それでも世界が続くなら SINGLE「僕らのミュージック」ディスクレビュー

僕らのミュージック

SINGLE

それでも世界が続くなら

僕らのミュージック

CROWN STONES/CROWN RECORDS

2014.05.07 release

<CD>


弱くていい。醜くていい。この言葉は、君を救う。

“地元じゃ劣等生って呼ばれてた奴らが、全員が自分のコンプレックス詰め込んで、こうしてブレーメンの音楽隊みたいな、なんか不恰好なバンド組んで/シナリオ書けなくて失踪した映画監督の藤井監督にPVとってもらって、病室からおおはましのぶちゃんにジャケット描いてもらって、音楽の仕事辞めるって発表してたイベンターの冬真にCD出してもらって、みんななんとなく、いつか終わる、だから最後くらい、って思ってて、そんな奴ばっかり集まって──”

 バンドの成り立ちについて、篠塚将行(vo、g)はバンドのHP上でこう綴っている。その記事がポストされたのは、2013年6月。彼らが、日本クラウンからメジャー・デビューとなることを知らせるものだった。2011年の結成からジワジワと話題を集め、2012年にリリースされた1stアルバム『彼女の歌はきっと死なない』は発売初日にして初回プレス分ソールドアウト。メジャー・デビュー・アルバム『僕は君に武器を渡したい』のリリース後に行われた各地のサーキット・イベントでは、軒並み入場規制がかかるほどの盛況を見せた。

 これほどまでに、人々を惹きつけるものはなんだ? クセのある歌声、朗らかで切ないメロディ・ライン、シンプルながら味わいのあるバンド・アンサンブル。どれも素晴らしいけれど、最大の魅力であり、かつバンドの核となっているのは、篠塚の紡ぐ一つひとつの言葉だ。メジャー1stシングルとなる今作「僕らのミュージック」にも、取り繕うことも、隠すこともしない、人間らしい彼の詞世界が描かれている。以前、WHAT’s IN? WEBのインタビューで、人前に出ることや表現することを「恥ずかしい」と言っていた篠塚だが、彼らの歌を聴けばそれが当然だとわかるはずだ。本当にありのままの、彼自身の言葉を吐露し、歌っているのだから。恐らく彼は、どんなミュージシャンよりも、我々のような“普通の人”のそばにいる人間なのだろう。自分の、人の弱さや醜さを痛いほどに理解していて、だからこそこんなにも優しい言葉を紡げるのだ。彼の言葉は、何度も何度も読み返して、心に刻みつけておきたくなるようなものばかりだ。そこに何のエゴもなく、これは私のために書かれた言葉なんだと、すんなり受け取ることができる。だから、この作品は“僕らの”ミュージックなのだろう。

 篠塚の紡ぐ言葉、それだけでもこの作品には十分な尊さがある。それが、彼の愛する人々にとって鳴らされ、届けられているなら、こんなに素敵なことはない。メジャー・デビュー1周年を迎えるこの年、さらなる活躍を期待したい。

(小島双葉)

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