tofubeats – ニュータウンのシティポップーー。森高千里を迎えたデビュー作に続き届けられたのは、藤井 隆!

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tofubeatsがメジャー2nd EP「ディスコの神様」をリリースした。前作「Don’t Stop The Music」で森高千里を迎え、J-POPの本質的な魅力に新世代の感性で光を当てるディスコ・ポップ・アンセムを放った彼が、次に自らのステージに手招きしたのは“ニュータウンのシティポップ”というキーワードでリンクした藤井 隆だ。この人選の妙と、センチメンタルなユーモアを乱反射させながらリスナーにステップを刻ませる音楽的な高揚感はやはり格別だ。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一


自分にとってニュータウンってすごく大事なテーマだなって改めて思った

──まずは「Don’t Stop The Music」の反応をどう受け止めたのかという話からできれば。正直、もっともっと売れてほしかったというか、売れるべきだったと思うんですけど。

でも、まあ、こんなもんかなって。逆に僕は思ったより売れたかなと思っていて。自分的にはリリース前のワーナー内の下馬評が高くて結構ビビってたんですよね(笑)。「tofubeats、いきなりすげえ売れるんじゃねえか?」って社内で言われてるという話を風の噂で耳にして。

──僕がワーナーのスタッフでも願望込みでそう言うけど。

一応、結果的にはすごくマズいって感じの数字でもなかったと思うので、個人的には一安心したところもあって。やっとこれで2枚目に取りかかれるなって。あとは、セールスの数字が100パーセント実力のバロメーターじゃないのはわかってるから。売れたなかで僕の音楽が好きだという人がどれくらい、様子見で買ってくれた人がどれくらい、森高さんのファンがどれくらいっていう割合がまだ自分でも見えてないから。そのあたりもメジャーで2枚、3枚リリースしてから見えてくるものなのかなと。

──音楽的な手ごたえとしてはどうなんですか?

身近な人たちには「まだまだできるよね」みたいなことを言われたので。自分でもそう思うし。そういう意味でもすごく勉強になったなと。

──“まだまだ”というのはどのあたりに感じてます?

う〜ん、やっぱり遠慮があったかなって。いま思うとですけど。

──森高さんに?

そう。踏みきれてなかったなって。それはリリースしてみてわかったことですね。それと、最初にしてはすげえ頑張ったなという思いと両方あります。

──前回インタビューしたときにtofu氏は「もう次のゲストにはオファー出してます」と言っていて。

あれから相当時間がかかりましたね(笑)。

──ゲストが誰なのか、いろんな予想をしてたんですけど、藤井 隆さんって発表されたときに“なるほど!”と。

ずっとどこかのタイミングで一緒にやりたいと思ってたんですけど、去年、藤井さんが「She is my new town」っていう松田聖子さん詞曲プロデュースの曲を出した瞬間にその思いが確定的になって。藤井さんもちょうど音楽活動を去年からまたやり始めてたし、それは森高さんも然りですけど、タイミングがよかったというのもあって。

──藤井さんはtofu氏の存在は知ってたんですか?

たぶん知らなかったと思います。でも、音源をお渡ししてからはすごく聴いてくださって。このシングルの告知が出る前にご自身のイベントで「Don’t Stop The Music」を歌ってくださったりして。それはビックリしました。

──藤井さんのシティポップ・シンガーとしての魅力は「タマフル」(「TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」)で特集されたり一部の人には知られてるんですけど、世間的にはそこまで音楽的な評価を受けてこなかった人でもあって。「ナンダカンダ」で紅白出場も果たしてはいるんだけど。tofu氏はどのあたりからチェックしてたんですか?

さかのぼってアルバムを全部買ってましたけど、決定的だったのは「タマフル」とかで特集される前に、藤井さんがラジオでキリンジの「エイリアンズ」がすごく好きだと言っていて。その時点でこの人といつか一緒にやりたいと思ってたんです。さらに藤井さんも大阪の千里ニュータウンの出身で。で、「She is my new town」という曲を出されて、いろんなことが繋がっていって。

──キリンジの堀込兄弟も埼玉の坂戸というベッドタウン出身で、「エイリアンズ」も“そのにおい”がするラブ・ソングだし。

そう。いろんなことが繋がって、自分にとってニュータウンってすごく大事なテーマだなって改めて思ったんですよね。僕はこれまでMaltine Recordsからdj newtown名義で6枚くらいフリーのアルバムを出していて。今考えたらtofubeatsより精力的にやってたんじゃないかって思うんですけど。dj newtownを1回畳んだ理由が、tofubeatsとしてちゃんとニュータウンというテーマを表現しようと思ったからで。今回、そういう意味でも藤井さんとやりたくて。

