KNOCK OUT MONKEY ALBUM「INPUT ∝ OUTPUT」ディスクレビュー

INPUT ∝ OUTPUT

ALBUM

KNOCK OUT MONKEY

INPUT ∝ OUTPUT

ビーイング

2014.02.26 release


多様なルーツを内包したバンドの待望のフル・アルバムが完成

 彼らのメジャー・デビュー・シングル「Paint it Out!!!!」で聴かれた独自のサウンドは、単なるラウド系のジャンルでは収まらない未知の可能性を感じさせてくれた。かぎりなくハードなサウンドに突如混ざるボサノバタッチのパート。しかしそこに不自然さはなく、しっかりと骨太なグルーヴがあってこその変化球を得意とするバンドであることを認識させてくれた。もちろん、伸びやかな歌声の魅力と、胸の内をさらけだす真摯な歌詞も欠かすことのできない要素としてしっかりと刻まれていた。

 そんな彼らの待望の1stアルバムは、言葉と音がまぶしいほどの輝きを持って溢れ出す内容に仕上がっている。冒頭のインスト・ナンバーでドラマチックに幕を開け、自らの音楽で狼煙を上げる意思表示を込めた「I still」が強いインパクトを残す。激しいサウンドに乗せて明快なメロディが突き抜け、楽曲のスピード感そのままに、聴き手に揺るぎない想いをぶつけてくる。また、大事な人へのリスペクトをストレートに表現した「Dear」、このうえなくスリリングなバンド・サンドで構築した「Challenge&Conflict」、シャッフルに乗せてハードボイルドなストーリーが綴られる「Gun shot2」など、多彩な中にも逞しい体幹を感じさせる曲が多い。ラストの「Sunrise」は繊細で抒情的な作品なのだが、あえて硬質な音でバンドのカラーを損なわない内容に描き切っているのも興味深い。音の感触はややソフトになっているものの、情景が浮かび上がるサウンド・アプローチは彼らならではのオリジナリティと言えるだろう。

 現実社会でつきまとう、やり場のない焦りや怒り、なかなか得ることのできない充足感。先の見えない時代に生きていると麻痺しがちな毎日の手ごたえ。そんな日々を過ごすうちに体の一部で角質化していた曖昧な皮膚を一枚一枚剥がしていく作業こそが彼らの作品づくりの本質だ。幼少期の記憶も目の前の重苦しいリアルも血の通った言葉に起こし、確実に作品化することで着実に前に進んでいく。皮膚を活性化させ、感性をクリアにしていく。そんなタフな息吹を感じられる楽曲が揃った。

 豪快な音と心情を吐き出す歌詞、一曲の中で次々に景色が変わっていくアレンジ。そこにはメンバーの持つ様々な音楽性が見え隠れするとともに、可能なかぎりやれることに挑戦していこうとするひたむきさも見て取れる。しかも、ライブと一直線に繋がるワイルドさを残した音作り。彼らの“今、ここ”にいる証が詰まっている。

(岡本明)

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