フレデリック MINI ALBUM「うちゅうにむちゅう」ディスクレビュー

うちゅうにむちゅう

MINI ALBUM

フレデリック

うちゅうにむちゅう

MASH A&R

2014.03.12 release


日常感とオルタナ感が混在するクセになりそうな音楽

 ひと筋縄ではいかないサウンドで注目を集めるフレデリック。ミハラケンジ(vo、g)とみはらこーじ(b、cho)の双子の兄弟が中心となって、ネット経由でKaz.(ds)と赤頭隆児(あかがしらりゅうじ/g)が加わり結成された神戸出身の4ピース・バンドだ。ミハラ兄弟が強く影響を受けているのが、ナゴムレコード、「イカ天」で知られる、たま。フレデリックの音楽性が直接的に、たまに似ているわけではないが、どことなく近い雰囲気があるのは確か。世代はだいぶ違うも、例えば、たまを日本のオルタナティブ・ロックのクラシックと捉えるならばそれも納得できる。

 これまで関西のライブ・シーンを中心に活動し、昨年“MASH A&R”というオーディションで特別賞を受賞。東京でのライブも増加中の彼らが、初の全国流通盤ミニ・アルバム『うちゅうにむちゅう』をリリースした。本作のプロデュースは柏原譲(Polaris/FISHMANS)が手がけ、フレデリックの持ち味により広がりをもたらすこととなった。

 本作は、不思議なサイケ感溢れるインスト・チューン「パパマーチ」から始まる。ミハラケンジのクセのあるボーカルがタイトなギターとビートの上で映える「bunca bunca」は、サビのメロディの良さ、うねりを上げるギター・ソロなど耳に引っ掛かるものがある。マイナー・コードの哀愁感、ミディアム・テンポから一気にアップ・テンポになったりと次々と展開していく「SPAM生活」では、ダメっぽさもありながらさりげなくポジティブな歌詞の世界観が歌われている。「アウトサイドの海」は、ダビーで切ないソウル感が漂うスロー・チューン。アーバンに届かない人間臭がたまらない。「秘密のお花畑」は、ニューウェイブ・ファンク感のあるカッティング・ギターと切れの良いビートが軸にありながら、どこかゆがんでる感じが彼ららしい。そして、跳ねたビートと言葉がシンクロする「ほねのふね」でラストを締め括る。

 歌詞はどれも掴みどころのないような印象があるが、どれもが前を向いているのも面白い。そして、マイナー・コードがメインだからなのか昭和感を感じたりもする。サウンドも、少ない音数ながらどの楽器も楽曲をしっかり支えておりもの足りなさはない。と、いろいろな要素はあるが、根本にあるのはメロディの良さ。これは、じんわりとハマる中毒性たっぷり。ぜひ、自分の耳でご確認を。

(土屋恵介)

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