SEKAI NO OWARI SINGLE「スノーマジックファンタジー」ディスクレビュー

スノーマジックファンタジー

SINGLE

SEKAI NO OWARI

スノーマジックファンタジー

トイズファクトリー

2014.01.22 release

初回限定盤A <CD+限定ライブCD>
初回限定盤B <CD+DVD>
通常盤/写真 <CD>


斬新なアプローチで作られたファンタジー・サウンド

2014年最初のシングルは、タイトルどおり冬のイメージを前面に打ち出した楽曲。すでにCMソングとしてオンエアされているナンバーで、DJ LOVEが登場したティザー広告も話題になっていた。

甘いメロディのドリーミーな曲調。にもかかわらず、かなり大胆なサウンドに仕上げられているのが特徴だ。特に、大迫力のティンパニーがずっと鳴り続けるのが印象的で、最初から最後まで太い音で聴き手の鼓動を上昇させるような低音のビートを響かせる。そして、その上に乗るマーチング・ドラム、ベース・ラインを奏でるピアノ、キラキラした音色のキーボードという基本構成で作られている斬新なアンサンブルに目を見張らされる。緻密なエレクトロとも肉体的なバンド・サウンドとも違う、独自のアプローチは彼らの新境地と言えるだろう。そんなディズニー・アニメのサントラのような煌めくサウンドでありながら、曲の奥に潜むダークな部分も垣間見える。それは歌詞にも共通していて、表層だけ聴いていると夢見心地のようだが、単なるファンタジーで終わらない、美しくも怖いハッピー・エンドが用意されている点にドキッとさせられる。もとより、雪の“白”は純粋さを表すと同時に、人の平衡感覚をなくしてしまう怖さをも持ち合わせている。雪崩に遭遇してしまうと上下左右がまったくわからなくなり、身動きのできない恐怖で人間は思考停止してしまう。曲の主人公は雪の妖精と出会って見た夢の中で、初めて誰かを愛した実感をつかみながらも、やがて意識が遠のいていく。心地いい、ポップという名の毒。

「銀河街の悪夢」は現実音や会話をSEのようにちりばめ、アコースティック・ギターの弾き語りを中心に展開していく楽曲。途中から加わる遮断機の警報音がそのままリズムを刻んでいくという展開がスリリングで、ここでもマーチング・ドラムが加わり、後半はまるで遊園地のメリーゴーランドのようなサウンドへと突入していく。何も変わらない一日を自問自答しながら帰宅する独白を言葉にした歌詞も鋭く突き刺さる。医師の処方する薬の話も生々しい。「Death Disco」(Instrumental)」は配信シングルのインスト・バージョン。ハードなダンス・ビートで作り上げられた硬質なナンバーで、音の質感からも仄暗い世界が顔を覗かせる。

曲調は違っていても、今回収録された3曲にはダークな核を持ったファンタジーが様々な表現で描き出されている。夢の奥にしまいこまれた現実が見え隠れする、強烈なインパクトを持ったシングルだ。

(岡本 明)

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