GOOD ON THE REEL MINI ALBUM「オルフェウスの五線譜」ディスクレビュー

オルフェウスの五線譜

MINI ALBUM

GOOD ON THE REEL

オルフェウスの五線譜

FOURseam

2014.04.23 release

<CD>


ヒトらしく、曖昧。

 言葉は無遠慮で、そして鋭利だ。それは時に人の心をえぐり、時に感情の奥まで突き刺さる。時代の流れも早くなるなかで、SNSやメールを介して“発言すること”が簡単になった昨今、私たちが発言に充てる思考時間は、昔より少し短くなった気がする。言葉のカドを丸く整える暇もなく、自分の気持ちを百数十文字内の言葉に圧縮し、文字にするようになった。人の順応性はすさまじいもので、私を含めた大半の人々、特に若者はそれに慣れてしまったけれど、人の気持ちや思いはそう簡単に言い切れるものでもなく、ポストして決着できるものでもない。実際の言葉は、無遠慮で鋭利な取扱い注意品で、だからそれを慎重に、無責任に、曖昧に取り扱う。みんなそうだ、本当は言葉が怖いのだから。

 GOOD ON THE REELは、2005年に同じ学校に通っていた5人で結成された。メディアへの露出をほぼ行わない中、試聴機をきっかけとした口コミだけで爆発的な大反響を起こし、ワンマンチケットは数時間でソールドアウト公演が続出。業界内外問わず、異例の盛り上がりを見せているロック・バンドだ。彼らの魅力を端的に言うならば、その曖昧さだ。作詞を担う千野隆尋(vo)は恐らく、人一倍言葉の力を信じ、そして怖がっている。それは今作『オルフェウスの五線譜』を一聴してもわかるはずだ。ある曲ではささやかな未来への希望を描き、ある曲では絶望的なまでの孤独を綴る。簡単に言い切れず、決着もできない気持ちを、丹念にていねいに、そして一貫性を持たずに言葉にしている。その行為の、なんと人間らしいことだろう。その血の通った人間らしさは、ともすれば痛切なほどに生々しくもあるが、伊丸岡亮太(g)の開けたサウンドに乗せて届けられることで、それは本当にすんなりと心に入り込んでくる。

 タイトルにもなっている“オルフェウス”は、ギリシア神話に登場する吟遊詩人のことだが、天体の名前でもある。原始、地球に衝突して月を作ったとされる惑星の名前だ。日々形を変えながら、けれど常にそこに存在する曖昧な輝き。勝手な紐付けではあるが、彼らにもそんなふうに、穏やかに恒久的に、美しくあり続けてほしい。

(小島双葉)

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