赤い公園自主企画イベント ~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~ – 赤い公園が久々の自主企画イベント“~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~”を開催! 今回赤い公園が招いたのは藍坊主、そしてクリープハイプ。熱い熱い一夜をレポートする。

赤い公園自主企画イベント ~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~

2014.3.27 @東京・恵比寿LIQUIDROOM

2年ぶり3回目になる赤い公園の自主企画イベント、名づけて“~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~”は、ゲストに藍鬼こと藍坊主、栗鬼ことクリープハイプという最高のメンツを迎え行なわれた。赤鬼すなわち赤い公園のメンバーたちが大好きな2バンドをお招きしたとあって4人のテンションも尋常でなく、その思いに応えた2バンドとの愛と優しさに溢れたガチ勝負となったのだが、それは赤い公園が2作続いたシングル・リリースで一段と個性的な楽曲を揃え、1ライブ毎に成長していること、そして先輩バンドにまったく引けを取らないライブをやるバンドになっていることを示すことになった。

TEXT BY 今井智子 / PHOTOGRAPHY BY 植本一子(クリープハイプ)、福本和洋(藍坊主、赤い公園)

クリープハイプ

キレのいい演奏と尾崎の表情豊かなボーカル

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最初に現れたのはクリープハイプ。尾崎世界観が「おっさんですけど、よろしくお願いします」と挨拶して始めた「オレンジ」で、瞬時にフロアの温度を上げた。4月の初武道館公演を目前にしているだけに、バンドの状態はパーフェクト。お馴染みの曲や最新の曲を取り混ぜ、キレのいい演奏と尾崎の表情豊かなボーカルが生きるバランスと迫力はリキッドルームから溢れ出さんばかりだ。

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「今日は、(この企画イベントに)出してくれませんかって言って出してもらいました。出してくれてありがとう」と尾崎。赤い公園と初めて会ったときは険悪な雰囲気になったが次は態度を改め打ち解けた、などと話しながら「社会の窓」など8曲を披露。熱量の高い演奏で十分すぎるほどフロアを暖めた。

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藍坊主

今の思いを込めてドラマチックに演奏

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続いて登場したのは藍坊主。「螺旋」から持ち前のアツさ全開でボーカルのhozzyを中心に4人一丸となって盛り上げる。言葉を大切にしたいという思いから歌詞カードは縦書きに拘る彼等だがライブはとことんアクティブだ。

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このイベントが初対面だったようだが、田中ユウイチは「赤い公園はCDショップの陳列棚で隣に並んでいるので気になっていたところ<交信>を聴いて驚いた」のだとか。そして「高校時代に“聴いてました”とは言われなかった」と笑いを誘い、「その当時の曲です」と「スプーン」を、今の思いを込めてドラマチックに演奏し、続けて「ホタル」で締めくくった。

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SETLIST

01. 螺旋
02. 虫の勾配
03. ベンチで手紙を読む老人
04. ジムノペデイック
05. 伝言
06. スプーン
07. ホタル

赤い公園

赤い公園がこんな爆音を出せるのかと驚くほどの音量

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最後は、お待ちかねの赤い公園だ。オルゴールのようなSEの中、いつものように白いコスチュームの4人が登場するとボーカルの佐藤千明が「かかってこいやー!」と叫び、大爆音で最新シングルの「絶対的な関係」が始まった。これはラウドなロックを意識した曲なんだから爆音でなけりゃ意味がない。赤い公園がこんな爆音を出せるのかと驚くほどの音量に圧倒されたが、この瞬間にこの曲が完成した気がした。きっと彼女たちも手応えを感じたのだろう。続くパンキッシュでコケティッシュな「ひつじ屋さん」では津野米咲がステージを降りて白いサイリウムを振るオーディエンスの目前でギターを弾き、4人が踊るMVが眼に浮かぶ「今更」では、バンドとオーディエンスの一体感が一気に高まった。どの曲も素晴らしくユニークでまったくカラーが違うのに、この3曲が紛れもなく赤い公園のものであることをアッサリ聴かせる底力に改めて驚かされるのだが、それもまた観るたびにレベルアップしている観がある。

