TarO&JirO MINI ALBUM「OVNI」ディスクレビュー

OVNI

MINI ALBUM

TarO&JirO

OVNI

テイチクエンタテインメント

2014.04.23 release


兄弟ギター・デュオ、TarO&JirOが“陰”の魅力を解き放つ

 昨年12月に、ミニ・アルバム『Brothers Fight』でメジャー・デビューした兄弟デュオ、TarO&JirO。兄のTarOと弟のJirOが2本のギターをかき鳴らし(キックのドラムはJirOが同時に担当)、ふたりでボーカルを歌う完全2人体制のグループである。前作『Brothers Fight』で、アタックの強いサウンドでインパクトを与えた彼らだが、まだまだそれは序の口と言わんばかりにニュー・アルバムをドロップ。ヘビーかつダークさを増したサウンドからは、TarO&JirOが持つ、音楽の懐の深さを感じることができる。

 元々海外で高く評価されていた彼らだが、タイトルの『OVNI(オヴニ)』というのは、フランスのオーディションで“日本から来たOVNI(UFO)”と評されたエピソードから取られているという。彼らのサウンドで、誰もがいちばんに耳を持っていかれるのは、やはりギター・プレイのすごさ。アコースティック・ギターにエフェクターをかけて、音色を自在にコントロール。メロディアスなTarO、タフなスラップのJirOのギターのコンビネーションは、ますます磨きがかかっている。グイグイとグルーヴに引き込んでいくスリリングなマイナー・コードの「Once in a While」。特に一発取録りのライブ感を重視したという「Brain soap」はかなりソリッド。社会の“上”にいるものへ不満をぶつける歌詞には怒りがこもっている。シタールのようなギターのうねりの「来襲-Landing-」からの「煙」の流れは、エキゾチックかつタイト。混沌とした今と見えない明日を描いた歌詞と、(レッド・)ツェッペリンとスパニッシュとBRAHMANがミックスしたかのような哀愁感と攻撃性を併せ持っている。グランジーで切れ味鋭い「影」、そして「Too dark to live」は、切なさと張り詰めた緊張感、ふたりのコーラスが楽曲をより荘厳なものへと誘う。
全体を通じて歌詞には、心の闇と葛藤する想いが描かれており、前作とはまた違う視点で書かれたものばかり。前作は“陽”で、新作は“陰”。ふたつで対となるものと言えるだろう。ここまでメッセージ性を訴えるグループだというのは、正直本作でわかったこと。圧倒的なサウンドに、情念のこもったボーカル。想いを届けるためのエキセントリックな彼らのサウンドは、より多くの人の心を打ち抜いていくことだろう。

(土屋恵介)

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