BIGMAMA ALBUM「Roclassick2」ディスクレビュー

Roclassick2

ALBUM

BIGMAMA

Roclassick2

RX-RECORDS/UK.PROJECT

2014.04.16 release

<CD>


表現力が試されるクラシック音楽引用アルバム第二弾

 クラシック音楽をロック・バンドのフォルムの中で再構築する、というコンセプト自体は古今東西様々なバンドが取り組んできたものだが、誰でも知っている、ある種のスタンダード・クラシックばかりがとりあげられているという点がこのバンドの開かれた姿勢を伝えている。しかも、これがシリーズ第二弾。相当本気なのだろう。

 それぞれの曲名にはその元になった曲と作曲者の名前が記載されているのでそちらを見てもらえればわかるように、この第二弾もほとんどが小学校、中学の音楽の授業で習うような、言わば“クラシック初心者”の曲ばかり。そもそも女性バイオリニストを擁したバンドということもありオーケストラルなアレンジに対しても柔軟だったわけだが、第一弾以上に本作は編曲、構成がこなれている印象だ。また、単にロックとクラシックの融和というところに力点を置いたものではなく、共通する部分や接点をデフォルメするというスタイルをさらに強めているのも今作の特徴で、例えばベートーヴェンの「第九」に材を穫った「No.9」は、テンポを統一させるだけでなく、「歓喜の歌」という第九の副題に寄り添わせたテーマで歌詞が綴られるなど、楽曲への理解と自由な解釈があってこその仕上がりになっているものが多い。エルガーの「威風堂々」を取り入れた「bambino bambina」などは、前半部分のお馴染みのフレーズを軽快に編曲しているが、行進=ダンスという独自の展開を大胆にも与えている。この曲やブラームスの「ハンガリー舞曲」とシンクロさせた「Animanimus」などは歌詞のほとんどが英語だが、演奏形態そのものはこれまでどおりのBIGMAMAのフォーマットに変わりはない。つまり、彼らはロックやポップスの曲をカバーするのとほぼ変わらぬ感覚でアプローチしているのである。

 そこで、考えてもみてほしい。クラシック音楽の世界では、指揮者や演奏者、オーケストラや楽団に応じて表情が大きく変化する。同じモーツァルトやベートーヴェンでもまったく違う感触を伝えてくれるものだが、となると、もしかするとBIGMAMAはプレイヤーとしての表現力をこうしたスタイルの作品を制作することで世に問うているのではないか? そんなふうにも思える。言い換えれば、オリジナル曲では伝え切れない表情豊かな演奏力と理解度の高さが今の彼らには備わってきているということなのかもしれない。少なくとも、時折トゥーマッチにさえ思える壮大なアレンジを従えた本作からは、メンバー全員は情熱的に楽曲に向き合っているエナジェティックな姿が感じられるのである。

(岡村詩野)

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