Dragon Ash – 3年ぶりとなるオリジナル・アルバム『THE FACES』。この渾身の一作から6人のフェイス=イズムを見る、メンバー全員インタビュー! 

Dragon Ash

Dragon Ashにとって3年ぶりとなるアルバムがリリースされる。タイトルは『THE FACES』。その言葉に込められた意味は本文をチェックしていただくとして、注目なのは人間讃歌(キレイな部分だけでなく絆創膏だらけの人生も肯定してくれている!)と、リリックに込められた“a little more感”だ。本作のKjは大きな野望ではなく、小さくて切実な願いばかりを歌っている。なぜか──。
「ミクスチャーはレベル・ミュージック以外のなにものでもない」と言い切ってくれたKj。そして、メンバーが語る6人6様の“a little more感”とは? 2014年もまた、Dragon Ashのインタビューは、彼らならではのユーモアと深い言葉に満ちていた。

INTERVIEW & TEXT BY 唐澤和也

 

みんながやれることをやり切った。疲弊せず、枯渇せずに

——まずは、3年ぶりのアルバム・リリース、おめでとうございます。

全員 あざーす!

——シングル「Here I Am」のインタビューでは「年内のリリースをめざす。が、かなりの綱渡り」と言っていたのですが、ほぼほぼ公約どおりの1月15日発売となりました。ということは、かなりの綱を渡り切ったと?

Kj いや、1月15日よりは遅れられなかったってことですよね。だから、やろうと思えば、もっとできたけど、限られた時間とかいろいろな条件下のもとで、みんながやれることをやり切ったんじゃないかな。疲弊せず、枯渇せずに。

——気になるのは、アルバム・タイトルの『THE FACES』です。これ、何プル・ミーニングなんですか?

桜井誠 「何プル」って、トリプル限定じゃないですか!(笑)
全員 はははははは!
Kj でも、たしかにいくつかの意味は込めていて、まず、いろんな表情を見せていくってこと。人間って顔だけは同じ人がいないからね。多面性というか、Dragon Ashのいろいろな顔を見せたいから『THE FACES』というタイトルにしていて。それと、かなりの至近距離で面と向かって歌っている曲が多いから、その距離感みたいなものも含めています。ただ……とにかく悩んだのは曲順だった。
桜井 悩んだね。建志(Kj)がたたき台を持ってきたときに“もうこれで決まりでしょ?”みたいな感じだったのに、まず、俺が茶々を入れ。「ここは逆にしたほうが良くない?」とかやってたら、“あれ? たたき台ってどうだったっけ?”とわけがわからなくなり(笑)。
Kj そうそう(笑)。今回は、14曲入っているんだけど、ATSUSHIにいたっては、12曲の時点で“もう、アルバム出来たな”って感じで曲順を考え始めちゃうし。俺は、ポカーンでしたよ、“え? もう出来たの?”って(笑)。
全員 はははははは!
ATSUSHI いや、あのときに曲順を一回考えると、もうちょっとその先が見えるのかなと思ったんだよ。
Kj 足りないものがね。うん。それも大事だったよね。

——結果、足りてなかった2曲というのは?

Kj アルバムのラストの曲「Curtain Call」とKenKenとの合作である「The Live」です。

ま、1分ぐらいで書けたかな

——聴く者としてはうれしいかぎりのプラスαですけど、音楽を作る者としては、何が足りないと感じたのでしょう?

Kj (制作期間としては)あとワンチャンスあるなって感覚だったんです。だったら、俺たちはKenKenに支えられながらライブをやっているし、そもそもメンバーだからね、KenKenは。そういうリスペクトを込めてKenKenと一緒にやるのがふさわしい曲をやろうと俺が提案して、みんなもグッド・アイデアだと。もちろん、KenKenもやろうって乗ってくれて。

——KenKenさんは、同曲で作詞も担当し歌ってもいます。先日のEX THEATER ROPPONGIでのライブ(「Lily’s Party」)でも、観客にとっては初めて聴く曲にもかかわらず、めちゃくちゃ盛り上がっていました。

Kj うん。それで、その残りワンチャンスのレコーディングが2日間あったから、アウトロも作ろうと思って。ピアノで作っていたんだけど、ドラムとかを足しているうちに、“もったいないな、曲になるな”と思って。それで作ったのが「Curtain Call」。
桜井 スタジオでその場で歌詞を書いたんだよね?
Kj そうそう。ま、1分ぐらいで書けたかな。
桜井 今回のアルバム・タイミングでもインタビューを受ける機会が多いんですけど……今の発言、最初は5分って言ってたよね?(笑)
Kj 5分の時点でウソだしね(笑)。昨日の取材では何分って言ってたっけ?
桜井 2分。今日は1分ですから、次の取材はもう、秒の世界ですよ(笑)。
ATSUSHI しまいには、“最初からあった”ぐらいの勢いになったりしてね(笑)。
Kj 何か足りないと思って作った曲だって言ってんのに、“ストック曲だった”みたいなね。おい、話が矛盾してんぞ! っていう(笑)。
全員 はははははは!

BOTSくんが笑ってますよ。“今日もまた、質問がでかいな!”って(笑)

——“矛盾”という言葉が出たところで、恒例の全員質問です。実は、“矛盾”という言葉に対する語感をみなさんに聞いてみたくて。

BOTS ふふふ。
Kj 佐藤くん……いや、BOTSくんが笑ってますよ。“今日もまた、質問がでかいな!”って(笑)。
全員 はははははは!

