the twenties MINI ALBUM「palm」ディスクレビュー

palm

MINI ALBUM

the twenties

palm

neon records

2014.02.05 release

<CD>


無垢? 無意識? 聴き手の自意識を容赦なく暴く声

 1stミニ・アルバム『HELLO GOODBYE』所収の「fire」の動画を観る限り、硬質なサイケデリアをニューウェーヴ寄りのサウンドで表現する、異様に個性的なフロントマンを擁する確信犯かと思ったが、どうやらそんな紋切型で済ませられるバンドではなさそうだ。と、今回リリースされる2ndミニ・アルバムであるこの作品を聴いて考えを改めている。別にその異様に個性的なフロントマン、タカイリョウのプロフィールを少し知ったせいではない。

 誰より強い自我を抱えながら、無意識に発しているような無垢な声はゆらゆら帝国時代の坂本慎太郎、叫んでいても感情の温度が失われたようなニュアンスはTHE NOVEMBERSの小林祐介、でも明らかに感情が上下している様は女王蜂のアヴちゃんを想起させる。でも、その自我を失くしたような声は、なにか自意識を見抜かれたようで聴いてるこちらを焦らせる。

 タカイの資質がこの声を生んだのか、意識がこの声を作ったのかはわからない。ただ、この声があることによって、ときにチープでさえあるシンセ・サウンドが別にそんなサウンドが先鋭的なわけでもなく、ただ曲に必要だから鳴っているようなふてぶてしさを生むし(「YOUにBIRTHDAY」)、ヴェイパーウェイヴが次第にカット&ペーストの悪ふざけになっていったような快楽主義を思わせる「TETORApod」など、彼らの手にかかるとエレクトロニックな要素はイマドキの不良性を帯びる。それはシンセだけじゃない。ソリッドなリフと変則的なビートを持つUKインディっぽい「Come!!」にしても、ニューウェービーな冷たいサウンドの中で妙に歌謡として強い艶がはみ出る「palm」にしても、

 単にジャンルが交錯しているだけじゃない、違和感を引き寄せてしまうのはたぶんこのバンドの業だろう。そして中学生が思ったままを書き付けたような歌詞もまた、鋭い言葉は多いが自意識を感じない。これは久々に感じたいい違和感だ。その正体を彼らのこれからを見ることで、自分の中に見つけてみたい。

(石角友香)

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