aiko SINGLE「君の隣」ディスクレビュー

君の隣

SINGLE

aiko

君の隣

ポニーキャニオン

2014.01.29 release

初回限定仕様盤/写真
通常盤


デビュー15周年にふさわしい、ライブから始まった一曲

 昨年7月に15周年のアニバーサリー・イヤーに入って以降、ライブハウス、ホール、アリーナなどでタイプ違いのライブを同時進行で開催。ライブ三昧なアニバーサリーを過ごしてきたaikoの新曲は、まさにそういった日々を思わせる楽曲。聴きようによってはラブ・ソングとも思える曲だが、そもそもライブでオーディエンスに感じた想いが基になった曲だという。

 そう思って改めて聴き返してみると、出だしで描かれた夜の雨と雷の様子は、数年前の夏に行われた野外ゲリラ・ライブのことを歌ったようにも思える内容。前日からの豪雨がライブ直前に奇跡的に上がった、今や伝説とも言えるライブだが、前夜から会場となった海岸に来ていたオーディエンスを心配していた当時のaikoの様子が、まざまざと思い起こされるフレーズだと思った。

 それにしてもライブをテーマにしながら、オーディエンス側に立つわけでも、そばにいるよ的な応援ソングでもないところがいい。お互いにそばにいるようで、実は距離感を捉えにくい関係を、友達や恋人に話しかけるような対等な目線で描いて見せたところが本当にすごい。サビで気持ちに拍車がかかるがごとくメロディがリズミカルになるところも、言葉ではなしに感情が音楽に写しとられた素敵なポイントになっている。

 そして今回もカップリング曲がまた良し。言葉を多く詰め込むことで、より自分にイラつく気持ちをリアルに聴かせることとなったギター・ロックの「舌打ち」。これは特に初期からのaikoファンにはたまらない一曲だろう。たたみ掛けるようなメロディの運びといい、コードの当て方といい、デビューの頃のaikoを彷彿とさせる楽曲だ。さらにいつもの日常、その中にある普通のこと、それを心地よく感じられる幸せを歌ったバラード「朝寝ぼう」も聴くほどに心にじんわりしみてくる楽曲。

 言ってみれば三曲三様に、前からそこにある気持ち。それを手に取り磨いてみたら、こんなにも胸に響くキャッチーな曲になった。それも長く続けてきたから、年を重ねたからできたこと──。そんな15年というキャリアが、自然に曲に集約したかのような一枚だ。

(前原雅子)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人