを作ってる感じなんですよ。メニューって、無理に売りつけるためのものではないと思うんですよ。店に来た人が手に取って“これは高いな”とか“おいしいだろうか?”って思いながら見るものじゃないですか。

──で、何かを自分で選ぶ。

メッセージ・ソングはそうじゃなくて、“これを飲めよ!”って押し付ける感じなんです、僕にとっては。自分たちの曲は“こういうことを思ってる人がいますよ”ってポンと置いてあるイメージというか。それはもしかしたら内向的に見えるかもしれないけど、それをたまたま見た人が何かを感じてくれればそれでいいと思うんですよね。例えば誰かと電話をしていて、こっちの電話を切るタイミングがちょっと早かったとしますよね。そのとき“あ、もしかしたら(電話の相手は)怒ってるかもしれないな”って思うこともあるじゃないですか。

──なんでもない出来事から意味やメッセージを見出してしまうというか。

音楽もそうで、たとえ中身が全然ない曲であっても、そこに意味を見出してグッときちゃうこともあるだろうし。大切なのは“届くか届かないか”ではなくて、誠実にやってるかどうかだと思うんですよ。現代の音楽はどちらかというと“どうやって届けるか”という方法論が先に来ちゃってるんじゃないかなって。それが全部とは言わないですけど、多くの人が“(今の音楽は)面白くない”と感じてるのは、そこだと思うんですよね。それがマジックだってことがわかっていて、みんなでタネを探してるだけというか。“音楽の魔法なんてないんだよ感”がすごく悲しいんですよね、僕は。商業ロックの存在も悪くないと思うけど、それだけになっちゃうのはマズイよなって。もちろん、届ける側の責任もあると思いますけどね。メディアも業界も僕らも。ただ、ひとつ言いたいのは——これはあくまでも僕の好みですけど——チャラい気持ちで音楽をやらないでほしい。……まあ、僕らだけで今の状況を変えられないのもわかってるんですけどね。このシングルが売れようが売れまいが、僕が何を歌ったとしても、何も変わらないので。それは知ってるんですけど、「ダサイ」って言われたり数字が出なくてもいいから、聴く側がもっと音楽を信じられるようになってほしいな、と。

もっといろんなバンドがいるほうが楽しいと思う

──少なくとも“それでも世界が続くなら”のライブを観た人は“この人たちは本気でやってるな”ということがわかってると思いますけどね。イベントに出演すると、明らか雰囲気が違うし。

え、僕らですか?(笑)自分たちではよくわからないですけど……面白いですね。

──まず「盛り上がっていきましょう!」みたいなことは一切言わないじゃないですか。“自分たちが信じている音楽を演奏する”ということだけが中心にあって、そのほかの装飾は何もないっていう。

なくなっちゃったんですよね。この前、ARABAKI(“ARABAKI ROCK FEST.14”)に出演させてもらったんですよ。初めての野外フェスだし、東北にも思い入れがあったから——インディーズのときのレーベルが東北にあったんですよね——とにかく一生懸命やったんです。意地でも良いライブをしたかったんですけど、あまりうまくいかなかったんですよね、不器用だから。“もう1回、やらせてほしい”みたいなことも思ったし。

──独特ですからね、フェスの雰囲気って。

僕、フェスに行くこと自体も初めてだったんです。出るまでは全然興味なかったんですけど、実際に行ってみたら“めちゃくちゃ良いイベントだな”と思ったし、みんなが行きたい理由もわかるような気がして。で、ほかのバンドも観てみようと思って、いろいろと回ったんだけど……みんな、すごくカッコいいんですよ。でも、フェスのライブのやり方って、フォーマットがあるんじゃないか? とも思って。あれってフォーマットがあるんですか?

──基本的には“目の前のお客さんを盛り上げよう”と思いますよね、きっと。そのバンドを初めて観ると言う人を含めて、その場所にいるオーディエンスを盛り上げようとすれば、ライブのスタイルもある程度決まってくるのかも。

そうですよね。これも僕の印象なんですけど、もっといろんなバンドがいるほうが楽しいと思うんですよね。フェスって、お客さんが(観るバンドを)選べるところに意味があるんですよね? だったら、(バンド側も)いろんなことをやったほうがいいんじゃないかって。あの、僕の弟って、メタルのバンドをやってたんですよ。友達にはパンクをやってるヤツもいるし、ダブをやってるヤツもいて。ウチのドラム(栗原則雄)はロックンロール出身なんですよね。僕自身はそういう(ジャンルの)違いは全然気にならないので。もしかしたら好きじゃない音楽もあるかもしれないけど、やってる人が好きなら友達になれるし。……まあ、友達は少ないですけど。

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