SAKANAMON – 遊び心に溢れつつ、ぶれないバンドの芯をも堪能できる、彼らの2ndアルバム『INSUROCK』。そののどごしは爽快、キレ味も最高です!

SAKANAMON

かつて岡本太郎が「芸術は爆発だ!」という名言を発したが、3ピース・バンド、SAKANAMONの2ndアルバム『INSUROCK』は炸裂するパワーの詰まった作品となった。彼らが爆発によって壊しているのは既成概念や常識だ。こんなことをやってもいいのだろうか。こんなことを歌ってもいいのだろうか。そんなときに彼らは柔軟な発想とユーモアと勇気を持って、枠を越え、縛りを外して、自由な音楽を奏でている。個性的な曲がずらりと並んだバラエティに富んだ作品。でありながら、とっちらかっていないのは彼らが一貫して、はみだし者の音楽を奏でているからだろう。中心ではなく、周辺にいるからこそ、見えてくる景色がある。嘘のない歌詞、いいメロディ、人間味溢れるバンド・サウンド。彼らの音楽の核の部分はぶれていないのだが、その世界はあきらかに拡張している。これはたくさんの人が手を挙げて、一緒に大声で歌っている光景が見えてくるような作品でもある。ボーカル&ギター、ソング・ライティングの中心人物である藤森元生に聞いていく。

INTERVIEW & TEXT BY 長谷川誠

 

ともかく遊ぼうと思って自由に作りました

──2ndアルバムを制作するにあたって、何かイメージしたことはありますか?

いや、特にどんなアルバムにしようとかは考えず。でも漠然とですが、次のアルバムは面白いものを入れたいなというのはありました。だから1stアルバム以降、わりとそういう曲を作っていました。

──ということは1stアルバム『na』とはかなり意識が違うんですか?

前のは初めてのフル・アルバムということだったので、皆さんになるべくいい印象を与えられるようにしたいなって、慎重に作ってました(笑)。自己紹介的なアルバムにしようと思って作っていったんですが、今回はそういうことを抜きにして、ともかく遊ぼうと思って自由に作りました。

──面白いものを作ろうと考えたからといって、簡単には作れるものじゃないと思いますが、面白い曲を作るコツというと?

結局、発想次第だと思うので、吹っ切る力があれば意外とできるんじゃないかな。きれいにまとまる方向に持っていかない勇気を持って進んでいけばいいんじゃないかと。“えっ! これでいいのか?”というような曲が出来ても、たじろがず、ためらわずに進んでいく。それが結果的にいい方向に進んでいるのかどうかは、お客さんに聞いてみないと、わからないんですけど(笑)。

──そういう作り方って、とてもクリエイティブだと思います。

どうしたらみんながハッとするかなってことも考えながら、自分としてもこれは面白いなと思いながら、作ってました。面白さを伝えるためには、わかりやすい言葉で表現しないといけないところもあると思ったので、全体を通して、僕の中ではわかりやすい方向に寄せていったアルバムですよね。とはいえ、そんなにわかりやすくもなってはいないか(笑)。

押してるのか、引いてるのかわからないぐらいのかすかな応援

── 一曲一曲を聴いていて、すごくイメージが広がりました。ツアーをやった積み重ねが2ndアルバムでの制作に活かされたということは?

どうなんでしょうね……単純に演奏力が上がっていると思うし、音作りも多少うまくなったと思うし、ライブをやってて、どういう曲を作ったらよりライブで映えるか、みたいなことも前より考えた結果、出来た曲もありますね。

──「TOWER」などはまさにライブの光景が見えてくる曲ですね。

たしかに「TOWER」はライブを意識して作りました。曲がなんとなく出来てきたんですが、テーマが決まってなくて、みんなで話し合って“SAKANAMONのアンセム・ソングを作ろう”ってことになって。じゃあ、アンセム・ソングの歌詞とはなんだろうと考えながら、書き始めたんです。世の中に溢れるアンセム・ソングは実はあんまり好きなジャンルじゃなくて(笑)。アンセム・ソングって、希望のある言葉、ポジティブな言葉を並べがちじゃないですか? それが自分にとってはあまりリアルじゃないというか。

──それはなんとなくわかる気がします(笑)。

だからいわゆるアンセム・ソングが響かないような人たちをかき集めて、一緒に叫ぼう! みたいなことがテーマとなっていって。SAKANAMONなりの卑屈なアンセム・ソングを作ろうと(笑)。で、歌詞で頑張って表現していきました。SAKANAMONの応援ソングって、まったく導いてくれないというか、肩を押さずに応援するパターンが多いんですよ(笑)。“僕らダメだ、お前もダメだ、それでもいいじゃん”ぐらいの後押し。押してるのか、引いてるのかわからないぐらいのかすかな応援(笑)。

──肩を押されると、逆につらいときもありますもんね。

それに、“お前らなんかに言われたくないよ”って拒絶されるんじゃないかと僕は思っちゃうんですよ。押すんじゃなくて、むしろ同じ立場で肩を組み合う二人三脚みたいなイメージのほうがSAKANAMONには合ってるというか。決して兄貴キャラじゃない(笑)。“みんな行こうぜ! ついて来いよ”じゃなくて、“行く? どうする?”みたいな(笑)。そういうのがSAKANAMONの姿勢でもあり、藤森の恋愛の姿勢であり。

──恋愛観にも繋がっていくわけですね。

二人三脚していこうよっていうのが僕の恋愛の基本です。あっ、これは余計なことを言いました(笑)。

──ライブでも恋愛でもともに進んでいくというのは美しい関係だと思います。たくさんの人が二人三脚で進んでいくイメージって、歌詞の中にある「束に成って」という言葉とも繋がってきそうですね。コーラスも「束に成って」という言葉を音楽で表現したかのような感じになってます。

3人で声色を変えたりして何回か録って、結構重ねましたね。

──イントロのボコーダーのエレクトリカルな声、何を言ってるのか、聴き取れませんでした。

あれは結構すごいんですよ。説明したくなるんですけど、言わないほうがいいかな……それなりの意味があるんです。でも誰もわからないかもしれない……どっかの天才が解明してくれないかと楽しみにしているんですけどね(笑)。

──アルバム・タイトルの意味は説明していただいてもいいですか?

『INSUROCK』で飲酒ロックにもかけつつ。結束バンドをインシュロックというので、そこにもかけつつ。バラバラになっていた人々が集ってくるという意味合いで付けました。

──「束に成って タワーに成って」という状態を表す言葉でもあるわけですね。

そうですね。アルバムのタイトルが決まって、「TOWER」という曲名になり、こういう歌詞になり。

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