N’夙川BOYS – 昨年12月に発表されたアルバム『Timeless Melody』を引っ提げ敢行された全国ツアーのファイナル。マーヤLOVEがリベンジに燃えたSHIBUYA-AXのレポート。

N'夙川BOYS

昨冬にリリースされたアルバム『Timeless Melody』。この作品の裏テーマを“change your mind!”と語っていた彼らは、この言葉を掲げた全17都市19公演におよぶ全国ツアー<“Timeless Melody”リリース記念 change your mind!〜いつでも心にタイムレスメロディーを〜>を敢行した。そして、その最終公演を3月23日にSHIBUYA-AXで迎えた。N’夙川BOYSの楽曲たちは、どれも、ロックでポップで、ドキドキしてキラキラしてる。そんな愛すべきロックンロール・バンドの熱くていとおしいパフォーマンスをどうぞお楽しみください。

TEXT BY 森朋之 PHOTOGRAPHY BY 松岡敦飛

興奮状態をキープしたまま、徹底的にロックンロールをやり切る

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ロック・バンドにとっていちばん大切なのは、演奏力とかではなく(もちろん楽器はうまいほうがいいと思いますが)、ライブを観た人の気持ちと身体を解き放ち、“うわ、こんなにメチャクチャでいいんだ!?”とか“自分も何かやってみよう!”と感じさせることであり、つまりN’夙川BOYSは最高のロック・バンドなのだと思う。こんなに自由な人たちは絶対、ほかにいない。

アルバム『Timeless Melody』のリリースに伴った全国ツアーのファイナルとなる、SHIBUYA-AX公演。彼らがSHIBUYA-AXでライブを行うのは、昨年4月に続いて2回目。前回は緊張のあまり「悔いが残っていた」(マーヤLOVE)ということだが、今回は夙川らしい、どこまでも自由奔放なステージを繰り広げた。

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ザ・ヴァセリンズの「Son Of A Gun」を大音量で流しながら、メンバー3人がステージに登場。マーヤLOVEはいきなり「カモーン! いけるか、AX!?」とオーディエンスを煽り、貝を片手に「Kai!Kai!Kai!」と叫びまくる。そしてオープニング・ナンバーの「Boys and Girls」。打ち込みのビート+シンノスケBoysの豪快ギターに乗って、「真剣になりたい Boys&Girls」とシャウトするマーヤLOVEとリンダdada。スッカスカの音と振り切ったテンション、そして、“やりたいことをやるんだぜ”というメッセージが強烈に伝わる歌。最初から夙川にしか生み出せないシーンが出現して、思わず顔がニヤけてしまう。さらにメジャー1stミニ・アルバムのタイトル・チューン「プラネットマジック」のエンディングではジャンプを決めたマーヤLOVEが背中からステージに落ち、「でっかい でっかい 夢を見よう!!!」という大合唱が生まれた「Freedom」ではリンダdadaが立ち上がったままでドラムを叩き(←念のため説明すると、N‘夙川BOYSのライブはメンバー3人が楽器をとっかえひっかえしながら展開されます。ベースを弾く人はいません)、「このまま24時間いけるかい?」(マーヤLOVE)という言葉に導かれた「24hour」では大げさに腕を振り上げたシンノスケBoysがノイズだらけのギター・サウンドをぶちかます。興奮状態をキープしたまま、徹底的にロックンロールをやり切る。N’夙川BOYSのダイナミズムとは、どこまでもシンプルな快楽原則に裏打ちされているのだ。

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「まだまだいくぜ! キミたちのロックンローラーな笑顔を見せてくれよ! 約束どおり帰ってきたぜ!」
「今日はツアーの最終日だぜ! まさかこの期に及んで、ニュー・アルバム『Timelss Melody』を聴いてきてないとか、ねえだろうな。(聴いてない人は)瞬間で、今日覚えろ。Are you ready?」

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マーヤLOVEならではのブッ飛んだMCのあとは、「It’s all lie」。キャッチーなギター・フレーズに乗せて、すぐれたポップなメロディが広がっていく。アルバム『Timeless Melody』のメール・インタビューの中でマーヤLOVEは「簡単な楽曲にグッド・メロディ。本当にそれだけで充分なはずだと常々思っています。きっと、思いっ切りエナジーをぶつけて楽器を演奏するためにシンプルな楽曲ってあるんだよ」とコメントしていたが、この曲は夙川のポップネスがきわめてわかりやすく示されたナンバーだと思う(ちなみにこの曲でマーヤLOVEは背中からフロアにダイブ! いきなり飛び込んできたマーヤをオーディエンスがガッチリと受け止めてました。そして彼はこのあと、何度も何度もフロアに飛び込むことになります)。