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MCで佐藤が、この前日に三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEや乃木坂46と東京ドームシティホールで共演したことを話し、声援の違いに当然ながら愕然としたが「今日なら勝てるよね」とバーチャル再現し、「赤い公園!」に大きな声援が送られるとうれし泣き(の真似)、その涙をベースの藤本ひかりが拭く(真似)すると佐藤は「うっとおしい!」と一蹴するのだが、そんなキャラ設定も板についてきた。そして、この日のゲストは本当にずっと好きな2バンドと話したあとで、藍坊主の「テールランプ」とクリープハイプの「社会の窓」を演奏。後者は本家クリープハイプが演奏したばかりだが、臆することなく佐藤がハーモニカを吹いて赤い公園流にカバー。間奏では津野が後ろを向くと背中に“小川”(クリープハイプのギタリスト・小川幸慈)の張り紙、続いて佐藤も後ろを向くので張り紙は“尾崎”かと思うとこれも“小川”で、藤本の背中にも“小川”。なんとも赤い公園らしいハズし具合に失笑が起こった。

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ひとしきり盛り上げた前半から一転、「盛り上がったところで静かな曲を」と始めたのは「交信」。落ち着いた歌川菜穂のドラムに乗せて津野がシンセを弾くこの曲が、フロアをしっとりした空気に塗り替えた。

ドラマチックな展開で進むほどにスケールアップしていく

サビの“トトトツーツーツートトト”を、差し出した指でなぞりながら歌うオーディエンスをうれしそうに見渡している津野たちに、昨年のリリース時のインタビューで話していたことを思い出した。このフレーズはモールス信号の“SOS”なのだが、この部分について津野は「子供の頃は無垢でいろんなことが信じられたけど、近頃は忙しかったりだとかで(そういう気持ちを)忘れちゃってるのではないか。(ライブが)みんなで一斉にSOSを発せられる場所だったらいいなあ、という思いですね」と言っていた。それが目の前で現実となっているのは、この曲の不思議な力と思える不思議な感情を呼び起こしたのだった。そして「風が知ってる」は深みも広がりもある演奏で包み込み、いつも最後にやっている曲、と本編最後に「ふやける」を披露。ドラマチックな展開で進むほどにスケールアップしていくこの曲は、音の広がりとそれに負けない佐藤のボーカルが圧巻だ。この日の佐藤はひときわパワフルで全身から絞り出すように歌った。それに応えるように津野はフロアに降りたりドラム・セットに飛び乗ったり、それに共振したように藤本もPAに飛び乗りマシンガン・ギター風にマシンガン・ベースのポーズを決めた。彼女たちの制御不能なテンションの高まりにフロアの熱気もピークとなり、本編は痛快なカオスの中で幕を閉じたのだった。

澄んだ声で歌う佐藤と呼応しながら広がりのあるサウンドを組み立てていく

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アンコールは、一歩遅れてステージに現れた佐藤が「音源化してない、いちばん最近作った曲やります」と紹介した「108」を披露。シンプルだが緊張感のあるコードのギターで始まりキュートな唄に乗せたキャッチーなサビでグッと持ってかれる曲で、タイトルが示すように人間の煩悩についての歌らしい。どんな形で音源化されるのか楽しみだ。そしてオーラスは「きっかけ」。「絶対的な関係」とカップリングのこれは、津野が当初はバンドでなく自分のために書いたという内省的な曲だ。イントロからシンセを弾いていた津野が自分の演奏をループにして途中からギターに持ち替え、澄んだ声で歌う佐藤と呼応しながら広がりのあるサウンドを組み立てていく。リズム隊はほぼ沈黙しているが、これも赤い公園というバンドの表情のひとつと納得させられる数分だった。楽器を置いた4人が順次ステージを去ると、暖かく惜しみない拍手が送られた。それはこの日出演した3バンドに向けられたものであったことは言うまでもない。

終演後、津野は「ギターを弾くのが楽しかった」と言った。そんな彼女と並んでほかの3人もいい笑顔を見せていた。2年ぶりに自分たちで企画したこのイベントで何かを得た彼女たちは、またあらたな歩みを進めている。

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SETLIST

01. 絶対的な関係
02. ひつじ屋さん
03. 今更
04. カバー曲(藍坊主「テールランプ」/クリープハイプ「社会の窓」)
05. 交信
06. 風が知ってる
07. ふやける
<ENCORE>
EN1. 108(新曲)
EN2. きっかけ

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