——なぜ、でかい質問を投げかけたのかはおいおいということで。で、どうでしょう?

桜井 “矛盾”か……難しいな。
Kj 「♩大キライ 大キライ 大スキ〜」みたいなもんでしょ?
桜井 あ、だったら俺は、矛盾の向こう側が見てみたい。なんでも貫くドリルと、なにものも通さない金属の対決とかね。ま、某テレビ局の某番組でそんなようなことをして、問題視されましたけど。
全員 ははははは!
Kj 俺は、表裏一体だと思うんだよね。臆病だから強くなろうとするんだろうし、最近は、すべてこっちの気の持ちようだろうって考えるんだけど。忙しい時間に対して、充実と取るのか苦痛に感じるのか。時間がないと取るのか、やるべきことがあって幸せだとするのか。全部がこっちの精神状態にかかわってくると思う。価値を見いだすか否かもそうだし、意味のある時間にするのか、ただの浪費にするのかもそうだし。だから、本当は自分の中だけで判断できればいいんだけど、それって相対的じゃん?

——自分の気の持ちようひとつだからこそ、曖昧というか、絶対的ではないというか。

Kj そうそうそう。そういう意味で相対的なものって人は誰しも不安になるから、絶対的なものと比較する。絶対的なものと比較しちゃうと矛盾が生まれることもある。だから、本当の本当は、矛盾なんて存在しないかもしれないのに、その人が勝手に作り出しちゃうもののような気がする。

——なるほど! っていうことは、矛盾=必ずしもネガティブなイメージではない?

Kj もちろん。『THE FACES』でもそうだから。例えば、今回収録されてる「Here I Am」とシングルのカップリング「Somewhere」という曲にしたって、“Here”と“Somewhere”という言葉だけを比較したら矛盾しているけど、歌っていることは俺にとっては同じだから。それに、さっき言った「気の持ちよう」という意味でも、こと音楽を作るということにおいては、絶対的な何かと比較するということが俺はほとんどない。そりゃあさ、プロのミュージシャンにまつわるその他もろもろなことに関しては比較しちゃうこともあるよ。でも、こと音楽を作るという行為においては、全部前向きに捉えられる……なんて言うのかな……そんな構造になっちゃってる、俺は。

矛盾があるからこそ、クリエイティブなものが生まれるんじゃないか

——なるほど。では、DRI-Vさん、どうでしょう?

DRI-V 今、次は僕にくるなと思ってました。
Kj じゃ、普通に答えろよ!(笑)
全員 ははははは!
DRI-V Kjさんの言葉で出た「表裏一体」というのは、すっごく思い当たることがあって、何かをしたときに“矛盾してるなぁ”と自分で思うんだけど、その裏には……裏というか……矛盾の中にも答えがあるのかなって。実は矛盾している行為そのものが正しいことでもあったりする気がして。
Kj なるほどね。
HIROKI 俺が思い出したのは、学生時代のことだった。
桜井 学生時代?
HIROKI うん。当時、わりと不良グループみたいなところにいたんだけど、将来の夢も希望もなく生きている中、ひとつだけ、漠然とだけど“カッコよく生きたいな”みたいなことは思っていて。で、周りの仲間が「卒業後どうする?」みたいな話をしているときに、このまま、不良のまま生きてちゃダメなのか、結局、抗ったところで社会のシステムに混じっていくのか……って、一瞬思ったときにすっごく矛盾を感じたことを覚えてます。みんなが言ってるような矛盾の解釈じゃなくて、もっとベタでネガティブな意味の矛盾だと思うんだけど、そういうのはイヤだなと。
Kj わかるわかる。そういう語感の矛盾はイヤだもんね。
HIROKI うん。じゃあ、どうしたらこのまま生きていけるのかについては、結構真剣に考えた……気がする。
桜井 気がするって(笑)。そこは、考えたでいいじゃん。
全員 ははははは!
BOTS 俺はふたつ思ったことがあります。ひとつは、HIROKIさんの話にちょっと重なるんだけど、社会のレールみたいなものに乗っかりたくないからと道を外れた人たちが、その先でも社会を作るということ。目上の人から「やれ!」と言われたら逆らえない。そういうのは、矛盾しているのかなとちょっと思って。
Kj ホント、そう思うわ。学校とか“行ってられっかよ!”と行かなくなったのに、集会とか遅刻したら、くそ怒られるのね(笑)。
BOTS まぁ、ドロップ・アウトした先では、同じビジョンを見てるからこそ、従ったりもできるのかもとは思うけど。
Kj うん。結局、自分が手綱を任せられるかどうかなんだろうね。だって、やってることは前の社会とドロップ・アウトした先とで、同じだから。後輩を教育するだとか。
BOTS そうそう。で、もうひとつ思ったのが、Kjさんの意見に近いんだけど、矛盾があるからこそ何かに抗ったりするんじゃないかって。すべてが合理性だけで進んでいってしまうと、極論、オスとメスさえ必要なくなるわけでしょ? 実際、生物の中ではメスだけでも子孫繁栄できる種があるわけだしね。だから、矛盾があるからこそ、様々なクリエイティブなものが生まれるんじゃないか。矛盾は人間だけが持ちえる大切なものじゃないか……って思いました。
全員 おぉ〜!
Kj 深い! BOTSくんはホント深い!

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