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この後、ライブはさらにヒート・アップ。リンダdadaがリード・ボーカルを取る「路地裏BE-BOP」──「信じていてね 君だけの美学」というラインにグッとくる──ではオーディエンスの大合唱が生まれ、客席とフロアの距離がさらに近くなる。

「もうね、やっとここまできたんですよ、ロックンローラー!」というマーヤLOVEの渾身のシャウトに続いては「homework」。キラキラのシンセ・サウンドのうえにシンノスケBoysのギターが重なり、「何かを掴んだら 次のページ 毎日やりのこした homework」というラインが響きわたる。“演奏力は言い訳程度”というキャッチフレーズ(?)どおりのハチャメチャ感も夙川の楽しさなのだが、このバンドはとにかく曲が良い。’80年代のニューウェーブ、ギター・ポップ、UK/USのインディー・ロック(例えばザ・ドラムスとか)のテイストを感じさせつつ、圧倒的なオリジナリティとわかりやすいポピュラリティを加えながら、煌びやかで熱狂的なロックンロールへと結びつける。この独特のセンスは、夙川の最大の武器だと思う。「homework」におけるマーヤLOVEのドラムも強烈。スティックを持った右手で直接タムを叩き、同時にシンバルを鳴らすという荒業、あんなの見たことない。

ライブ前半のクライマックスは『Timeless Melody』に収録されたインスト・ナンバー「virgin」。リンダdadaの直線的な8ビート、爆発的なパワーを備えたシンノスケBoysのギターが炸裂し、フロアのロックンローラーたちは理性をかなぐり捨てて踊りまくる。全身全霊で爆音を鳴らし続ける3人の姿を観ているうちに、熱い気持ちがグングン湧き上がってきてしまう。

「俺たち、この曲のあと、いっぺんいなくなるぜ。“アンコール”とか言うんじゃねえぜ!」(マーヤLOVE)ということで、ここで小休止。BGMはシド・ビシャスの「My Way」、ザ・スミスの「This Charming Man」、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「I’m Waiting For The Man」など。そんなロックの歴史に残る名曲の数々を楽しんでいると、再びメンバーが登場、ライブ後半が始まる。

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ステージ下手にはベースを持った増子真二(DMBQ/BOREDOMS)の姿が。増子氏はアルバム『Timeless Melody』のプロデューサー。マーヤLOVEが「僕にとってはロックンロールの師であり、最強ミュージシャンのうちのひとり」と語る増子氏とともに披露されたのは、シンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」のカバー。シンセっぽいエフェクトを施したベース・ラインとパンキッシュなシンノスケBoysのギターに乗って、リンダdadaが「Girls Just Want To Have Fun!(女の子は楽しみたいの!)」というサビのフレーズをポップに歌い上げる。さらに「命短し恋せよ乙女じゃ つまんない」というラインを持ったポップ・チューン「全.力.女.子!」。“女の子、頑張れ!”というメッセージは、リンダdadaのキャラクターにピッタリ!

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「ニュー・アルバム『Timeless Melody』の中から、いちばんメロウな曲を一曲」(マーヤLOVE)という「MA.CHI.A.WA.SE」(ミディアム系のナンバーをギミックなしで歌い上げるマーヤにグッときた)、キーボーディスト・西滝太のロックンロール・ピアノを加えた「Hello,999」「Don‘t Stop Baby」(増子氏、西氏のおかげでアンサンブルの精度がいきなりアップ!)を挟み、「kiss kiss」へ。「kiss(ケー・アイ・エス・エス)」という愛らしいフレーズを連呼しながら、マーヤLOVEが再び客席に飛び込み、フロアのど真ん中で「Kiss、それは始まりの魔法!」とシャウト。さらにステージに戻り、「“シ、ブ、ヤ、ア、ツ、ク、ス”。7文字! 7人上がってこい!」と声をかけ、男7人を舞台に上げる(女子はダメ)。そして、「ケー・アイ・エス・エス!」と歌いながらひとりひとりと情熱的なキスを交わす。当たり前だけど、こんな演出見たことない、というか思いついても普通はやらない。マーヤLOVEも「俺も勢いでやらないとダメなんだー」と言っていたが、なんだかわからないほどすごい。

