THE BACK HORN ALBUM「暁のファンファーレ」ディスクレビュー

暁のファンファーレ

ALBUM

THE BACK HORN

暁のファンファーレ

ビクターエンタテインメント

2014.04.09 release


孤独を希望に変えるファンファーレは彼らにしか鳴らせない

 結成16年目にして通算10枚目となるオリジナル・アルバム。震災後に作られた前作『リヴスコール』から1年10ヵ月ぶりの新作だ。シングル曲「バトルイマ」「シンメトリー」「コワレモノ」を含む全13曲。それぞれの楽曲に込められた膨大な熱量はこれまでと変わらないが、未来を見据えた確かな視線と研ぎ澄まされた演奏はますます鮮やかになり、痛みと希望を歌う山田将司のボーカルの堂々とした佇まいはさらに輝きを増している。

 「月光」で厳かに始まり、ハードなリフ主体で作られた「ビリーバーズ」が一気に体温を上げてくれる。「バトルイマ」は現在の彼らのライブで欠かせない曲になっているが、改めてその突破力とタフさに圧倒される。キャッチーなメロディと滑らかなサウンドで綴られる「ブランクページ」、繊細な歌が儚くも美しい「飛行機雲」「サナギ」。そんな叙情性と対照的なのが「コワレモノ」の不気味なラップとファンクで構成されたパートと、その後半にあたるアッパーなパートだ。以前の彼らならもっと硬質なサウンドと山田のシャウトで埋め尽くしていたと思うが、ここでは現実と妄想の表裏を淡々とクールに描き出す。そしてアルバムは、光に満ちた世界をめざす「シンメトリー」、幸せな日々を取り戻す決意を歌った「ホログラフ」でエンディングを迎える。その背景となっている哀しい色を纏った“夜”は1曲目の「月光」に描かれた“夜”へと再び繋がり、物語はループしていく。

 アルバム・タイトルに込められた“ファンファーレ”というキーワードが象徴するのは、合図、鼓舞、誇示。まだ明けきらない、夜と朝の境界線上である“暁”に発せられたファンファーレは、彼らにしか生み出せない物語を高らかに響かせる、孤独を希望に変える、自信に満ちたサイレンにほかならない。

(岡本明)

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