怒髪天 MINI ALBUM「男呼盛 紅」ディスクレビュー

男呼盛

MINI ALBUM

怒髪天

男呼盛 “紅”

テイチクエンタテインメント

2014.04.09 release


我が道を貫き続ける狂気こそが、“継続は力なり”の正体

 “継続は力なり”という言葉がある。この言葉、一般的には地道な努力を続ければ目標を達成できるとか、挫けず修練を積むことで大成できるとか、諦めずに続けることも才能だとか、そういった意味で捉えられているが、僕はそれだけじゃないと思ってて。正気に戻ったり冷静になることもなく、狂気でい続けることこそが重要なんじゃないか? と思う。例えば、毎日バイトに明け暮れながら、ブレイクする日を夢見るバンドマン。年を重ねて、安定した仕事に就いて温かい家庭を持つ同級生や、志半ばで田舎に帰っていく仲間たちを横目に六畳一間のアパートで曲作りに励む日々。そんな現状に疑問を持たず、大好きな音楽や自分自身をひたすら信じ続け、我が道を貫き続ける狂気ともいえる覚悟や想いこそが、いずれ強大な力になる気がするのだ。

 今年1月、結成30周年を記念した、日本武道館公演を満員御礼で大成功させ、30周年アニバーサリー・イヤーに突入。今年、紅盤&白盤と2枚の記念盤をリリースすることを発表している怒髪天の記念盤第1弾となる、ミニ・アルバム『男呼盛“紅”』が完成した。ディスコ&ハードコアな「己 ダンス」で始まり、スカ&昭和歌謡な「地獄で会おうゼ!」、ユーモアたっぷりに人生の悲哀を歌う数え歌調の「ちょいと一杯のブルース」など、バラエティ豊かな全6曲が収録された今作。何に臆することもなく様々な曲調に挑戦し、そのすべてを怒髪天色に染め上げてしまう力量は、まさに我が道を貫き続けてきた怒髪天の積み重ねの結晶。そこで曲調とか表面的な部分だけでなく独特のグルーヴだとか、音の説得力だとか、言葉の深みだとか、そのいちいちが噛みしめるたび旨味となって広がるから何度でも味わいたくなるし、そのいちいちが聴き手の胸を熱くさせ、気持ちを高揚させる。

 そんな中でも、僕の涙腺を決壊させたのは、武道館公演でも披露した「友として」の再録。あの頃、同じ夢を追いかけてた友への想いを歌ったこの曲。感傷的にさせるでもない明るい曲調に乗せて、「嘘なんて無かったよ 君は君の道を歩く それだけの事だろう?」と歌う、優しく温かい友情賛歌に僕も古い友達の顔を思い浮かべ、涙してしまった。狂気を持って我が道を貫き続ける怒髪天の姿(「我こそ全て」と断言する「己 DANCE」など、まさに狂気の沙汰!)は、夢を諦めて新しい道を歩んでる人にも、夢に向かって歩き続ける人にも勇気と力を与えてくれる。僕も文章の才能はないけれど、正気に戻るまで、とことん己の道を突き進んでみようと思ってる。

(フジジュン)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人