ROTH BART BARON ALBUM「ロットバルトバロンの氷河期(ROTH BART BARON’S “The Ice Age”)」ディスクレビュー

ロットバルトバロンの氷河期(ROTH BART BARON'S “The Ice Age”)

ALBUM

ROTH BART BARON

ロットバルトバロンの氷河期(ROTH BART BARON’S “The Ice Age”)

felicity

2014.04.16 release

<CD>


米国インディーズと共振するオルタナティブな2人組

 6人組バンド、森は生きているをはじめとして、アメリカのルーツ・ミュージックに影響を受けた新世代バンドが続々と登場している日本のオルタナティブ・シーン。ボーカル、ギターの三船雅也とドラム、ピアノの中原鉄也からなるROTH BART BARONは、活性化するインディーズ・シーンの最有力ニュー・カマーと言える2人組バンドだ。

 2010年に「ROTH BART BARON」、2012年に「化け物山と合唱団」という2枚の自主制作EPをリリース。今年1月にはニューヨーク・ツアーも敢行し、国内外の評価が高まるなか、彼らの1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期(ROTH BART BARON’S “The Ice Age”)』がリリースされる。ザ・ナショナル『トラブル・ウィル・ファインド・ミー』、シャロン・ヴァン・エッテン『トランプ』、ウォー・オン・ドラッグス『ロスト・イン・ザ・ドリーム』、カート・ヴァイル『ウェイキン・オン・ア・プリティ・ デイズ』といった近年のアメリカン・インディーズにおける突出した数々の作品を手掛けたジョナサン・ロウがミックス、ブライアン・マクティアーが一部プロデュースを担当。トム・ヨークやボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンを彷彿とさせる三船の耽美的なファルセット・ボイスと鍵盤や管楽器など様々な楽器を交えながら描き出す繊細かつ有機的なサウンドスケープ。そして、日常の風景をふわりとマジカルな情景へと変換する歌詞世界が一体となった本作は、聴き進むうちに体温が奪われていくような感覚、そして、暗闇に射す光が強まっていくようなイメージが沸き上がってくる不思議な聴き心地のアルバムだ。

 アメリカン・インディーズを好むリスナーであれば、そうした音楽と並べて、同じように楽しむことができる本作の登場には大きな驚きを覚えるだろうし、共感に訴えかける具体的なメッセージはなくとも、絵画を眺めるように、自然と沸き上がってくる感情やイメージを味わい、楽しむことさえできれば、繰り返し聴くことで、この作品はぐっと深みを増していくはず。国内で、そして海外で、この作品がどのように広がっていくのかが大いに楽しみな作品でもあり、作り手のストイシズムが強く感じられる全9曲を前に、音楽というアートフォームに対する聴き手の姿勢が問われる、そんな作品と言えるだろう。

(小野田雄)

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