[Alexandros] – [Champagne]から[Alexandros]にバンド名を改名した彼らが開催した日本武道館公演の模様をレポート!

[Alexandros]

 昨年6月リリースのアルバム『Me No Do Karate.』に伴うツアーを9月からスタートさせた[Champagne]。デビュー5年目にして初の武道館公演という、バンドの節目になりそうなこの日について、彼らは一貫して「通過点でしかない」と言い続けてきた。その根拠も証明もこの日のライブに凝縮されているはずだ。しかも武道館公演直前の3月25日に、バンド名の改名も発表され、奇しくも[Champagne]という名前でのラスト・ライブになったこの日。果たして彼らのとったスタンス=ライブはどんなものだったのか。

TEXT BY 石角友香 PHOTOGRAPHY BY AZUSA TAKADA/yuki kawamoto

スペシャルだけどツアーの一環という姿勢

 普通、万感の思いが込み上げたりするものだと思うのだ。まず、バンド史上初の武道館、デビュー5年目というスピード感、インディ—ズのまま、そしてこの日、バンド名を改名するということは、[Champagne]としてのラスト・ライブでもあるのだ。これ以上、泣きの要素が揃うことも珍しいはずなのだが、そんな一切が付加的にしか感じないライブを4人はやってのけた。それこそ改名が結果的にバズを引き起こすぐらい[Champagne]もとい、今は[Alexandros]は“持ってる”バンドでもあった。
 会場に足を踏み入れると、オアシスのナンバーが流れている。1998年にここで彼らを観たことを思い出さずにいられない。ステージに目をやると楽器やアンプのセッティングはいつもどおり。ただ左右に伸びる花道と、ムービーシューティング用のレール、バンド・ネームのバックドロップは確かにここが武道館であることを実感させる。するとおなじみの影アナが。「モッシュ、ダイブ、空手は禁止されております」という今回のツアー・タイトルにかけたくだりはもちろん、「その熱意は来月から始まるライブハウス・ツアーまでお持ちください」、そして「くれぐれも屋根だけは吹き飛ばさないようにお願いします!」に爆笑と歓声。スペシャルだけどツアーの一環という姿勢は影アナにまで及んでいた。

ウェルカム、武道館! 最高の夜にしようぜ!

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PHOTOGRAPHY BY AZUSA TAKADA

ほぼ定刻に客電が落ち、あのピアノのシーケンスに悲鳴にも似た歓声が上がり、モニターのエンブレムが電波障害を起こしたかのように歪み、まるで歓声の大きさによってクリアな画像に戻るような演出とともにメンバーが定位置に付き、“All rise up before me”と川上洋平が歌い、庄村聡泰のキックがインした途端、その圧に軽く驚いてしまった。加えて全楽器が鳴ったときの音量のデカさ! まるでエレクトロ・ダンス・ミュージックの重低音と、メタル・バンドのノイジーさや轟音がジャンルを破壊して成立しているような音像だ。しかも楽器一音一音の分離がいい。早くも“勝った”と思ってしまった。荘厳な宣誓めいたオープニングから急転、「ウェルカム、武道館! 最高の夜にしようぜ!」という川上のMCから一気にファストな8ビートの「Burger Queen」、グリーンとブルーのレーザーがアリーナからスタンドまで刺すように放射され、完全に武道館がダンス・フロアに変貌した「Stimulator」、トライバルなビートとラテン的な白井眞輝のギター・カッティングとうねりを増す磯部寛之のベース・ライン、中間部のジャジーなアレンジが冴える「Waitress, Waitress!」の進化っぷりはなんだ? 演奏のスキルを要する展開の多さをしっかり把握できたのは武道館という場のもたらしたひとつの効果かもしれない。ライブハウス武道館状態はこの後も椅子席もなんのその、その場で垂直ジャンプしてやろうじゃないのとばかりにアリーナが沸く「Ho!」では、グラマラスに展開する中間部で、スパンコールのような輝きを見せる液晶のライティングがハマっていた。

ライブハウス武道館はさらにブチ上がる

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PHOTOGRAPHY BY yuki kawamoto

