サカナクション SINGLE「グッドバイ/ユリイカ」ディスクレビュー

グッドバイ/ユリイカ

SINGLE

サカナクション

グッドバイ/ユリイカ

ビクターエンタテインメント

2014.01.15 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


まだ聴こえない、まだ知らない表現を志して移動を続ける

 2014年もこのバンドは、日本のバンド・シーンの中心的な存在であり続ける。そのことを確信させてくれるニュー・アイテムである。

 サカナクションの2014年第1弾シングル「グッドバイ/ユリイカ」。昨年は幕張メッセ2デイズ公演を実現(重要なことなので何度でも書くが、6.1chサラウンドの音響システムを導入したステージは、ロック・バンドのアリーナ・ライブの概念自体を刷新してしまうほどのクオリティだった)、年末にはNHK「紅白歌合戦」に初出演を果たすなど、刺激的な音楽を体現したままメジャー・シーンへと切り込んでいった彼ら。サカナクションの振り幅の広さ、つねにリスナーの予測を裏切りながら進化を続けようとする姿勢は、今回のシングルにも明確に提示されている。
 まずは「グッドバイ」。ノスタルジックな手触りをもたらすサウンドの中で山口一郎は、バンドが置かれた現状と“不確かな未来へ舵を切る”という意思を歌い上げている。昨年の幕張メッセ公演のMCの中で「“次は何をやるんですか?”と聞かれるんだけど、やりたいことはたくさんあるんだよね」という趣旨の発言をしていた山口。しかし、極めて当たり前のことだが、音楽に“正解”はない。漠然としたイメージを抱きながら、まだ聴こえない、まだ知らない表現を志して移動を続けるしかない──おそらく山口は「グッドバイ」の中でそのことを改めて示しているのだろう。

 一方の「ユリイカ」では、先鋭的な電子音楽集団としてのサカナクションを堪能できる。基調になっているのは、ミニマル・テクノ。繊細に構築されたトラックと生々しいバンド・サウンドの絶妙なバランス感覚もまた、このバンドの大きな魅力だ。故郷と東京をリリカルに対比させる歌詞も、しっかりと心に残る。

 さらにアルバム『sakanaction』に収録された「映画」の“AOKI takamasa Remix”を収録。初回限定盤には、東京の風景と官能的なモノクロの映像が融合した「ユリイカ」のミュージック・ビデオ、幕張メッセ公演のバック・ステージの模様を収めた「Behind of the scences of SAKANAQUARIUM 2013 sakanaction -LIVE at MAKUHARI MESSE-」を収録、音楽という表現を多角的に楽しめる作品に仕上がっている。まだ見ぬ世界へ向って進み続けるサカナクションの現在地をぜひ、じっくりと確認してほしいと思う。

(森朋之)

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