RADWIMPS SINGLE「ピクニック」ディスクレビュー

ピクニック

SINGLE

RADWIMPS

ピクニック

EMI Records

2015.06.10 release


21世紀型ダブ・バンドが提示する最新のダンス・ミュージック

 “タムタム。太鼓たたいて踊りましょう”。これは、幼少の頃に耳にした「みんなのうた」の何かの楽曲のフレーズだが、TAMTAMの新曲「クライマクス」を聴いていると、明日を悩まずに今日を存分に生きていた子供の頃に戻って、無邪気に踊りたくなる。天も地もない無重力の空間に漂いながら、少し涙を流しながら、ゆらゆらと揺れているような気分にしてくれる。「クライマックス」ではなく、「クライマクス」というタイトルの物言いも、童心を思い出した一因かもしれない。

 TAMTAMは2008年12月に大学のサークルで出会ったメンバーによって結成された、21世紀型のダブ・バンドだ。メンバーは紅一点のボーカルKuro、ベーシストのJunet Kobayashi、ギターのYuthke Suzuki、キーボードのTomomi Kawamura、ドラムのAffee Takahashiの5人。2011年2月に自主制作でリリースしたミニ・アルバム『Come Dung Basie』をきっかけに、あらかじめ決められた恋人たちへのダブPAである石本聡と出会い、翌年には彼のレーベルであるmaoから、LITTLE TEMPOのキーボディストで、元フィッシュマンズのHAKASE-SANをプロデューサーに迎えたアルバム『meteorite』を発表。同年に“FUJI ROCK FESTIVAL”のステージを踏み、場内の観客投票で1 位を獲得。2013年3月には、同じくmaoから、ダブやレゲエ、ダブ・ステップやポスト・ロックからポップ・ミュージックまでを独自の解釈でブレンドしたミニ・アルバム『Polarize』をリリースし、同年10月にはメジャー・レーベルであるスピードスターレコーズからのメジャー・デビューを発表。早耳の音楽好きからは「ダブ・バンドとしては極めて稀」と驚きを持って迎えられるとともに、2014年1月21日からは、全国のTOWER RECORDSで“謎のカセットテープ”の無料配布を実施し、音楽シーンを賑わした。

 新しく刺激的な新人の出現に期待が高まる中で到着したTAMTAMのプレ・デビュー・シングル「クライマクス&REMIXES」には、ダブやレゲエといったジャンルの壁を軽々と突き破る、鮮烈な輝きがある。ネットの視聴でもなんでもいいが、とにかくプレイ・ボタンを押してみてほしい。最初の音が鳴り出した瞬間に、日常の雑事を一気に吹き飛ばしてくれるような感覚があるのだ。浮遊感と伸びやかさが共存する歌声、太くうねるビートに、独特のサウンド・スケープを構築するギターと鍵盤。そして、ライブでもつねに帯同しているDUB PAによるディレイやリバーヴ処理……。細かく説明しようと思えばいくらでもできるのだが、まず予備知識なく、彼らの音を浴びてみてほしい。ルーツ・ミュージックが好きな人はもちろん、ロックが好きな人も、普段はJ-POPしか聴かないという人にも、きっと新鮮な驚きと新しい音楽に出会えた喜びがあるはずだから。

(永堀アツオ)

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