BUMP OF CHICKEN ALBUM「RAY」ディスクレビュー

RAY

ALBUM

BUMP OF CHICKEN

RAY

トイズファクトリー

2014.03.12 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


2014年3月12日にBUMPが放つフレッシュな光線

 前作『COSMONAUT』から3年ぶりの7thアルバム。筆者が行ったインタビューで、まずメンバーに伝えたのは、『COSMONAUT』から3年もの時間が経っている事実に不思議な感覚を覚えるということだった。

 “RAY”(光線、光芒、煌めきを意味する)というアルバム・タイトルを呼び込んだ楽曲「ray」が象徴しているように、本作には感動的なまでにフレッシュな感触に満ちている。それはこの3年間でかつてないほどオープンなマインドでリスナーとのコミュニケーションを図り、またその延長線上で積極的に世間とコミットしていったバンドの歩みがダイレクトに作品へフィードバックされた結果であるのは間違いない。本作に収録されている全14曲のメロディ、リリック、サウンドには明らかにあらたな扉を開いたバンドのポジティビティが通底している。

 取材時にスタッフから各楽曲が何年何月何日に生まれたのかが時系列に記されてある“『RAY』年表”をいただいた。その年表によると、最初にできた楽曲は『COSMONAUT』制作時である2009年8月7日、13曲目の「(please)forgive」。平熱の体温に包まれていながらも壮大なスケールがあり、コードの動きやメロディ、ギター・リフのフォームにBUMPらしい土着的かつ緻密な音楽性が織り込まれたミディアム・ナンバーが、悠然とした切ないリリシズムを豊かに表出させる名曲である。当初、メンバーはこの「(please)forgive」も『COSMONAUT』に収録しよう考えていたが、収録時間の容量をオーバーしたことで見送られた。結果的に「(please)forgive」が『RAY』に収録された意味の大きさは、アルバムのラストを飾る14曲目「グッドラック」との共振性に強く感じる。こうして、ひとつの楽曲に特別な物語性を派生させ、他の楽曲群と有機的に呼応させるのもBUMP OF CHICKENというバンドだからこそ成せる業でもある。そして、「(please)forgive」から実に約6年の時を経て、2013年7月29日にシンセや同期音を強くフィーチャーした煌びやかなポップネスが躍動する——余すところなくBUMPの今が凝縮されている——「ray」が誕生し、『RAY』は完成を見た。

 7曲目「ゼロ」や9曲目「Smile」にある重厚感が、アルバム全体の力強い背骨になっていることも見逃してはならない。1曲1曲に必然のドラマがあり、どれも欠けてはならないドラマの連なりが『RAY』に満ちているフレッシュな感覚の源泉となっている。

 そして、今夏、『RAY』から射す光線が、東京ドームに到達する。かつては想像すらしなかった。しかし、今は4人がドームの大きなステージで音楽を体現している姿を鮮やかに思い浮かべられる。『RAY』とはそういうアルバムである。

(三宅正一)

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