黒猫チェルシー ALBUM「Cans Of Freak Hits」ディスクレビュー

Cans Of Freak Hits

ALBUM

黒猫チェルシー

Cans Of Freak Hits

Sony Music Associated Records

2014.04.02 release

初回生産限定盤 <CD+DVD>
通常盤/写真 <CD>


ベスト盤から見える5年間の物語とブレない芯

 最近の若いもんは……なんて偉そうなことを言う気はまったくないけど。iTunesやYouTubeが便利すぎて、音楽の聴き方や楽しみ方が昔と確実に変わってきてる。“あ、いいな”と思う曲があったら、ちょいとググッて曲名見つけて、YouTubeで確認。“この曲、ほしいな”と思ったらiTunesや配信サイトで購入するみたいなのが一般的だと思うし、僕もそんな流れで購入することもある。ただそこから、そのアーティストを掘り下げようとか、過去音源を聴こうとか、ましてルーツを探ろうってところまで、なかなか辿り着かない。それが良いとか悪いとかじゃなくて、僕は単純に“もったいないな”と思うのだ。

 黒猫チェルシー、初のベスト・アルバム『Cans Of Freak Hits』が完成。2009年リリースの1stミニ・アルバム『黒猫チェルシー』収録曲から、最新曲「サニー」まで。”Freak Hits”なんて言い方が彼ららしいが、彼らの5年間がぎっしり詰まった全19曲は聴きごたえ十分。今作の収録曲だと「嘘とドイツ兵」、「黒い奴ら」が収録された『黒猫チェルシー』で初めて彼らの存在を知ったとき、勢い溢れる初期衝動全開の歌やサウンドと、高校卒業したての若手バンドと思えないブルースや初期パンク、ハードロックをベースとした本物感ある演奏やアレンジに驚かされた。そこから作品を重ねるごとに演奏スキルを上げ、音楽性を大きく広げていく彼らに“欲張りすぎだよ!”と思ったこともあったが、新曲「サニー」や過去楽曲を改めて聴いて、バンドの芯がまったくブレてないことに気づいた。そしてそれを踏まえたうえで今作を聴いていると、彼らの5年間の物語も立体的に見えてくるようで、僕は黒猫チェルシーがさらに好きになってしまった。

 そこで例えば、「東京」なんて渡辺大知の作った曲でも最高傑作だと思うんだけど。この曲の本当の良さって、きっと単品で聴いたときやYouTubeでMVだけ観ても伝わりきらない気がする。音楽を聴くことが単なる時間潰しでしかないのであればそれでもいいけど、それじゃあやっぱり“もったいない”のだ。映画『大人ドロップ』の主題歌である「サニー」が気になったでも、奥田民生の「息子」のカバーが聴きたいでも、なんでもいいんだけど。1曲だけ聴いてわかった気になるんじゃなくて、ベスト盤を聴いたり、このバンドについてちょっと調べるだけで、同じ曲ももっと楽しんで聴くことができると思うんだけどなぁ。余計なお世話かも知れないけど。

(フジジュン)

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