SAKANAMON ALBUM「INSUROCK」ディスクレビュー

INSUROCK

ALBUM

SAKANAMON

INSUROCK

ビクターエンタテインメント

2014.02.05 release


彼らが描き出した、生活の“肴”になる音楽の第2幕が完成

 刺激的なものをくらったときの頭の中を輪切りにすると、たしかにこうなってるだろうなと思わず納得してしまうインパクトのあるジャケット。藤森元生(vo、g)、森野光晴(b)、木村浩大(ds)からなる3ピース・ロック・バンドSAKANAMONの2ndアルバム『INSUROCK』(読み、いんしゅろっく)である。メジャー・デビュー作であった、1stアルバム『na』から約1年2ヵ月ぶりのフル・アルバムは、クセのあるボーカル、シュールさとリアルさを行き来する歌詞の世界観、ひねりの効いたギター・ロック/ポスト・ロック感にますます磨きのかかった、彼らの成長ぶりを実感できる作品だ。

 切れの良いギター・バンド然としたサウンドと突き抜けるメロディという、極ストレートな「マドギワールド」からスタートする本作。歪んだベース・ラインとボーカルとドラムからワイルドなロックンロールに突き進み、後半メロディアスに広がっていく「爆弾魔のアクション~願い~」や、淡々としたボーカルと和なメロディ感、じわじわとエモーショナルに感情を荒げ、突然セブンスコードでムードを一変させるSAKANAMONらしさを凝縮させた「花色の美少女」など、楽曲ひとつひとつ、フレーズひとつひとつが以前にも増して研ぎすまされている。サウンド面で一歩踏み込んだことが明確に伝わるのが、リード曲になっている「TOWER」。ギターのループのシークエンスから、力強いボーカルとともにダンス・ビートに突入していくゾクゾク感。不条理な事柄が絡み合って成り立つ現実を描きながら、言葉遊びを織り交ぜていく歌詞はサウンドとシンクロナイズ。見事さすら感じてしまうほどだ。「ミイとユウ」では、女性アーティスト、平賀さち枝とのデュエットでボサノバ・フレイバーなアコースティック・ナンバーを披露し、「訪問者」や「シグナルマン」ではダイナミックなオルタナ・ギター・ロックをかき鳴らす。ラストの「102」では、部屋を出て行く描写をした歌詞を、アコースティックから入って急にバンド・サウンドにチェンジし、あっという間に終わりとなる。あえて例えるなら、ATG映画とダイナソーJr.もしくはニール・ヤングを箸でかき混ぜて整えたような(かなり強引)、様々な人間模様を綴った短編映画のような雰囲気。3人の人間力によって生み出された、今の日本の風土が色濃く反映されたロックのひとつの形と言っていいだろう。

(土屋恵介)

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