a flood of circle SINGLE「KIDS/アカネ」ディスクレビュー

KIDS/アカネ

SINGLE

a flood of circle

KIDS/アカネ

Imperial Records

2014.04.09 release


ダンスとバラードに振り切り、進化したバンドの今

 昨年7月に5作目のアルバム『I’M FREE』をリリース。その後、全国47都道府県を回る長期ツアーで各地を転戦中のa flood of circle。4月12日の初の日比谷野外大音楽堂を経て、間もなくツアー・ファイナルを迎えようとしているそんな時期にリリースされた両A面のニュー・シングル「KIDS/アカネ」。弥吉淳二が前作同様プロデュースを手がけた本作は、おそらくツアーの合間に曲作りやレコーディングが行われ、勢いや結束力といった点で、バンドの状態がかなり良好であることが演奏を通じて、びしびし伝わってくる。

 打ち鳴らした銅鑼で幕開ける1曲目の「KIDS」はライブでの盛り上がりに油を注ぐ大炎上ダンスロック・チューン。サウンド面においては、afocらしいブルージーなギターを活かすと同時に、あえて4つ打ちを用いず、曲中でパターンを変えていくリズム・アプローチに『I’M FREE』以降も続いているバンドの進化の跡がうかがえる。歌詞の面では、逆境下での心境を扱うことが多い佐々木亮介が“KIDS”という言葉に未来を託し、目の前の風景を力強く肯定するポジティブな詞世界が耳に残る、そんな一曲だ。

 それに対して、2曲目の「アカネ」はダンス・ロックとは対極にあるバラード。アコースティック・ギターに導かれ、佐々木のボーカルを軸に血の通った日常の温かさをふわりと広げていくバンド・アレンジは、シンプルながら、アクセントで用いられているオルガンの泥くさい音色が楽曲の世界にぴったりと寄り添っている。そして、ゆったりとしたテンポの中で、叙情的な風景をていねいに紡ぎ出す歌詞のアプローチもまた佐々木の大きな武器であって、この曲ではバンドとして勢いを増しながら、ソウルフルな描写力が同時に磨かれつつあることも実感させてくれる。

 さらに両曲にある2曲のA面曲があるからこそ、3曲目の「Tequila Club」では凝縮されたafocらしさが活きてくる。激しく疾走しながら、そのテンションの高さが音の酩酊感に変わっていくかのようなバンド・アレンジはバンドがいつでも立ち返ることができる彼らのサウンドの土台をなすもの。その土台を足で踏みしめ、蹴り上げて、全国ツアー終了後もa flood of circleは引き続き進化していくことだろう。

(小野田雄)

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