ACIDMAN SINGLE「EVERLIGHT」ディスクレビュー

EVERLIGHT

SINGLE

ACIDMAN

EVERLIGHT

EMI R

2014.04.16 release

初回限定盤(紙ジャケット仕様) <CD>
通常盤 <CD>


行動するロック・バンドへ、前進を続ける3人の現在地

 人によって様々な捉え方があると思うが、ACIDMANが音楽的にひとつの頂点を究めたのは、『A beautiful greed』の頃だったのではないか。3ピースの極限とも言えるエッジの立った強烈なロック・ナンバー、あまりに美しく荘厳なスロー・バラード、豊かなメロディの広がりを持つ愛らしいポップ・チューンが並び立ち、ずっと歌い続けてきた宇宙と生命の神秘を讃える歌詞も、黙示録的な高みへと到達した。それはゼロ年台ロックの金字塔として限りないインスピレーションを後続に与え続ける、圧倒的なものだった。

 急いで書いておくと、それ以降のバンドが後退したという意味ではまったくない。ただ『ALMA』と前作『新世界』は、精神性の高みを目指して上昇するというよりもむしろ、身ひとつでふらりと冒険の旅に出るような、より現実的なイメージの強い作品だったように思う。パウロ・コエーリョ「アルケミスト」にインスパイアされた楽曲、坂本龍一のゲスト参加、アフリカや南米への旅、あるいは最近のエネルギー問題への積極的な発言なども、そうした流れの中にあるような気がしている。観念的なものから、より直接的なものへ。音楽的にも人間的にも、ACIDMANは真の意味で行動するバンドになってきているのではないか。

 今ここにある1年2ヵ月ぶりの新曲「EVERLIGHT」を聴く時、彼らは正しい道を歩んでいるという思いを強くする。非常にキャッチーでメロディックなロック・ナンバーで、クリーンとディストーションの踏み替えだけで一気に突っ走るギターを先頭に、ベースとドラムの音色が異様なほど生々しく響く前半部。サビではギターを重ね、後半部でリズムや強弱の変化もたっぷりあるが、全体的な印象は彼らがルーツとする’90年代メロコアを思わせる若々しくストレートなもの。しいて例えれば「アイソトープ」をよりスピーディーでタイトにし、オン/オフの展開をドラマチックに設定したような楽曲だろうか。凝った構成をシンプルでポップに聴かせる技に、さりげなく年輪の深みを感じる。

 歌詞のテーマはこれまでと同じだが、“限りなき光が 溢れたなら 僕らは行こうか”という一行に、観念的なものを飛び越えて現実的な行動に移そうとする気概をこれまで以上に感じるし、レコーディングにソーラーエネルギーを使用したというのも、今の時代にふさわしいメッセージの発し方だと思う。来るべきアルバムへの予兆として、期待を高めるに十分な新曲の登場だ。

(宮本英夫)

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