Homecomings EP「I Want You Back EP」ディスクレビュー

I Want You Back EP

EP

Homecomings

I Want You Back EP

SECOND ROYAL RECORDS

2014.03.19 release

<EP>


京都発、新世代が奏でるナチュラルなギター・ポップ

 とてもナチュラルな歌だ。女の子がボーカルのこのバンドの歌詞は、すべて英語。それもヘンに力んだり歌いあげたりなんかしない、透明な声である。曲はポップで軽やかでメロディアス。それが涼風が吹き抜けるようなギター・サウンドとともに表現されている。

 京都の大学のサークルで結成された、女性3人と男性1人から成るバンド。みんなで一緒に音を出したりコーラスを加えたりしている感覚まで伝わってくるのがほんとに爽やかだし、聴いてて楽しい。リンリンと鳴るベルがかわいい曲もある。よけいな装飾など皆無のこの音はシンプルで、素朴だ。だからこそ、素材の──もともとの歌やメロディ、演奏がよけいに大事なわけで、そうした体温までをちゃんと音にできているところにも、このバンドのリアルな姿勢を感じる。今みたいに、だんだんあったかくなってくる季節には、ほんとピッタリの音楽だと思う。

 と、ここまでは、あえて感覚的なことを書いた。これ以降はもっと情報的なことを書いていくので、もし知らない固有名詞にあたったら、ぜひとも検索するなどして、たどってみてほしい。

 このバンドがベースにしているのは、日本では“ギター・ポップ”と呼ばれているサウンドである。それは’80年代から’90年代にかけて世界中の音楽ファンに愛されるようになった音楽で、Homecomingsには、ギター・ポップの代表格であるザ・ヴァセリンズやザ・ パステルズといったアノラック系のバンド(ニルヴァーナのカート・コバーンや日本のフリッパーズ・ギターが影響を受けたことでも知られている)のにおいが強く感じられる。この4人がそんな洋楽ロック寄りの血筋を持っているのを理解する上では、過去にフジロックの新人枠である“ROOKIE A GO-GO”に選ばれて出演したことのほかに、このEPの表題曲が去年京都で共演したティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイクに絶賛されたことや、3曲目はボストンのシンセ・ポップ・バンド、ザ・マグネティック・フィールズのアコースティック・カバーであることも大切な事実だろう。

 こう書くと、懐かしの音楽をやってるバンドなの? と思われるかもしれないが、そもそもギター・ポップは時代を超えるほどの普遍性を持つ音楽だし、Homecomingsの結成時にはネオ・シューゲイザーから派生したニューヨークのバンド、ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートからの影響もあったようで演奏にそうした骨太さも備わっている。正しく今の時代のギター・ポップだと思う。

 最近ではHAPPYやHi,how are you?といった新勢力が注目されつつある京都からのあらたなる感性。まずは、この音の気持ち良さを体感してほしい。

(青木 優)

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