pertorika MINI ALBUM「enterium」ディスクレビュー

enterium

MINI ALBUM

pertorika

enterium

orika records

2014.04.02 release

<CD>


普遍性と個性が絡み合う“pertorika”という名の音楽

 素晴らしいポップスの条件とは? という問いに答えはないが(そんなものは人それぞれですから)、個人的には“音楽的な技術の高さ”と“狂おしいまでの音楽愛”だと思っている。コード・プログレッション、アレンジメント、メロディ、ハーモニー、歌詞などを極限まで精査した楽曲、そして、音楽の可能性をとことん信じ、“自分たちの音楽をできるだけ多くの人に届けるんだ”という意思がひとつになったときに魅力的なポップ・ミュージックは生まれるのではないだろうか、と。pertorikaの2ndミニ・アルバム『enterium』を聴いて筆者は、そのことを改めて実感した。

 pertorikaは’08年に結成されたポップ・バンド。’10年にHIP LAND MUSIC(サカナクション、KANA−BOONなどが所属する音楽プロダクション)主宰の“Goody!?Artists!”に選出、’11年にmona recordsオーディションで準グランプリを受賞、’12年にオーディション“MASH A&R”マンスリーアーティスト選出、’13年にTOWER RECORDDS主催“Knockin’on TOWER’s Door Vol.3”のファイナリストに選出、さらに日本を代表するプロデューサーである亀田誠治氏にも認められるなど、その音楽性を高く評価されてきた彼らは、約2年半ぶりの新作となる『enterium』によってポップス・メイカーとしての自らのポテンシャルをさらに強くアピールすることになるだろう。

 軽やかにステップを踏むようなリズムとカラフルなメロディ、“hello hello いつ付いたかも忘れた傷なら かさぶたになってしまえ”という愛らしい歌詞がひとつになった「Hello Hello」、憂鬱な社会の空気と失ってしまった“君”への後悔が重なるミディアム・チューン「五月雨の街」、そして、触れば壊れるようなデリケートな旋律と“この別れの辛さを乗り越えたときにはきっと もう一度この場所で会おう”というフレーズが溶け合う名曲「変わらないもの」。何気ない日常のなかで生まれる物語をていねいに掬い出し、普遍性と個性を絶妙なバランスで共存させたポップスへと導く。このセンスは現在のシーンのなかでも、はっきりと際立っていると思う。

 アコースティックな手触りのサウンド・メイク、素朴で温かいボーカリゼーション、幅広い音楽知識とユニークなアイデアに裏打ちされたアレンジ(特に転調のセンスが素晴らしい!)など、何度聴いても発見がある多面性もこのバンドの魅力。じんわりと心に染みて、いつもの景色が少し違って見える——そんなポップスの魔法をぜひ、味わってみてほしい。

(森 朋之)

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