hotspring ALBUM「THREE MINUTES GOLD」ディスクレビュー

THREE MINUTES GOLD

ALBUM

hotspring

THREE MINUTES GOLD

SEXY STONES RECORDS/FICK FILLY LABEL

2014.02.05 release

<CD>


ロックンロール、世界を変えてくれよ

 3分間。お湯を入れて待つ時間。ヒーローが地上にいられるリミット。あの眼鏡の悪者は、3分待たなければ目が潰れなかったろうにな。ポリスのスティングは“人生で最も長い10分間”で人生を変えたけど、3分くらいで世界は結構変わっちまうんだ。少なくとも私は待っていたぜ、こんな2014年のニッポンに、こんな“3分間の中の黄金”を!

 2007年結成。2010年に浅井健一の主宰するSEXY STONES RECORDSから現在までに3作品を発表。バンド名の由来は、大分県別府市出身だから……と推察。キラキラしたポップ・ロックがメインストリームとなっている昨今に、エンジニアブーツでケンカキックを入れるような、暑苦しいロックンロールをかき鳴らしているのが、hotspringだ。デビュー以降、ブレることなく活動を続けてきた彼らは、今作でついにバンドとしての夜明けを迎えた。BLANKEY JET CITYやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTといった優れたバンドマンが、多くの人々を熱狂させた理由。それと同じように、彼らは自分たちにしか鳴らせないロックンロールと、何ものにも迎合しないポピュラリティを融合させることに見事成功した。イノクチタカヒロ(vo、g)の扇情的で荒々しい声、シンプルでありながら決して埋もれない、耳にこびりつくメロディ。そのミュージシャンとしてのセンスは唯一無二であるし、彼らが“ファッション・ロック”でないことは「ゴールド」や「JUKE BOX」の歌詞を読んでもらえたら3分足らずでわかるはずだ。全12曲、そのすべてがギラついていて、質量の大きい黄金ばかり。綺麗な歌詞? 優しいメロディ? オシャレな音楽? それもいい。だけど、いつの時代にだってこういう“演技してない”ロック・ミュージシャンは必要だ。だって本物には、冗談みたいに何かを変えちまう力があるから。2014年、このアルバムを吐き出してくれた彼らに、私は全力で感謝したい。

 2月からは、今作のレコ発ツアーを開催するhotspring。思い返せば、私が彼らのステージを目にしたのは2011年、『Electric Queen』のレコ発だった。当時から彼らはロックンロールだったし、メロディ・センスも抜群だったけれど、まだ“hotspring”としての表現を模索している印象だった。はっきり言って、この短い間に彼らがこれ程のバランス感覚を手にするとは思っていなかったわけだが、今作が完成した今、いったいどんな“生の黄金”を見せつけてくれるのか。とにかく楽しみだし、その如何が彼らの未来の動因になるはずだ。ひとまず、今後の動向に大いに期待しておきたい。

(小島双葉)

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