Lyu:Lyu MINI ALBUM「GLORIA QUALIA」ディスクレビュー

GLORIA QUALIA

MINI ALBUM

Lyu:Lyu

GLORIA QUALIA

SPACE SHOWER MUSIC

2014.05.07 release

<CD>


たったひとりの救いになるために

 一つひとつの言葉が、鋭く研ぎ澄まされている。鮮烈なメロディに、3ピースのギター・ロックの王道を突き詰めたアレンジに、そして何よりコヤマヒデカズの咆哮のような歌声に、胸に深く突き刺さるかぎ爪のような感触が宿っている。

“壁にあの人の 写真貼って 何度も刺して 何度も刺して 死にやしないけど 死にやしないけど それで許せたら良かったのに”(「メシア」)

“先生 あなたはいつか言ったじゃないか 「君はいい子」と言ったじゃないか いつから何を間違って こんな人間になったんですか”(「先生」)

“あとどれだけ鈍感になったら そんな笑顔でいられるんですか”(「初めまして」)

 ミニ・アルバムでは、こんな言葉が繰り返される。共感だの一体感だの言われるけど空気なんて読めるわけないし“みんな”と通じ合える気がしない、それどころかたったひとつの大切な“あなた”にさえ傷をつけてしまう。そんな葛藤と苦悩と激情を、どこか戯画的にすら描いた歌詞が歌われる。ジャケットのアートワークには、自らの顔写真にカッターナイフを突き立て、切り裂いた写真が用いられている。それが象徴するような、居場所のなさ、危ういほうへ危ういほうと引っ張られてしまうアイデンティティのあり方が、ありありと音楽に奏でられている。

 痛い。もしくは“イタい”。

 ひょっとしたら、そんなふうにLyu:Lyuの音楽を揶揄する人もいるかもしれない。けれど、コヤマヒデカズというアーティストは、かつて10代の少年だった自分、誰とも通じ合えなかった頃の自分を救ってくれた音楽がそうであったのと同じものを、作ろうとしている。それだけを考えて、言葉と、メロディを、研ぎ澄ましている。周りがどう言おうがとか、シーンがどうとか、関係なく、ただただ、その渦中にある人にとって、かけがえのないものであってほしい。そういうことを願って音楽を作っているのが伝わってくる。

(柴 那典 )

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