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増子氏、西氏はここでステージを去り、3ピースに戻ったN‘夙川BOYSは最後の力を振り絞るようにキラー・チューンを連発。まずは「アメちゃんみたいな、AXとあなたたちに捧げる曲!」(リンダdada)というセリフとともに放たれた「Candy People」。右足をバスドラの上に置いたまま(つまりバスドラは鳴ってない)タイトなリズムを打ち鳴らすシンノスケBoys、まさにキャンディ・ポップなメロディを交わし合うリンダとマーヤ。夙川ならではの自由すぎるサウンドが高らかに鳴らされ、会場のテンションもさらにアップ! そして、とっておきのアンセム「物語はちと?不安定」。「出会いがあって、別れがあって。こんなにたくさんの人たちと僕らは……出会って、そして、別れて」というストーリーから始まるこのロックンロールによって、ライブはついにクライマックスへ突入。曲の途中でテンポ・アップ、なぜかシンノスケBoysが脚立を持ってきて、その上に登ってギターをかき鳴らす(グラグラしていて、ちと危ない)。そのままの勢いで客席にダイブ、大股開きで観客の上を移動していく。続いてマーヤLOVEが「ロックンロール、飛び込みます!」と再びフロアの中に入っていき、真ん中あたりで仁王立ち。「AX、オーライ! “Change your mind!”」とツアー・タイトルを何度も叫びまくる。夙川でしかありえない光景が続き、解放的な雰囲気が広がっていく。

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本編ラストの「死神DANCE」の前に、珍しく(?)心境を吐露するマーヤLOVEの姿も印象的だった。

「ホントにありがとうございます! DVDの映像にも残ってるんですが……初めて言うぜ。去年もAXでやったんですけど、俺、緊張してたよ! だから、ゼッタイもう一回やりたいって言って。もう一回やれてホントに良かったよ!」
「俺だけの、前回の反省。ビビるな! ビビるんじゃねえ、ロッケンローラー! なぜなら、SHIBUYA-AX! ここにいるのはロックンローラーだけじゃねえか!」
「オーライ!? 最後、もうヘロヘロでしょう? 汗ビショビショでしょう? もう飛びたくないと思ってるでしょう? 後ろからの圧力で息できないでしょう。酸素足りないでしょう。それでもやり切るロックンローラーがたまらん!」

フッラフラになりながら、まさに死神のようなシャウトを繰り返すマーヤLOVE。汗だくで声援を送り、暴れまわるオーディエンス。“ロックンロールってこういうことだよな”と力づくで納得させられるような、すさまじいシーンだった。

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熱狂的なコールの中、再びステージに登場したメンバーはラスト・ナンバー「Change」を披露。「君だけが 君だけの 未来を変える CHANGE!」というポジティブな言葉が響きわたる。エンディングSEの「There She Goes」(The La’s)に合わせて「降りたくないよイエイエ〜♪」と笑顔で歌うリンダdadaとマーヤLOVE。そして、会場を眺めながらオーディエンスへの感謝をボディ・アクションで伝えるシンノスケBoys。稀代のロックンローラーたちの生き様、しっかりと見させてもらいました!

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SETLIST

M1. Boys and Girls
M2. プラネットマジック
M3. Freedom
M4. 24hour
M5. It’s all lie
M6. 路地裏BE-BOP
M7. homework
M8. Virgin
M9. Girls Just Want To Have Fun
M10. 全.力.女.子!
M11. MA.CHI.A.WA.SE
M12. Hello,999
M13. Don’t Stop Baby
M14. kiss kiss
M15. Candy People
M16. 物語はちと?不安定
M17. 死神DANCE
<ENCORE>
EN1. フェアリー
EN2. Change

DISC INFORMATION

ALBUM 2013.12.04 release
『Timeless Melody』
ビクターエンタテインメント

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LIVE INFORMATION

“ARABAKI ROCK FEST.14”
2014年4月26日(土)みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

“COMIN’KOBE’14”
2014年4月29日(火)神戸ポートアイランド

“ART-SCHOOL NEW ALBUM「YOU」Release tour 2014”
2014年5月10日(土)京都 磔磔

PROFILE

マーヤLOVE、リンダdada、シンノスケBoysにより、2007年に結成。メンバーの楽器ポジションは楽曲に寄って変動。2011年8月にミニ・アルバム『PLANET MAGIC』でメジャー・デビュー。

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