 ようやくMCらしいMCタイムを迎えるも「まだまだちっちぇえな。壁がもっと奥にあるとこでやりたいね。今日ここでやる光栄さと、チクショーって気持ちを1万1000人と、生中継観てる一億人くらい? にぶつけます」と磯部。会場をヒートアップさせる大風呂敷を広げてくれた。ちなみに川上が武道館で初めて観たライブはBOYZ 2 MEN。その後、ノエル・ギャラガー、ストレイテナー、ASIAN KUNG-FU GENERATION。「そんな先輩たちに捧げます……ってテンションじゃなくなったけど」という磯部の発言のあと、この日最初のミディアム・チューン「涙がこぼれそう」へ。ここでは白井の歌に沿ったギター・ソロが美しく、さらにドラマチックに「Travel」で超王道のバンド・アンサンブルをていねいに聴かせ、バイオリンが1本加わったアレンジが、メロディをさらに際立ていたのも印象的。そしてピンライトが庄村に集中したところでドラム・ソロ。まったくこの人のプレイ・スタイルはメタルのスピードとジャズの抜け感と、人力ダンス・ビート的なソリッドさが彼のセンスで消化されきっていて、特にバスドラというよりキックと言いたくなる、その切れ味は、明らかにバンドのダイナモだ。からのスクリーンにはタイマーが映し出せれ、そのスピード感を追い抜いていくようなインスト・メドレーが展開。そしてホントにこの曲のAメロは発明だよなと息をのむ「Wanna Get Out」。

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PHOTOGRAPHY BY AZUSA TAKADA

磯部の這うような速いライン、ファンキーな川上のカッティングと歌メロの裏をクールに裏切る白井のフレーズが究極にシュアに聴こえる快感。ダイナミックに展開していく「Cat 2」では、フロント3人がステージ前方までにじり寄ってアピールする。サビでファンがジャンプするたびに揺れを増すスタンドも含めて、武道館の熱量がピークに達したように感じた渦中に、おなじみのシーケンス、白井のコードが一層ボリュームを上げ、いきなり高音で歌い始める川上、2バスすらハード・フィッティングな庄村のキレッキレな「Kick&Spin」でライブハウス武道館はさらにブチ上がる。ステージ左右の袖まで走ってスタンドにごく近い場所で歌う川上は、センターに戻るとサビの“生きていく”でアリーナにマイクを向ける。エクストリームかつヒップホップ的なグルーヴを持ち、怒涛の展開を繰り広げるこの曲だが“笑われたなら 笑い返せばいい”、このサビへの共感は曲が世に出たときの何倍ぐらいになっただろう? 俺たちの音楽はかっこいい。それを自分が信じなかったら何も始まらない。トリッキーでチャレンジングなこの曲が立派にアンセムとして鳴り響く瞬間を見た思いがする。

俺らは変わらない、そんな決意表明ってことで次の曲やります

 沸騰しきった会場を別な意味で沸かせたのが、デビュー以来、MCで話したことのない白井のMC。「(以前)“俺がMCするのは武道館クラスかな”って言ってしまって。洋平と高校の学園祭の後夜祭で500人ぐらいの前でコピー・バンドをやったんですけど、大勢の前でライブをやるのってなんて素晴らしいんだ! と思って。で、そのとき、洋平もいたんです。この人(聡泰)は対バンだったんですけど。磯部は新しい仲間だけど、ここに今いるのは運命だと思って。俺らは変わらない、そんな決意表明ってことで次の曲やります」と、この日唯一、少し誇らしげな発言が初MCという白井から告げられたのは、メンバーにとってもファンにとっても記憶に残る場面になったことだろう。

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PHOTOGRAPHY BY yuki kawamoto

 その白井の星のような輝度の高いフレージングから、今やライブの情景を塗り替える重要曲に成長した「Run Away」と「Oblivion」が続けてプレイされ、センチメンタルな響きのイントロから洋平が「This Song Called Starrrrrrr!」とタイトル・コールすると、ああ、やはりこの曲は今の[Champagne]の快進撃を”共感”というあらたな武器でビルドアップした大きな財産だなと思う。“彷徨って 途方に暮れたって”“どこまでも 私は私だから”。共感や内省や叙情を前面に出すことはない彼らが、それでも本音をさらけ出したことで生まれたのは、やはりどこまでも伸びていくメロディだったし、痛みを共有した上でシングアロングする“light up all the star yeah”は格別だ。感動と熱をまとった会場をさらに驚かせたのは、モニター背後にストリングス隊が登場した、アルバム『Me No Do Karate.』のラスト・ナンバー同様「Plus Altra」。着実に踏みしめるように鳴らされるなんのギミックもない、美しいメロディがただただ印象的なベーシックなこの楽曲を豊かな弦のアンサンブルが、大げさになることなく曲そのものの強さを増幅していた。

