Ishige Akira ALBUM「Dark Becomes Light」ディスクレビュー

Dark Becomes Light

ALBUM

Ishige Akira

Dark Becomes Light

DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT

2014.02.26 release

<CD>


孤独がもたらす光輝を

 2010年12月にリリースした『from my bedroom』から、the telephonesの活動の合間を縫ってリリースしてきたIshige Akiraのソロ・アルバムもこれで3作目。これが、すごくいい。過去2作品を経て、石毛のソロ音楽像が“揺るぎない自然体”で形象化されている。

 telephonesの作品やステージで見せるパーティ・ミュージック・イズムやそこから生まれる陽性の喧騒を抜け出して、石毛が自宅の扉を開ける。夜更けから太陽が昇る時間にかけて、バンドのパブリック・イメージとは裏腹にある孤独と対峙しながら、ひとりベッドルームから広げる深淵かつ静謐、メロディアスな音楽世界に手を伸ばす——。

 光と闇をめぐるバランスにおいて、光を強烈にハレーションさせながら闇を覆い尽くすのがtelephonesとするならば、漆黒の闇が徐々に光を帯びていくそのコントラストを美しくスケッチするのが石毛のソロ作品における核心である。

 エレクトロニカやアンビエントを軸にしたサウンド・プロダクション、石毛の“誠実な音楽ジャンキー”としての矜持、あるいは“まだ見ぬ音楽を求め続けるひとりのリスナー”としてのイノセンスが窺える、現行の海外インディシーンとリンクする音のエッセンスをまぶすアプローチもこれまでどおりだが、今作はあらゆる面において気張っていない泰然自若としたムードに満ちている。

 京都の自然の恵みを採取したフィールド・レコーディング、シンプルな筆致で綴られた“メッセージを獲得する前夜”としての日本語詞と、そこに寄り添うおおらかな情緒をたたえた旋律。過去2作品と比較して、日本に生きる者としての土着性や機微を感じさせながらも、最終的には異邦人然とした音楽像が結ばれているのが石毛らしいし、そこに彼がソロ作品で“孤独がもたらす光輝”を創造する理由が聴こえる。そして、このボーダーラインの先にtelephonesの多幸感があるのだと強く再確認した。

(三宅正一)

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