やっぱり自分のなかで男性が歌うJ-POPってSMAPなんで

──藤井さんのことは芸人としてよりも音楽的な視点でずっと見てたということですよね。

いや、でも関西だと毎週土曜日の夕方に「発見!仰天!!プレミアもん!!! 土曜はダメよ!」(読売テレビ)っていうバラエティ番組がやっていて。僕、それが関西ローカルではいちばん好きな番組なんですよ。その番組の司会が藤井さんとYOUさんなんです。「土ダメ」の藤井さんがとにかく自由で面白いんです。藤井さんにオファーしたときもニュータウン云々の話をしたんですけど、家に帰って「土ダメ」を観て、やっぱりこの人とそれだけで終わる曲をやってもダメだなと思って。

──もっと開いたものにしなきゃダメだと。

うん、そういう曲にしたいなって。もちろんニュータウンという方向性は見失わずにですけど。

──藤井さんって根っからのエンターテイナーじゃないですか。

うん、根っからだと思います。歌も歌えて、踊りもできて、しゃべりもできて。

──でも、そこはかとなく影が漂ってますね。それがすごく魅力的なんですけど。

そうなんですよね! そこがまたすごくグッとくる。

──その影がシンガーとしてのメロウネスになっていると思うし、それもニュータウン感がもたらしているものなのかなとtofu氏と話しながら思ったんですけど。

そうかもしれない。だって「She is my new town」っていう曲も、松田聖子さんが曲を上げてきた時点では“new town”っていうキーワードは入ってなくて、藤井さんが入れてほしいって言ったらしいんですよ。だから歌詞のなかでは単語として出てこないんですよね。そのエピソードからして、この人も郊外の暮らしやそこで覚えた感覚というのをすごく大事にしてるんだなと思って。郊外って歴史も全然ないし、それこそ独特な影があって。でも自分が生まれた場所だから誰だって愛着はもちたいわけで。それをどう消化するかという部分でも藤井さんはちゃんと答えを出してると思うんですよね。

──たまにメーターが振り切れるあの爆発的なテンションも答えのひとつなんだろうなあ。

そうなんですよ。すごいと思う。

──藤井さんとはレコーディング前にどういうやり取りをしたんですか?

“この主人公はどんな感じの人なんですか?”っていう質問をもらったり。で、僕が“この曲の主人公は家から出たいけど、結局出れないみたいなニュアンスを出したいんです”と伝えたらそれを完璧に理解してくださって。歌録りも言うことないくらいバッチリでしたね。歌えば歌うほど射程が合っていく感じは見事でした。やっぱり紅白歌手ですよ。プロと仕事させてもらったなあという感じです。

──藤井さんとは趣味的な話もしたんですか?

藤井さんがジョディ・ワトリーの追っかけをしていたという話をどこかでキャッチして。それについて聞いたら“高校のときにブルーノートとかに観に行ってました”って話を聞かせてもらったり。あとは南野陽子さん。南野さんって神戸出身なんですけど、“あの写真集の何ページがいいんですよ”みたいな話をされて。僕もその写真集を最近Amazonのマーケットプレイスで買いました(笑)。

──「Don’t Stop The Music」と「ディスコの神様」って近い将来に大きな線にするための点と点だなと思うんですけど、サウンド的にいちばん意識したのはどんなところですか?

森高さんも藤井さんも年齢的には40代なんで、そこで意識するべきラインは引き継ぎつつ、今回はちょっと対比させたいなという狙いもあって。「Don’t Stop The Music」はギミックとかも意図的に減らして作ったんですね。でも、今回はギミックを結構入れたいなと思って。あとは、これまでトラックダウンを絶対自分でやってたんですけど、今回は人に任せたり。意識的に制作面のキャッチボールを増やしてみたんですよ。マスタリングも違うところでやったりとか。

──ギミックという部分では、今回かなりSMAP感がありますよね。

うん、そうですね。リアルな話、最初に作ったトラックはSMAP感が強く出すぎていて、メロディを書き変えたんですよ。“これ、まんま「SHAKE」じゃん”みたいな。やっぱり自分のなかで男性が歌うJ-POPってSMAPなんで。

──ひとつの絶対的な正解としてある。

そう。すげえ好きなんですよ。僕、幼いころの夢が仮面ライダーになるかSMAPのメンバーになるかだったらしいんですよ(笑)。オカンがすごいSMAPファンで。その影響で妹とかもファンクラブに入ってみたいな。なので、SMAPのアルバムだけは昔から全部家にあるんで。

──SMAPに楽曲提供してほしいなあ。

いや、もう、超やりたいですよ! チャンスがあればぜひって感じです。

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