改めまして[Alexandros]です

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PHOTOGRAPHY BY AZUSA TAKADA

 しばし放心状態に陥った会場から「そういえば改名ってどのタイミングで発表されるんだろう?」という言葉には出さないまでも、もうひとつの我に返ったムードとともに大きくなる拍手と歓声に応えて、再び今度はSEとして「Burger Queen」が鳴るなか、再登場し演奏を重ねていく4人。再び別のライブがスタートしたと思えるぐらい自然に見えるのが不思議なのだが、曲のエンディングとともに巨大モニターに映しだされたのは“[Alexandros]”という初めて目にするバンド名。「はじめましてアレキサンドロス!」に続き、新曲のタイトル・コールを川上がしたと同時に、ソリッドなリフとリズムが高速2ビートを刻みつつ、ブレイクビーツに変化していくような、いわば「Kick&Spin」を超えるかも? とおぼしき怪物チューン! 改名のタイミングで新曲という最高のスタートを切りつつ、「改めまして[Alexandros]です。まぁ今に慣れますから。名前の由来なんかは媒体とかブログとか楽しみにしておいてください。でも“ようぺいん”っていうのはBIGMAMAのあいつがつけてくれたんで、これからも使っていきます」という一言にファンは歓迎の声を上げた。それでも止まない歓声に応えてダブル・アンコールで登場した4人。「バンド名が変わっても何も変わりません。今日はまたひとつ成長できたと思います。またツアーでお会いしましょう。[Alexandros]でした!」と、この日最も心に残る歌を「Untitled」で届けた。

最後の最後にメンバー紹介をし、ていねいに曲を演奏し終えた4人の表情からは、いつもどおり、ひとつのライブを終えた達成感が見てとれ、偶然でもあり必然でもあるあらたなスタートをただ事実として受け止め、前だけ見ている印象を受けた。会場内に「このバンド名(ステージのスクリーンに映し出された[Alexandros]というロゴ)、写真撮影OKなので、どんどんTwitterとかで広めちゃってください!」というアナウンスが流れるとタイムラインには同じような写真とコメントで埋め尽くされた。ファンもライターはじめ媒体の人間も、加担せずにはいられない。別にこの改名の件だけじゃない。[Champagne]改め、[Alexandros]という名のロック・バンドがいちばんカッコよくなくて何がカッコいいんだ? そしてその頂点には自分たちが立つんだ……根拠や理由より、純化された欲求が何よりのガソリンであることに、異論を挟む余地はない。武道館のライブを観たことで、もっとデカい夢を[Alexandros]と追いかけたくなってしまった。そんなバンド、今、ほかにいるだろうか?

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PHOTOGRAPHY BY AZUSA TAKADA

SETLIST

01. Rise
02. Burger Queen
03. Stimulator
04. Waitress, Waitress!
05. Yeah Yeah Yeah
06. Ho!
07. 言え
08. 涙がこぼれそう
09. Travel
10. Instrumental Medley
11. Wanna Get Out
12. city
13. Cat 2
14. Kick&Spin
15. Run Away
16. Oblivion
17. Starrrrrrr
18. Plus Altra
<ENCORE>
EN01. Burger Queen
EN02. 新曲
EN03. For Freedom
EN04. Forever Young
EN05. Don’t Fuck With Yoohei Kawakami
<W ENCORE>
EN06. Untitled

PROFILE

川上洋平(vo、g)、磯部寛之(b、cho)、白井眞輝(g)、庄村聡泰(ds)。2007年より本格的に活動を開始。2010年1月に1stアルバム『Where’s My Potato?』、同年7月に1stシングル「city」をリリース。現在までにアルバム4枚、シングル8枚、ライブDVD2枚を発表している。今回レポートした2014年3月28日を境に、バンド名を[Champagne]から[Alexandros](ヨミ:アレキサンドロス)へ改名している。

LIVE INFORMATION

<ワンマン>
We Don’t Learn Anything Tour 2013-2014
2014年4月10日(木)Zepp Namba Osaka
2014年4月11日(金)Zepp Namba Osaka
2014年4月13日(日)Zepp Fukuoka
2014年4月20日(日)Zepp Sapporo
2014年4月28日(月)Zepp Nagoya
2014年4月29日(火・祝)Zepp Nagoya
2014年5月09日(金)Zepp Tokyo
2014年5月10日(土)Zepp Tokyo

<イベント>
ARABAKI ROCK FEST.14
4月26日(土)エコキャンプみちのく

VIVA LA ROCK
5月05日(月)さいたまスーパーアリーナ

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014
5月24日(土)新木場・若洲公園

THE BAWDIES “〜The 10th Anniversary〜Like a Rockin’ Rollin’ Stone Tour”
6月15日(日)Zepp Fukuoka
6月17日(火)BLUE LIVE 広島
6月18火(水)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
※[Alexandros]はゲストとして出演

関連リンク

[Alexandros] OFFICIAL WEBSITE

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